Special Feature
これまで以上の強気を見せるピュア・ストレージ オールフラッシュ市場を圧倒するための戦略
2023/07/10 09:00
週刊BCN 2023年07月10日vol.1976掲載
【米ラスベガス発】オールフラッシュストレージ市場でトップシェアを誇る米Pure Storage(ピュア・ストレージ)は米国時間6月13日から16日の4日間、米ラスベガスで年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2023」を開催した。多数の新製品やアップデート情報を発表したが、それ以上に強く印象的だったのが、同社が示す市場における圧倒的な自信だ。本稿では現地での取材を通し、オールフラッシュストレージ市場の現状とピュア・ストレージの優位性を検証するとともに、米国などと比較してオールフラッシュへのシフトが遅れがちな日本におけるビジネス戦略についても概観してみたい。
(取材・文/五味明子 編集/日高 彰)
本紙1974(6月26日)号で伝えた通り、同社はフラッグシップポートフォリオのオールフラッシュストレージ「FlashArray//X」「FlashArray//C」の新製品や、サブスクリプションストレージサービス「Evergreen//One」のアップデートなどを発表した。だが、それらの発表以上に本カンファレンスで印象に残ったのは、同社が示したオールフラッシュ市場における圧倒的な自信だ。その根拠はどこにあるのだろうか。
チャールズ・ジャンカルロCEO
ストレージ市場においてHDDが占める割合は年々減少しており、HDDが唯一フラッシュより優れているといわれる価格に関しても、差は縮小傾向にある。だが、ジャンカルロCEOが攻撃の矛先を向けるのはHDDだけではない。「競合が“フラッシュ”と呼んでいるものは本物のフラッシュではない。また彼らが提供するストレージのサブスクリプションサービス(STaaS)は、われわれのEvergreen//Oneとはまったく別物だ」「2014年から22年の9年間、オールフラッシュ市場で成長を継続できたのはピュア・ストレージだけ」と強気の姿勢を崩さない。そしてその自信は決して根拠がないものではなく、同社が09年の設立から培ってきた技術的優位性と、クラウドやAIといったトレンドへの迅速な対応がベースとなっている。
ジャンカルロCEOは同社の「ユニークな優位性」として、▽独自の「Direct‐to‐Flash(DirectFlashモジュール: DFM)」技術による高いレベルの効率性、レジリエンス、耐久性▽DFMやストレージOS「Purity」、クラウドマネジメントサービス「Pure1」など、シンプルでスケールしやすいポートフォリオ▽サブスクリプションサービス「Evergreen//One」による恒久的なストレージサービスの提供▽ストレージプールやKubernetesによるオーケストレーション(Portworx)など、クラウドオペレーティングモデルのサポート――の4点を挙げている。これらの中からとくに現在のピュア・ストレージの優位性を特徴づけているDFMとEvergreen//Oneについて簡単に紹介したい。
ハンセンジェネラルマネージャーは「DFMのイノベーションは終わらない。25年には150テラバイト、さらにそのすぐ後には300テラバイトのDFMが登場する予定だ。容量だけではなく、密度やエネルギー効率、信頼性、スループット/パフォーマンスも大幅に改善する。従来の“オールフラッシュは高い”という思い込みを一掃するTCOを実現するはずだ」と、次世代DFMの開発が進行中であることを明らかにしている。
このDFMを搭載した「FlashArray」シリーズはピュア・ストレージを象徴するフラグシップである。同社は今回のカンファレンスに合わせ、「FlashArray//X」と「FlashArray//C」の最新モデルに加え、「これまで価格がボトルネックとなってオールフラッシュの導入をちゅうちょしていた層にリーチする」ことを狙いとした「Flash//E」ファミリーを発表した。「われわれの顧客はもうSSDすらいらなくなる」というハンセンジェネラルマネージャーの言葉を具現化するごとく、今後もDFMの進化が同社全体のイノベーションを支えていくのは疑いない。
