Special Feature
VAIOは「第3章」へ ノジマ傘下入りが変えるもの、守るもの
2025/06/12 09:00
週刊BCN 2025年06月09日vol.2062掲載
(取材・文/大河原克行、編集/藤岡 堯)

市場超える成長率
2025年5月7日、ノジマが発表した24年度(24年4月~25年3月)の連結業績において、VAIOの24年度第4四半期(25年1月~3月)業績が、新たに設定された「プロダクト事業」セグメントとして明らかになった。売上収益は176億9900万円、経常利益は8億5400万円。法人向けPC事業が約9割を占めるVAIOにとって、年度末需要が集中する3月を迎えていること、25年10月の「Windows 10」のサポート終了を受けた買い替え需要の本格化といった追い風が加わり、この3カ月間の業績は好調だ。
あくまでも机上の計算ではあるが、第4四半期の売上収益である約177億円を単純計算で4倍にすれば、売上収益は700億円にまで到達する。当初、25年5月期に見込んでいた500億円以上という計画値を踏まえると、VAIOの好調ぶりが分かる。
実際、VAIOは過去2年、売上高が過去最高を更新している。買収に伴う決算期変更により、24年度は24年6月~25年3月までの変則決算となったが、それでも前年実績を上回ったとみられる。ノジマは「PC市場が成長する中、VAIOは市場全体の成長率を上回るペースで販売が急伸している。法人PC向け事業の好調ぶりに加えて、ノジマ店舗での販売拡大や、グループ内の連携も開始している」と説明する。
決算短信では、24年10月に発表したハイエンド向けモバイルPC「VAIO Pro PK-R」で、1000台単位の一括商談が多くの企業で進んでいることを示し、販売に弾みがついている点を強調。ノジマでのVAIO取扱店は従来の約30店舗から国内230の全店舗に拡大し、ノジマ店舗用の専用器具も用意した。さらに、コネクシオやITXといったノジマのグループ会社との協業により、法人向けの提案でも成果が生まれつつある。
業績の低迷によって14年にソニーの手から離れて以降、投資ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)の下で再建を図ってきた10年間で、VAIOは確かな事業基盤を築いたと言えるだろう。
- 経営体制、事業方針は維持
- 「日本企業」の優位性
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