――2022年は「kintone」の広告宣伝を強化した印象がある。成果はどうだったか。
IT業界に限らず幅広い業界や職種、さらに子どもからお年寄りまで広く知っていただけた。これまでは「サイボウズは知っているが、何をやっているのか知らない」という人が多かった。それが逆転し「サイボウズはkintoneの会社なのか」という反応が起きた。ビジネスのやりやすさが向上し、採用にも効果を感じている。
サイボウズ
代表取締役社長
青野慶久
――ビジネス面ではどんな1年だったか。
kintoneだけでなく、「サイボウズOffice」「Garoon」「MailWise」の4製品すべてが着実に伸びた。伸びている部分はすべてクラウドだ。クラウドへの切り替え需要だけでなく、クラウドだから導入できるようになったお客さまもいる。
kintoneについてはエコシステムがどんどん強くなっている。提案できるパートナーだけでなく、拡張機能を作ってくれるパートナーが出そろい、ノーコードでできることが増えている。kintoneは非常に汎用性が高く、業種、業態、職種を問わず面的に入っていけるプロダクトだ。今は部門導入の顧客が大半だが、自分たちで業務を改善できる強みを生かし、活用が横に広がっていくことに期待したい。
kintoneがやろうとしているのは「パラダイムシフト」だ。情報システム部門のようなITのプロに頼るのではなく、自分たちがシステム開発に参画するつもりで臨む。それこそがDXだという世界をつくりたい。それは企業カルチャーや組織を含めた転換だ。時間はかかるが着実に広がっていくだろう。
伴走パートナーを増やす
――パートナー戦略はどう進めるか。
kintoneやGaroonをプラットフォームとして付加価値を提供するパートナーへの支援を強化していく。パートナー販売はまだまだ伸びる。数を増やし、全国にくまなく広げたい。「全員がシステム開発に関わるようになった」ときには、(顧客に)伴走できるパートナーが大量に必要となる。ただ、伴走はこれまでのパートナーが手掛けていた受託開発のビジネスとは異なる、新しいビジネスモデルにチャレンジしなければならない。それを理解して挑戦するパートナーを増やし、成功させたい。
――今後、取り組みたいことは。
インフラの強化がここから3年の大きなテーマになる。今まで以上に安定し、スケーラブルとする。停止時間を減らすといったことを実現していく。中期的にはグローバル展開にも取り組む。提携を結んだリコーとは、米国や欧州への展開も視野に入れて進めている。海外現地のさまざまなパートナーとの協調体制をつくり、海外展開を加速したい。