デジタルエクスペリエンス部門担当のプラカシュ・ダルジ・ジェネラルマネージャーはEvergreen//Oneの最大の特徴として「ハードウェアではなく、SLA(サービスレベル契約)に基づいた消費モデル」を提供していることを挙げている。つまり容量や性能に対して可用性、バッファ容量、パフォーマンス、エネルギー効率、ダウンタイムゼロといったSLA項目を保証する形式でサービスを提供しているのだ。また、今回のカンファレンスでは新たなSLA項目としてランサムウェアからのリカバリーが追加され、ランサムウェアの被害に遭った顧客に対し、48時間以内にクリーンなストレージ(リカバリーアレイ)を発送することなどを保証している。また、20年9月に買収した米Portworx(ポートワークス)の技術をベースにしたコンテナストレージもEvergreen//Oneで利用することが可能だ。
「われわれがサブスクリプションサービスとしてのストレージを提供するにあたってもっとも重要視しているのは、顧客のビジネスを破壊しないことだ。容量や性能をSLAで保証することで、顧客は安心して継続的に最新のケイパビリティを備えたストレージサービスを利用することができる。そもそも、顧客はストレージの運用やサービス停止に頭を悩ませる必要はない。なんの心配もすることなく、ストレージを使い続けることができる。これを実現できるのはEvergreenアーキテクチャーだけだ」(ダルジジェネラルマネージャー)
Evergreenビジネスを統括するダルジジェネラルマネージャーの所属が「デジタルエクスペリエンス部門」であることからも、ピュア・ストレージがサブスクリプションサービスを単なる従量課金のリソース貸しでではなく、顧客体験向上の重要な柱として位置づけていることがうかがえる。
ピュア・ストレージ・ジャパン 田中良幸 社長
だが残念なことに、グローバルで発表される先進的な事例の中に日本発のものはまだ見つけることができない。「スピニングディスクはもういらない」という強烈なメッセージを日本の顧客やパートナーはどう受けとめるのだろうか。カンファレンス期間中、日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸社長に日本市場の変化について聞いてみると以下のような答えが返ってきた。
「はっきりと変化の手応えは感じている。今回のカンファレンスで、テクノロジーの進化により、フラッシュがHDDよりも単価を安くできることが多くの顧客やパートナーに伝わったと思う。また、電気代やエネルギーの観点から、当社の製品がTCOの面からメリットが大きいことも理解されたのではないか」
実際、以前からの日本のパートナーは「前よりも一歩踏み込んだかたちでピュア・ストレージを扱うようになってきてくれている」と田中社長。それを表すかのように、今年のアジア太平洋地域(APJ)の「Partner of the Year 2023」には伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が選出され、オールフラッシュ導入の下地が日本でも拡大していることを示している。
「今はあと一歩、踏み込みたい。われわれが訴え続けてきたHDDの時代はもう終わるということを、ようやく日本の顧客も実感をもって聞いてくれるようになってきた。一方で“HDDの神話”がまだ残っていることも事実。なので日本市場ではまず、ミッションクリティカルな部分での導入、当社製品の良さをはっきりと感じてもらえる分野での導入を拡大していきたい。グローバルで増えているような先進的な事例があればうれしいが、まずはデータプラットフォームとしていかにピュア・ストレージが優れているかを理解してもらうことからブランドの浸透を始めていく。日本市場は本社にとっても非常に重要な存在であるので、本社からの支援も受けながら日本での“Pureブランド”を確たるものにしていきたい」(田中社長)
「フラッシュは未来である。そして未来はもう始まっている」。6月15日に行われた2回目のキーノートの最後、カスタマーエンジニアリング部門のショーン・ロズマリン・バイスプレジデントは参加者にこう呼びかけた。その後、ロズマリン氏にインタビューした際にそのメッセージに込めた意味を聞くと「チャールズ(ジャンカルロCEO)だけでなく、われわれは、5年後にスピニングディスクがなくなると思っている。そのときになってから乗り換えるより、いまからフラッシュに移行したほうがより多くのベネフィットを得られる。70年前の技術(HDD)から解放されるなら、それは今だ」との答えが返ってきた。5年後には、ストレージの世界で新しい未来が始まっているのかもしれない。
