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<コンシューマ冬商戦戦略特集> ユニークな製品が次々登場 エンドユーザーと販売店を意識した製品でシェア獲得を目指す 後編

2007/09/24 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

■両社の強みを融合し、これまでにない製品を

 『ぱそこんキッズキー』は、6-9歳の子供とその保護者をコアターゲットとしており、主な販売ルートは家電量販店、ネット通販などということだ。バンダイおよびバッファローでは、2008年3月までに20万個の販売を計画している。

 『ぱそこんキッズキー』はキャラクターグッズや子供向け製品のノウハウを持つバンダイと、家電量販店における販売力、販売ノウハウをもつバッファローのアライアンスによって誕生した製品だ。バンダイとバッファローは、『ぱそこんキッズキー』にとどまらず、子供たちのデジタルライフをサポートする安心で楽しい商品の企画・開発を推進していく。また、子供向けという枠を取り払い、バンダイのおもしろさとバッファローの実用性を融合した製品も創り出したいとしている。両社のアライアンスは、マーケットを活性化させるカギを握っている。今後の展開に大きく期待したい。

子供が被害に遭わないためにも
家庭で簡単にできる安全対策が重要に
防犯予防のツールとして防犯ブザーは当たり前

 警察庁が2007年8月23日に発表した「平成19年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について」によると、情報技術を利用した犯罪の検挙件数は1808件で、前年同期(1802件)とほぼ同数になっている。この中で児童買春事犯および青少年保護育成条例違反が385件で、前年同期(239件)より61.1%増となっている。また、サイバー犯罪の罪状別割合をみると、(1)詐欺=27.1%、(2)児童買春・児童ポルノ法違反=20.5%、(3)不正アクセス禁止法違反=8.6%、(4)著作権法違反=7.0%、商標法違反=6.5%、(5)青少年保護育成条例違反=6.1%となっている。子供が被害に遭う事犯が非常に高い割合であることが、数値として明確になっている。子供を犯罪から守るため、家庭はもちろん、学校・街ぐるみでの対策を行っているケースが増えている。防犯ブザー、ホイッスル、携帯電話などをすぐに取り出せるところにつけておき、使い方を練習している家庭も多いようだ。

ITを活用した安全対策ツールが普及

 この状況を打破するため、ITを活用した子供の安全対策を提供する企業も増えてきている。一例だが、PHS通信を利用した位置検索・緊急通報サービスも提供されている。24時間365日いつでもどこでも位置検索が可能で、PHS網を活用しているため屋内、地下街でも使えることが強みとなっている。

こういった端末には、危険が迫ったときに端末のスイッチヒモを引っ張るだけで、あらかじめ登録した連絡先数か所に順次通報が入るなど、緊急通報機能なども付加されている。専用機でなくても、子供用携帯電話にGPS機能が内包され、「居場所の検索」や防犯ブザー機能などが付加されたものも多い。子供の安全対策は、すでにマーケットとして確立しつつある。

有害サイトをブロック フィルタリングの必要性

 また、インターネットの脅威から子供を守ろうという動きもある。このソリューションの多くは、フィルタリングサービスを活用している。従来フィルタリングサービスは、業務と無関係なサイトの閲覧をできなくすることで、業務効率の向上を実現してきた。最近では、Webを経由した情報漏えい防止ソリューションとしての地位を確立している。その精度の高いデータベースを活用し、子供にとって有害サイトへのアクセスを禁止するサービスを提供している。

 フィルタリングサービスは、警察庁や総務省でも利用を推奨している。04年からは、携帯電話でもパソコン並みのフィルタリング機能を実現するため、携帯電話各社と連携して研究開発を実施。携帯電話事業者やプロバイダなどフィルタリングに関係する業界は、06年にはアクションプランを公表し、フィルタリングのPRキャンペーンを実施するなど周知活動を行っている。

 最近では、学校でインターネットを活用した授業があり、子供がパソコンに触れる機会が増えている。またパソコン以外にも、例えば携帯電話や家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機など、さまざまな端末がインターネットに接続されるようになった今、有害サイトへの接点は増える一方だ。

 子供にとっては、「ネットいじめ」につながる学校裏サイトや掲示板、闇サイトや自殺、出会い系サイト、プロフサイトなども脅威だ。一見危険にみえなくても、個人情報の取得を目的としていたり、詐欺まがいのサイトもある。インターネット上に無限に広がる有害サイトをブロックし、安全なインターネットの利用環境を提供する必要が生じているのだ。これらのサービスは、端末ごとに設定することももちろん可能だが、ルーターやプロバイダがサービスとして提供する場合もある。そういったサービスを活用すれば、端末ごとに設定する必要がなく、一元的な管理も可能だ。また、ネットワーク全体で設定することで、抜けのない対策が可能になる。そもそも安全対策を施さなければいけない社会に問題はあるが、その中でも子供たちの安全を確保するために、我々大人がしっかりとした対策をとっていかねばならない。

バンダイ=http://www.bandai.co.jp/
バッファロー=http://buffalo.jp/

(週刊BCN 2007年9月24日号掲載)

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