Special Issue

<大塚商会特集> 大塚裕司社長に聞く今年の基本戦略 お客様とともに飛躍する 後編

2008/02/04 19:56

週刊BCN 2008年02月04日vol.1221掲載

セキュリティソリューション
高難度化するセキュリティ対策をプロダクト、体制面で後押し

■情報漏えい対策が複雑多岐に

 大塚商会は、08年のセキュリティビジネスを、入退室など物理的なセキュリティを含めた「統合セキュリティ分野」が高難度化し、ウイルス対策など「シンプル&簡単セキュリティ分野」で単価ダウンが進むとみている。企業内のセキュリティ対策は複雑化しているが、同社はこの状況に的確に対応するため、「OSM」というコンセプトを強化事業の1つとして位置づけ、セキュリティ環境の構築と運用を支援する「総合セキュリティマネジメント体系」を構築している。ユーザー企業の「情報セキュリティポリシー策定」に関するコンサルティングから「ファイアウォール・アプライアンス機器」の導入、運用支援、総合ウイルス対策など、企業セキュリティに関するすべてに対応できる体制を敷いている。

 こうしたなか、大塚商会は08年のセキュリティビジネスを取り巻く環境について、(1)マイクロソフトの次期サーバーOS「Windows Server 2008」の登場によるネットワーク環境の見直し、(2)内部統制に対応したマネジメント視点の導入、(3)NGNやWiMAX等の高速通信網の登場に伴うモバイル環境やWAN(広域通信網)環境の変化、(4)ASP-BPO(ASP型のビジネス・プロセス・アウトソーシング)によるIT利用環境のすそ野拡大が進む、と分析。IT環境の変化に準じ、セキュリティ関連の対応が必要になるという。「Windows Server 2008」は、08年4月に出荷が始まる。これは「ネットワークアクセス保護(NAP)」などが搭載された「セキュアなOS」で、普及に伴ってネットワーク環境を見直す機運となる。ユーザー企業では、システムの全体最適化やコスト削減などを目的とした「サーバー統合」が進展し、バックアップ用のストレージが大容量化して、セキュリティ面では「重要情報をどのタイミングで安全にテープストレージにバックアップすべきか、といったコンサルテーションが重要になる」と同社はみている。

 また内部統制関連では、大手製造業を中心に関連子会社や取引先に内部統制やコンプライアンス(法令順守)などの対応を要求するケースが増えてきた。

 特に「ウイルス対策には、今まで以上に敏感」という。最近では、ボットウイルスに感染したPCが意図せず関連会社や取引先に不正メールを送り続け、取引停止に追い込まれたという事態も聞かれるようになった。このため「相手に被害を与えない」「もらわない」という基本的なセキュリティ対策に加え、「情報漏えい防止」「データ保護対策」など、企業の信頼性を守るために必要な「企業規模に応じた統合マネジメントが求められるようになる」というのが同社の分析だ。

 年末から09年にかけて本格的なサービスが始まるとみられるWiMAXに関連し、同社は企業の営業担当者らが業務で使用する携帯電話などモバイル端末回りで新たなセキュリティ対策が求められてくると予測する。

 セキュリティ対策に“特効薬”はなく、企業内で地道にセキュリティレベルを上げていく「セキュリティマネジメント」全体に関する支援の重要性が増すため、ここへ向けた体制整備など、万全の対策を敷くため順次拡充策を講じる方針だ。


ページ数:1/1 キャプション:

ドキュメントソリューション
MFPパートナー会で新モデル創出へ

 大塚商会とリコーは2007年9月、両社が長年培ってきたMFP(デジタル複合機)に関連したビジネスを広げ、より広範囲にユーザー企業のドキュメント環境の課題解決を支援するため、帳票系や情報共有系などのITベンダー7社と「MFP連携ソリューション・パートナー会」を発足した。08年は、同パートナー会から新ソリューション・モデルを相次ぎ打ち出す予定だ。