(取材・文/五味明子 編集/日高 彰)

敵はHDDだけではない
「スピニングディスク(HDD)はあと5年で製造されなくなる」「ピュア・ストレージのフラッシュだけが本物のフラッシュであり、『Evergreen//One』だけが本物のSTaaS(Storage-as-a-Service)」「われわれはストレージ業界のディスラプター(破壊者)」――。今回のPure//Accelerateで、ピュア・ストレージのチャールズ・ジャンカルロCEOをはじめとする同社の幹部たちは、競合を煽る表現も辞さずに同社の優位性を強調した。本紙1974(6月26日)号で伝えた通り、同社はフラッグシップポートフォリオのオールフラッシュストレージ「FlashArray//X」「FlashArray//C」の新製品や、サブスクリプションストレージサービス「Evergreen//One」のアップデートなどを発表した。だが、それらの発表以上に本カンファレンスで印象に残ったのは、同社が示したオールフラッシュ市場における圧倒的な自信だ。その根拠はどこにあるのだろうか。
ストレージ市場においてHDDが占める割合は年々減少しており、HDDが唯一フラッシュより優れているといわれる価格に関しても、差は縮小傾向にある。だが、ジャンカルロCEOが攻撃の矛先を向けるのはHDDだけではない。「競合が“フラッシュ”と呼んでいるものは本物のフラッシュではない。また彼らが提供するストレージのサブスクリプションサービス(STaaS)は、われわれのEvergreen//Oneとはまったく別物だ」「2014年から22年の9年間、オールフラッシュ市場で成長を継続できたのはピュア・ストレージだけ」と強気の姿勢を崩さない。そしてその自信は決して根拠がないものではなく、同社が09年の設立から培ってきた技術的優位性と、クラウドやAIといったトレンドへの迅速な対応がベースとなっている。
ジャンカルロCEOは同社の「ユニークな優位性」として、▽独自の「Direct‐to‐Flash(DirectFlashモジュール: DFM)」技術による高いレベルの効率性、レジリエンス、耐久性▽DFMやストレージOS「Purity」、クラウドマネジメントサービス「Pure1」など、シンプルでスケールしやすいポートフォリオ▽サブスクリプションサービス「Evergreen//One」による恒久的なストレージサービスの提供▽ストレージプールやKubernetesによるオーケストレーション(Portworx)など、クラウドオペレーティングモデルのサポート――の4点を挙げている。これらの中からとくに現在のピュア・ストレージの優位性を特徴づけているDFMとEvergreen//Oneについて簡単に紹介したい。
ストレージ装置がフラッシュと直接対話する「DFM」
「当社のフラッシュは競合のSSDとはまったく異なる。彼らは決して我々のDFMを真似できない」。FlashArray部門のショーン・ハンセン・ジェネラルマネージャーは筆者とのインタビューで、最新世代のDFMを手にしながら自信に満ちた表情でこう断言した。DFMは同社が独自に開発した技術で、SSDではなくNAND型のフラッシュメモリ(cMLC)を搭載し、PCI Expressのバスを直接利用する高速ネットワーキング(NVMe)と接続する。これにより、SAS/SATA接続で課題となっていたデータ転送速度のボトルネックを解消し、フラッシュメモリが“ダイレクト”にストレージアレイとやりとりすることが可能になる。また、SSDとは異なり、筐体のコントローラーでNANDフラッシュの管理を行うため、パフォーマンスと容量密度を同時に上げられるアーキテクチャーとなっている。「他社のフラッシュは本当のフラッシュではない」と言い切るピュア・ストレージの自信はこのDFMによるところが大きい。ハンセンジェネラルマネージャーは「DFMのイノベーションは終わらない。25年には150テラバイト、さらにそのすぐ後には300テラバイトのDFMが登場する予定だ。容量だけではなく、密度やエネルギー効率、信頼性、スループット/パフォーマンスも大幅に改善する。従来の“オールフラッシュは高い”という思い込みを一掃するTCOを実現するはずだ」と、次世代DFMの開発が進行中であることを明らかにしている。
