――2023年のビジネスはどのように推移したか。
販売の面では、(PCなどを取り扱うレノボ・ジャパンと共通化した)新パートナープログラムの「Lenovo 360」が浸透し、「One Lenovo」の芽が出た1年になった。PCと、サーバーやストレージとのクロスセルが拡大している。顧客に対してマルチポートフォリオを強化できた。ITインフラ製品としては、サーバーだけでなくストレージを組み合わせての引き合いが多くなっている。「データを自分のところに置きたい」というニーズがあり、当社でもその要望にお応えできている。
代表取締役社長 多田直哉
――特に成長が目立った製品は。
従量課金制でITインフラを提供する「TruScale(トゥルースケール)」が好評を博し、国内ではここ半年ほどの間にさまざまな案件で実稼働が始まっている。ありがたいことに、企業規模はエンタープライズから中堅・中小企業などさまざまで、業種も製造やヘルスケア、金融と垣根なく採用していただいている。
――“as a Service”でITインフラを調達したいというニーズが強まっているのか。
そう感じている。投資費用の面でユーザーの財布に優しいというフィナンシャルな面に加えて、運用面の利点も認識が高まったことでこの提供形態が浸透し始めたとみており、非常にポジティブに捉えている。
AIのビジネス実装を早期に実現する
――24年は、サーバーやストレージの需要はどう推移するか。
AIがかぎを握っている。AIの関わるコンピューティングに新しい動きが出てきて、企業から、「AIでこんなことはできないのか」と寄せられるニーズが明確になってくるだろう。
――グローバルでも「AI for All」という方針を打ち出しているが、どう取り組むか。
当社はAIに最適化された製品を70種類以上提供している。重要なのは、ITドリブンなAIではなく、課題を解決できるAIを実現するためのパートナーエコシステムを国内でも構築することだ。いかに早く具現化するかという部分を愚直にやっていく。
――AIの価値をどのように顧客に届けていく考えか。
当社はAIをパーソナル、プライベート、パブリックの三つのカテゴリーで考えている。企業が渇望しているのがプライベートの領域だ。企業向けのGPU搭載サーバーは、プライベートなAI活用という意味で成長が見込める。ただ、生成AIを業務のどこに取り入れられるのか、顧客によって判別が難しい部分がある。IT企業だけでなく、非ITのプレイヤーも巻き込んだエコシステムによって、カスタマーファーストという方針のもと顧客の課題解決に向かっていきたい。