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<コンシューマ冬商戦戦略特集> ユニークな製品が次々登場 エンドユーザーと販売店を意識した製品でシェア獲得を目指す 後編

2007/09/24 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

「Digio」ブランドに統一し新展開
“新生ロアス”が始動

■6月下旬、林社長がトップに「選択と集中」進める

 PC周辺機器からファニチャーおよびサプライ、記録メディアまで、豊富なラインアップを揃えるロアス。同社の設立は1943年で、平成7年1月に「ロアス」に社名変更をして以来、すでに13期目を迎えている。マウスやカードリーダーなどのPC関連機器も実績は高く、「ロアス」のブランドは、すでに一般消費者に広く浸透している。そのロアスが、今回新社長を迎え、大きく変わろうとしている。

 6月下旬、ナカバヤシの監査役を務めていた林務氏がトップに就いた。林社長は、就任早々に「事業の選択と集中」を掲げ、「強い商品」「ロアスらしさ」が提供できる商品ジャンルに集中的に経営資源を投入する方針を示した。豊富なラインアップを揃えているのが同社の強みだが、今後はそのなかでも、とくに付加価値が高く、他社との差別化要素が多い商品に力を注ぎ、その注力商品を前面にアピールする方針だ。

 その方針がもっとも色濃く出ているのが、商品ブランドの統一だ。ロアスはこれまで商品ジャンルに合わせて複数のブランドを用意していた。しかし、この方針を転換し、ナカバヤシグループがこれまで使用し、ロアスでもデジタルカメラ関連で使用していたブランド「Digio」に統一する戦略に打って出ることを決めた。

 ロアスの知名度は個人・法人でも高いが、今後はナカバヤシグループとしてもっとも力のある「Digio」を強力に推進し、さらに認知度を広げていく構えだ。今回のブランド統一について林社長は、「高品質で安定して使えるのがロアス製品の強み。『Digio』に統一し、安心のブランドとして訴求していく」と説明している。

 「Digio」にブランドを統一したうえで、PCの周辺機器分野では、販売が好調のマウスやHUB、カードリーダーの品揃えをさらに増やす。カラーやデザインだけでなく、使いやすさと多機能化、高品質を重点ポイントに置いた開発戦略を推進する方針だ。

■法人向けラインアップを拡充し、法人の売り上げ比率を高める

 そして、林社長がもう1つ強化ポイントとして強調するのが、法人向け製品のラインアップ強化だ。

 現在のロアスの全売上高のうち、法人向け商品の売り上げは、全体の約40%を占める。今後は、全売上高を伸ばしながら、とくに法人の売り上げが占める比率を高めていこうという計画を、林社長は立てている。そのために、ラックやデスクなどファニチャー商品を中心に、ラインアップを拡充していくとのことだ。さまざまな顧客の細かな要望にも応えられるように、医療や教育機関などは、業種ごとに製品ラインアップを用意する。

 たとえば、医療機関向けとして、同社では医療現場のニーズに対応するための「電子カルテラックシリーズ」を用意している。このシリーズでは、医療現場で使用されることを意識し、衛生面を考慮した抗菌ポリ化粧板を活用したり、医療器具を収納しやすくした大型の引き出しにしたりと、さまざまな工夫を施している。この施策が功を奏し、すでに国立病院をはじめさまざまな病院で採用実績が出ている。

 また、今秋には、大型ラックの戦略商品をリリースする。このラックは、高さ2メートル、奥行きはノートPCがそのまま入る大型サイズながら、ハンドルを回すだけで左右にスムーズに動くというユニークな設計で、地震対策やセキュリティ機能、抗菌塗装も施す。こういった商品は、企業や医療、教育機関など、さまざまな業種に適しているという。新たな市場を広げる新製品として、今後の展開が期待されている。

■新生ロアスを披露するプライベートイベントを開催

 このように、新生ロアスとして、ブランドの統一や戦略商品の投入など矢継ぎ早に施策を打ち、変貌を遂げるロアス。この変貌を知らしめるべく、10月2日から5日までの4日間にかけて、同社はプライベートイベントを開催する。このイベントでは、「Digio」ブランドの商品展示ほか、新商品も一般に初公開し、新生ロアスをアピールしていくとのことだ。林社長のもとに変わっていくロアスを肌で感じられる現場となりそうだ。

ロアス=http://www.loas.co.jp/

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