このDFMを搭載した「FlashArray」シリーズはピュア・ストレージを象徴するフラグシップである。同社は今回のカンファレンスに合わせ、「FlashArray//X」と「FlashArray//C」の最新モデルに加え、「これまで価格がボトルネックとなってオールフラッシュの導入をちゅうちょしていた層にリーチする」ことを狙いとした「Flash//E」ファミリーを発表した。「われわれの顧客はもうSSDすらいらなくなる」というハンセンジェネラルマネージャーの言葉を具現化するごとく、今後もDFMの進化が同社全体のイノベーションを支えていくのは疑いない。
Evergreen//Oneは単なる従量課金モデルではない
DFMと並んでもう一つ、ここ数年のピュア・ストレージにおける差別化要素として高い注目を集めているのが、サブスクリプションサービスの「Evergreen//One」だ。STaaSと呼ばれる従量課金型のストレージサービスで、顧客はオンプレミス、データセンター、パブリッククラウドなどストレージの設置場所を指定でき、利用するストレージの性能と容量に応じて料金を支払う。とくにオンプレミス型のSTaaSは、ストレージに対する初期投資をクラウドストレージ並みに抑えられる上、クラウドで課題となりやすいアプリケーションの遅延やクラウドサービス側のトラブルによるサービス停止を避けられるというメリットを得られるため、急速に市場が拡大している分野だが、ここでも同社は「競合のSTaaSとvergreen//Oneは似て非なるもの」と違いを強調している。デジタルエクスペリエンス部門担当のプラカシュ・ダルジ・ジェネラルマネージャーはEvergreen//Oneの最大の特徴として「ハードウェアではなく、SLA(サービスレベル契約)に基づいた消費モデル」を提供していることを挙げている。つまり容量や性能に対して可用性、バッファ容量、パフォーマンス、エネルギー効率、ダウンタイムゼロといったSLA項目を保証する形式でサービスを提供しているのだ。また、今回のカンファレンスでは新たなSLA項目としてランサムウェアからのリカバリーが追加され、ランサムウェアの被害に遭った顧客に対し、48時間以内にクリーンなストレージ(リカバリーアレイ)を発送することなどを保証している。また、20年9月に買収した米Portworx(ポートワークス)の技術をベースにしたコンテナストレージもEvergreen//Oneで利用することが可能だ。
「われわれがサブスクリプションサービスとしてのストレージを提供するにあたってもっとも重要視しているのは、顧客のビジネスを破壊しないことだ。容量や性能をSLAで保証することで、顧客は安心して継続的に最新のケイパビリティを備えたストレージサービスを利用することができる。そもそも、顧客はストレージの運用やサービス停止に頭を悩ませる必要はない。なんの心配もすることなく、ストレージを使い続けることができる。これを実現できるのはEvergreenアーキテクチャーだけだ」(ダルジジェネラルマネージャー)
Evergreenビジネスを統括するダルジジェネラルマネージャーの所属が「デジタルエクスペリエンス部門」であることからも、ピュア・ストレージがサブスクリプションサービスを単なる従量課金のリソース貸しでではなく、顧客体験向上の重要な柱として位置づけていることがうかがえる。
日本に残る“HDDの神話”
ピュア・ストレージと同時期に設立されたオールフラッシュベンチャーのほとんどが買収されたり、事業を停止したりしているが、ピュア・ストレージはここまで紹介してきた技術的な優位性に加え、時代の変わり目に登場する新しいワークロードへ迅速に対応してきたことで生き残りを図ってきた。カンファレンスでは欧米企業の最新事例が紹介され、世界最先端のワークロードの稼働を、性能や容量だけでなく、データタイプやTCO、エネルギー効率、サステナビリティといった側面からも支えられるストレージソリューションの強みがアピールされた。
