――2023年の振り返りを。
23年はインボイス制度関係の案件がかなり伸びた。特に中堅・大企業向けERP「大臣エンタープライズ」については、案件の数が想定していた以上になり、11月末の段階で、22年の1年間と比較して売上高は2倍超となった。要因としては、これまで進めてきたウェブセミナーなどの取り組みが奏功し、パートナーの間で認知度が上がったことがある。また、業種特化型の事例の横展開が成功した。さらに、DXの前にあるデジタイゼーションと自動化をテーマに掲げ、業務プロセスにつながる提案を進めたことが競合他社と比べた場合の差別化ポイントになった。
代表取締役社長 原田明治
――ほかの製品も含めた状況は。
ペーパーレス化の加速などを通じてスピーディーな基幹業務を実現する「スマート大臣シリーズ」にも多くの引き合いをいただき、「大臣NX/AXシリーズ」も同じように伸びた。当社全体の業績としては好調な年だった。
大臣エンタープライズのSaaS版を提供へ
――24年の方針は。
大きなトピックとしては、大臣エンタープライズのSaaS版として、「大臣エンタープライズクラウド」を1月中にリリースする。SaaSでもフルカスタマイズが可能で、カスタマイズしていてもバージョンアップできるのが特徴だ。また、ノーコード/ローコードで開発できるため、短期間で導入できること点も強みといえる。SaaSを提供するからと言って、それだけに注力するわけではない。これまでのオンプレミスとサブスクリプションもしっかり提供し、お客様がニーズに合わせて選べるようにする。
――このタイミングでSaaS版を提供する理由は。
各企業で情報システム部門の人員確保が難しくなっており、オンプレミスの場合、サーバーの保守を含めて外に出したいとのニーズがあった。それに応えるためにはSaaS版しかないとの結論に行き着いた。
――販売戦略の想定は。
ターゲットは新規のお客様の獲得を基本とし、販売については既存製品と同様にパートナー経由で進める。具体的な戦略としては、パートナーによる業種特化型の事例の拡充と横展開に注力するほか、23年に順調に進んだ地方での拡販に引き続き取り組む。大臣エンタープライズシリーズの新規の売り上げのうち、半分をSaaS版で獲得することを目指す。既存製品のユーザーについては、3年後までに3割をSaaS版に移行できるようにしたい。お客様の要件に合わせた多様な運用が可能な次世代型の「カスタムERP」として、新たなブランドイメージを確立していく。