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<プリンティングソリューション特集> カラープリンタ市場 年末、年度末需要控え新製品ラッシュ 後編

2007/11/26 19:56

週刊BCN 2007年11月26日vol.1213掲載

理想科学工業
新しいユーザー層の拡大に取り組む オルフィス、連結売上高の約19%を占めるまでに成長

■ユーザー満足度高くインクの販売が拡大

 「インクジェット事業(オルフィス=ORPHIS)は、欧州で好調を持続、連結売上高の約19%を占めた」――これは理想科学工業が平成20年度3月期中間決算発表で公表した数字である。欧州では、フランス、イギリスが好調で、国内については「インク販売およびプリントチャージの拡大が目立った」と補足している。

 「インク販売の拡大、プリントチャージの拡大は、ユーザーがオルフィスを確実に使いこなしていることを示している。我々にとって実にうれしい傾向だ」と分析するのは割橋慶則ORP統括部長だ。「設置台数の拡大はもっと加速させたいが、ユーザー満足度の高いことがもっと広く知られてくれば、それも可能になるだろう」と笑顔を見せる。

■毎分120枚の超高速印刷で印刷コストはカラー2.5円

 オルフィスは、フルカラー120枚/分という高速印刷を誇るインクジェットプリンタである。現在のHC5500シリーズは05年11月にスタートしたが、着実に市場を拡大中だ。現在のラインアップは、ベースモデルとなる「ORPHIS HC5500A」、PostScript 3対応RIP搭載の「ORPHIS HC5500 PSモデル」、Intel Pentium 4(3.4GHz)をRIPに採用したハイエンドモデル「ORPHIS HC5500 ISモデル」の3機種で、多様なオプション群も用意している。 プリント速度は片面毎分120枚、両面毎分48枚と高速で、プリントコストはカラー2.5円、モノクロ0.75円と、こちらは低価格を誇る。

■営業用途に加え大型病院での導入進む

 ユーザー層は「チラシやダイレクトメール(DM)の作成など営業用途」が最も多い。

 「それまでは外注に出すしかなかったが、オルフィスの登場で、内製化したほうがコストダウンを図れることがわかってきた。毎月2万枚のダイレクトメールを出すなら、内製化したほうが絶対にコストダウンできますとアピールしているが、その辺りの事情をユーザーも理解してくれています。そして実際に使ってみると、確かにコストダウンでき、それまでは2万枚に抑えていたダイレクトメールを、これなら4万枚、5万枚作ってもいいとなって、それがインク販売の拡大、プリントチャージの拡大につながっている」というのが割橋部長の分析だ。新しいユーザー層の拡大も当然取り組んでいるが、最近では、大型病院での導入が進んでいるという。

 「大型病院では、大量印刷の必要な書類が結構ある。たとえば、看護士同士のコミュニケーションを図ったり、申し送り事項などを記した院内文書がそうだ。また、患者へのサービスとして、予防方法や、この病気だったらこういう食事をしてくださいとのお知らせや、リハビリ中の人に対してはこんな行動はいけませんなどの告知などで、カラーにすることで非常に見易くなり、重要なところは赤で強調することなどもできる。不特定多数の人に対して訴えるには、カラー印刷が極めて重要だということを、大型病院では気がつきだした」という。

■オプションでICカード認証キットも発売

 オプションの新製品としては、8月に「ICカード認証キット」を出した。「暗証番号によるセキュリティプリント機能は持っていたが、もっと簡単にセキュリティ対策を図りたいというニーズに応えて、非接触型のICカードによる認証システムも出すことにした。Mifare、Felicaの規格に対応しており、殆どのICカードが利用できる」としている。

 「競合メーカーがないぶん、市場開拓は大変という側面はあるが、販売店様と協力しながら、喜んで使ってもらえるユーザーを増やしていく」というのが割橋部長から販売店へのメッセージだ。

理想科学工業=http://www.riso.co.jp/

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