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<プリンティングソリューション特集> カラープリンタ市場 年末、年度末需要控え新製品ラッシュ 後編

2007/11/26 19:56

週刊BCN 2007年11月26日vol.1213掲載

焦点となる機能競争 セキュリティ/XPS対応/節電対策

■セキュリティはICカードで決着、生体認証が新たなテーマに

 機能面で注目されている動きを概観してみよう。

 昨年来焦点となっていたのは、セキュリティ対策だが、非接触型ICカードによる認証が完全に主流になってきた。

 一般的に言えば、プリントデータをハードディスクに保存、非接触ICカードや携帯電話をかざして印刷指示を出す。これまではパスワード認証が一般的だったが、面倒という声が多かった。ICカード認証なら、パソコンの前を離れるときと、プリンタにきたときにかざすだけでよいので、非常に使い勝手が良くなる。これが、ICカード認証が一般的になった大きな理由だが、対応するICカードはFelica、Mifare、I-CODE SLIなどフル対応を図るところが多く、おサイフケータイも使えるようにするところが多い。

 さらに不正コピー防止機能としては、地紋印刷、ユーザー情報を印刷するID印刷機能、ユーザー限定印刷機能なども搭載されだしている。

 ここにきて注目されているのは生体認証機能で、静脈認証を提供する所が増えている。

■MSのプリント基準XPSにどう対応するか

 今後焦点のひとつになりそうなテーマのマイクロソフトのXPS(XML Paper Specification)に対応した。マイクロソフトでは、XPSについて、「ユーザーおよび開発者に、堅牢かつオープンで信頼できる電子ペーパーの形式を提供する。XML Paper Specificationでは、ハードウェア、ソフトウェア、および人が読むことができる方法で電子ペーパーを記述できる。また、XPS ドキュメントは、印刷方法の向上、より簡単な共有、より強力なセキュリティ、および信頼性の高いアーカイブを実現する」と説明する。

 要するにアドビのPDFへの対抗技術で、PDF駆逐を狙っているとみられるが、これまでプリンタメーカーの対応は案外鈍かった。

 今回、コニカミノルタがPDFに加えてXPSにも対応してきたが、これが刺激になって各社が採用する方向に動くことも考えられる。

 PDFより使い易いという声もあるだけに、今後の動向が注目される。

■節電対策ではスリープ時に加えTEC値も焦点に

 節電対策も今後の大きなテーマである。これまではスリープ時の省電力だけが取り上げられることが多かったが、今後はTEC値も注目されることになりそうだ。

 スリープ時の消費電力については、キヤノンが11月14日に発表したLBP5910F/5910で、「スリープ時の消費電力はわずか1W」と強調した。それまでは3Wだったので1/3の低消費電力化に成功したことになる。

 一方、20日に発表した富士ゼロックスのDocuPrintC2250は1.5Wを打ち出した。まさにコンマ以下の戦いに入っている。富士ゼロックスではスリープモード時も大事だがトータルでの省エネの指標となるTEC値も重要としている。

 TECというのはTypical Electricity Consumptionの略で、財団法人省エネルギーセンターが打ち出している「国際エネルギースタープログラム」による適合基準である。概念的には、1週間(稼働とスリープ/オフが繰り返される5日間+スリープ/オフ状態の2日間)の消費電力量を指す。富士ゼロックスではこのTEC値を1.63kWhと公表「他社より一歩先行している」としている。

(週刊BCN 2007年11月26日号掲載)

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