だが残念なことに、グローバルで発表される先進的な事例の中に日本発のものはまだ見つけることができない。「スピニングディスクはもういらない」という強烈なメッセージを日本の顧客やパートナーはどう受けとめるのだろうか。カンファレンス期間中、日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパンの田中良幸社長に日本市場の変化について聞いてみると以下のような答えが返ってきた。
「はっきりと変化の手応えは感じている。今回のカンファレンスで、テクノロジーの進化により、フラッシュがHDDよりも単価を安くできることが多くの顧客やパートナーに伝わったと思う。また、電気代やエネルギーの観点から、当社の製品がTCOの面からメリットが大きいことも理解されたのではないか」
実際、以前からの日本のパートナーは「前よりも一歩踏み込んだかたちでピュア・ストレージを扱うようになってきてくれている」と田中社長。それを表すかのように、今年のアジア太平洋地域(APJ)の「Partner of the Year 2023」には伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が選出され、オールフラッシュ導入の下地が日本でも拡大していることを示している。
「今はあと一歩、踏み込みたい。われわれが訴え続けてきたHDDの時代はもう終わるということを、ようやく日本の顧客も実感をもって聞いてくれるようになってきた。一方で“HDDの神話”がまだ残っていることも事実。なので日本市場ではまず、ミッションクリティカルな部分での導入、当社製品の良さをはっきりと感じてもらえる分野での導入を拡大していきたい。グローバルで増えているような先進的な事例があればうれしいが、まずはデータプラットフォームとしていかにピュア・ストレージが優れているかを理解してもらうことからブランドの浸透を始めていく。日本市場は本社にとっても非常に重要な存在であるので、本社からの支援も受けながら日本での“Pureブランド”を確たるものにしていきたい」(田中社長)
「フラッシュは未来である。そして未来はもう始まっている」。6月15日に行われた2回目のキーノートの最後、カスタマーエンジニアリング部門のショーン・ロズマリン・バイスプレジデントは参加者にこう呼びかけた。その後、ロズマリン氏にインタビューした際にそのメッセージに込めた意味を聞くと「チャールズ(ジャンカルロCEO)だけでなく、われわれは、5年後にスピニングディスクがなくなると思っている。そのときになってから乗り換えるより、いまからフラッシュに移行したほうがより多くのベネフィットを得られる。70年前の技術(HDD)から解放されるなら、それは今だ」との答えが返ってきた。5年後には、ストレージの世界で新しい未来が始まっているのかもしれない。
【米ラスベガス発】オールフラッシュストレージ市場でトップシェアを誇る米Pure Storage(ピュア・ストレージ)は米国時間6月13日から16日の4日間、米ラスベガスで年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2023」を開催した。多数の新製品やアップデート情報を発表したが、それ以上に強く印象的だったのが、同社が示す市場における圧倒的な自信だ。本稿では現地での取材を通し、オールフラッシュストレージ市場の現状とピュア・ストレージの優位性を検証するとともに、米国などと比較してオールフラッシュへのシフトが遅れがちな日本におけるビジネス戦略についても概観してみたい。
(取材・文/五味明子 編集/日高 彰)
本紙1974(6月26日)号で伝えた通り、同社はフラッグシップポートフォリオのオールフラッシュストレージ「FlashArray//X」「FlashArray//C」の新製品や、サブスクリプションストレージサービス「Evergreen//One」のアップデートなどを発表した。だが、それらの発表以上に本カンファレンスで印象に残ったのは、同社が示したオールフラッシュ市場における圧倒的な自信だ。その根拠はどこにあるのだろうか。
チャールズ・ジャンカルロCEO
