――今年度(2022年3月期)は大幅な増収増益となる見込みだが、その要因は何か。
コロナ禍初期の混乱で昨年度上期(20年4~9月期)に伸び悩んだ反動増もあるが、それ以上にデジタル技術を駆使してビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーションの大きな潮流がある。今のデジタル化の流れは、個々の企業だけにとどまらず、社会全体のデジタル化へのうねりになっている。業務のデジタル化を推進するデジタル庁が21年9月に発足したが、こうした国の動きも社会全体に影響を与える。当社は顧客とともに社会のデジタル化を推し進める取り組みに力を入れており、そうした姿勢が評価された結果の業績だと受け止めている。
代表取締役社長
岡本安史
――社会全体のデジタル化とは、具体的にどのようなものか。
大きく四つの領域に経営リソースを重点的に割り当てている。一つめが当社が強みとする決済プラットフォーム領域で、22年度上期をめどに当社初のSaaS型クレジット決済基盤サービスを投入する。すでに、前払いのプリペイドや即時引き落としのデビットはSaaS化済みで、後払いのクレジットが揃うことで全方位でサービス化が可能になる。他に健康医療、脱炭素、スマートシティの領域を重点的に伸ばしていく。
顧客と社会の課題は表裏一体
――グループ会社で年商72億円の中央システムを21年11月に売却した狙いは何か。
同業者間取引の比率が高く、顧客とともに社会の課題を解決したり、デジタル化を推進する当社の方向性と距離が生まれてしまったことが理由だ。当社グループから離れたほうが中央システムにとってプラスになると判断した。一方、20年8月にデータ分析やAI活用のコンサルティングに強みを持つ澪標アナリティクスをグループ会社に迎え入れるなど、重点施策に沿ったグループ会社のM&Aは引き続き行っていく。
――22年をキーワードで表すとすれば何か。
「社会と顧客との共創」としたい。ITは業務の効率化に役立ってきたが、今のITは社会のデジタル化という大きな枠組みの中の一つの構成要素に変わった。顧客企業のデジタル変革と社会課題の解決は、実は表裏一体の関係にある。決済や脱炭素、健康医療、スマートシティなどの重点分野を軸とし、能動的に顧客や社会との共創に参画していく。海外も同様で、ASEANを中心に当社の強みを生かして顧客や社会の課題解決に臨む。
こうした取り組みによって今年度の売上高、営業利益ベースで11期連続の増収増益の達成をより確実なものにするとともに、24年3月期の連結売上高5000億円、営業利益580億円の3カ年中期経営計画の目標に迫っていく。