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<プリンティングソリューション特集> カラープリンタ市場 年末、年度末需要控え新製品ラッシュ 中編

2007/11/26 19:56

週刊BCN 2007年11月26日vol.1213掲載

カシオ計算機
プロジェクターとの融合販売を推進 一般オフィス市場開拓の切り札に

 「10月からプリンタとプロジェクターの営業部隊を統合、その相乗効果を発揮させるべく、新たな取り組みを推進していく」と語るのはカシオ計算機の営業本部国内営業統括部システム企画部VCI企画室の西田公浩リーダーだ。VCIはビジュアル・コミュニケーション&インフォメーションの略という。

 プロジェクターは事務機系の販売ルートからスタートしているため、一般オフィス市場に強い。一方、プリンタはシステム販売ルートからスタート、流通、医療、学校など特定市場に強い。「両者を融合させれば、相乗効果を発揮できる」というわけだ。

■ロングセラー続けるN3500

 現在同社の機種体系は、(1)高速、低コスト、小型軽量に加え、非接触ICカードによるセキュア印刷などを大きな特徴としたSPEEDIA(スピーディア)N3500/N3000」、(2)高速、高耐久性をうたいセンタープリンタを指向したN6100の2ラインからなる。いずれもLED4連タンデムのA3機で、N3500(24万8000円)はフルカラー24枚、モノクロ30枚/分、N3000は(19万8000円)フルカラー16枚/分、モノクロ30枚/分、N6100(26万8000円=各税別)はフルカラー33枚/分、モノクロ38枚/分のスピードを持つ。

 「N3500/3000シリーズは昨年6月に発売し、ロングセラーを続けている。A3対応でありながら設置面積は0.318平方メートル、重量は45kgと世界トップクラスの小ささ、軽さは当然評価されている。それに加えて、最近はセキュリティ機能に対する関心が高まっている」。

■非接触ICカードでのセキュア印刷好評

 N3500のプリンタ本体にHDDとICカードリーダーを装着、セキュリティソフトSECUREGATE CDと組み合わせて利用する。非接触ICカードはFelica、Mifare、I-CODE SLIの3種類に対応しており、おサイフケータイも利用できる。

 「以前のモデルではセキュア印刷のためにパスワードを入力する必要があったが、今度の非接触ICカード方式はかざすだけで済むので非常に使い勝手がよく、好評だ。役職者などはマル秘の文書をプリントすることが多い。こうした人たちにデモをしてみせると、それだけでいいのかと驚いて購入に結びつくケースが多い。導入後は印刷物の放置が減り、プリンタ周りがキレイになったという評価も受ける」という。

 プリントボリュームの多いユーザにはN6100を勧めているが、150万枚の高耐久性、印字品質の高さなどが評価されている。「新サービスとしてロングランサービスを開始した。普通、耐用年数は5年だが、継続して使いたいというユーザーに向けてさらに2年の延長サービスを実施する。環境にもやさしく、コスト削減にも有効だ」とのこと。

■肝心なところはカラー印刷を

 同社は、プロジェクターでも高いシェアを持っている。“スーパースリムプロジェクター”が好評で、持ち運べる手軽さが受けているという。さらに、マルチプロジェクションカメラYC-430も投入、プロジェクターとの連携により、書類や立体物の実物投影を実現した。

 「プレゼンテーションを行うにはプロジェクターは必須製品。投影するだけでなく、ポイントの所は紙の資料で欲しいというニーズは当然ある。プロジェクターとプリンタの組み合わせ販売は相乗効果をもたらす。カラーでグラフィカルな資料を作れば、訴求力が高まるので、社内プレゼンにカラープリンタを導入しませんかと訴えていくと、乗ってくるユーザーが増えている」そうだ。

 「N3500は耐水紙も使えるので、日替わりメニューを打ち出せるようになったと、飲食店では好評だ。このように、カラーを使う人たちのために、きめ細かいニーズを掘り起こし、機能強化を図っていく」というのが当面の同社の戦略だ。

カシオ計算機=http://casio.jp/

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