ストレージ市場においてHDDが占める割合は年々減少しており、HDDが唯一フラッシュより優れているといわれる価格に関しても、差は縮小傾向にある。だが、ジャンカルロCEOが攻撃の矛先を向けるのはHDDだけではない。「競合が“フラッシュ”と呼んでいるものは本物のフラッシュではない。また彼らが提供するストレージのサブスクリプションサービス(STaaS)は、われわれのEvergreen//Oneとはまったく別物だ」「2014年から22年の9年間、オールフラッシュ市場で成長を継続できたのはピュア・ストレージだけ」と強気の姿勢を崩さない。そしてその自信は決して根拠がないものではなく、同社が09年の設立から培ってきた技術的優位性と、クラウドやAIといったトレンドへの迅速な対応がベースとなっている。
ジャンカルロCEOは同社の「ユニークな優位性」として、▽独自の「Direct‐to‐Flash(DirectFlashモジュール: DFM)」技術による高いレベルの効率性、レジリエンス、耐久性▽DFMやストレージOS「Purity」、クラウドマネジメントサービス「Pure1」など、シンプルでスケールしやすいポートフォリオ▽サブスクリプションサービス「Evergreen//One」による恒久的なストレージサービスの提供▽ストレージプールやKubernetesによるオーケストレーション(Portworx)など、クラウドオペレーティングモデルのサポート――の4点を挙げている。これらの中からとくに現在のピュア・ストレージの優位性を特徴づけているDFMとEvergreen//Oneについて簡単に紹介したい。
(取材・文/五味明子 編集/日高 彰)

敵はHDDだけではない
「スピニングディスク(HDD)はあと5年で製造されなくなる」「ピュア・ストレージのフラッシュだけが本物のフラッシュであり、『Evergreen//One』だけが本物のSTaaS(Storage-as-a-Service)」「われわれはストレージ業界のディスラプター(破壊者)」――。今回のPure//Accelerateで、ピュア・ストレージのチャールズ・ジャンカルロCEOをはじめとする同社の幹部たちは、競合を煽る表現も辞さずに同社の優位性を強調した。本紙1974(6月26日)号で伝えた通り、同社はフラッグシップポートフォリオのオールフラッシュストレージ「FlashArray//X」「FlashArray//C」の新製品や、サブスクリプションストレージサービス「Evergreen//One」のアップデートなどを発表した。だが、それらの発表以上に本カンファレンスで印象に残ったのは、同社が示したオールフラッシュ市場における圧倒的な自信だ。その根拠はどこにあるのだろうか。
ストレージ市場においてHDDが占める割合は年々減少しており、HDDが唯一フラッシュより優れているといわれる価格に関しても、差は縮小傾向にある。だが、ジャンカルロCEOが攻撃の矛先を向けるのはHDDだけではない。「競合が“フラッシュ”と呼んでいるものは本物のフラッシュではない。また彼らが提供するストレージのサブスクリプションサービス(STaaS)は、われわれのEvergreen//Oneとはまったく別物だ」「2014年から22年の9年間、オールフラッシュ市場で成長を継続できたのはピュア・ストレージだけ」と強気の姿勢を崩さない。そしてその自信は決して根拠がないものではなく、同社が09年の設立から培ってきた技術的優位性と、クラウドやAIといったトレンドへの迅速な対応がベースとなっている。
ジャンカルロCEOは同社の「ユニークな優位性」として、▽独自の「Direct‐to‐Flash(DirectFlashモジュール: DFM)」技術による高いレベルの効率性、レジリエンス、耐久性▽DFMやストレージOS「Purity」、クラウドマネジメントサービス「Pure1」など、シンプルでスケールしやすいポートフォリオ▽サブスクリプションサービス「Evergreen//One」による恒久的なストレージサービスの提供▽ストレージプールやKubernetesによるオーケストレーション(Portworx)など、クラウドオペレーティングモデルのサポート――の4点を挙げている。これらの中からとくに現在のピュア・ストレージの優位性を特徴づけているDFMとEvergreen//Oneについて簡単に紹介したい。
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- Evergreen//Oneは単なる従量課金モデルではない
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