■リコーやITベンダー7社と連携

 大塚商会とリコーは、従来からドキュメント(電子/紙)回りで協業を進め、05年にはMFPと基幹システムをダイレクトに連携させるシステムとして「DB-DocLink」を共同開発し、すでに両社で600セットを販売するなど、ドキュメント関連で新しい市場を開拓した実績がある。この両社を中心に「MFP連携ソリューション・パートナー会」を結成。参加ITベンダーは、ウイングアークテクノロジーズ、NECマグナスコミュニケーションズ、メディアドライブ、OSK、サイボウズ、JFEシステムズ、ハイパーギアの7社である。

 MFPは、技術革新により高機能・高性能化したが、MFPを含めたドキュメントソリューションをユーザー企業で、今まで以上に使い勝手をよくするためには、新たな機能を付加したり、サービスメニューを増やすなど、取り組むべき課題が多くある。たとえば、業務のワークフローに応じて帳票などの入出力処理できる環境を整えれば、使い勝手を高めることができる。このため、上記の参加ITベンダーとのアライアンスが必須で、今回の提携に至った。

 08年2月に東京・品川で開催する大塚商会の「実践ソリューションフェア2008」では、同パートナー会で生みだしたソリューションとしてサイボウズのEIP(企業情報ポータル)型グループウェア「サイボウズ ガルーン2」やメデイアドライブの「名刺ファイリング・サーバーV3.0」とMFPを連携させたソリューションのデモンストレーションを見ることができる。

 「ガルーン2」とのソリューションでは、グループウェアの掲示板やメール、作業報告書などに設定した情報をMFPからダイレクトにプリント出力できる仕組みをデモする。メディアドライブの「名刺ファイリング・サーバーV3.0」との連携では、10枚並べた名刺をMFPのスキャナーで読み込み、直接サーバーにデータを蓄積できる機能を説明する。

■MFPを「使いこなす」方策提供

 このほかでも「業務フローに合わせたMFPとの連携ソリューションを次々と開発して、ユーザー企業へ提案する一方、導入支援サービスなどにも力を入れていく」と、大塚商会ではMFP関連ビジネスを拡大する計画だ。たとえば、導入前には「複合機・プリンタ統制診断サービス」を施し、実態調査・分析・診断・評価をしたうえで、「複合機導入計画書作成支援サービス」をユーザー企業へ提案し、MFP導入を促す。診断サービスでユーザー企業の利用状況を調べると、「このプリンタは一部の社員しか使っていない」といった非効率な利用実態がみえてくるという。

 また、診断サービスなどを経て導入する際には「複合機導入支援サービス」を行う。「業務に応じたMFPの活用術をアドバイスし、導入効果を高めてもらう。現在のMFPの機能は多機能・高性能化し、全機能を使いこなすのは大変だ。サービス費用は多少はかかるが、MFPが本来持っている機能を的確に使いこなしてもらうことで、これまで以上にコスト削減でき、導入効果も高まる」と強調する。

 「使いこなしてもらう」――。この言葉は、大塚商会がドキュメントソリューションに取り組む姿勢を何よりも象徴しているといえる。
ページ数:1/1 キャプション:

たよれーる
“業務効率の最大化と本業への集中”を支援

■「企業のかかりつけのお医者さん」になる

 企業では、オフィス内のIT化に伴い、複数メーカーのIT機器による複合化・統合化が進み、総合的な運用・管理・保守の重要性が増している。

 大塚商会の「たよれーる」は、ITの活用はもちろん、総務・人事・財務・調達など企業のさまざまな業務を総合的に支援するサービス&サポートと位置づけられている。

 07年度はITサポート面では障害を未然に防ぎダウンタイムを最小限に止める仕組み・保守体制に力を入れた。

 例えば、サーバーからのエラーを自動でセンターに通知する「自動通報サービス」や問い合わせ時にパソコンの画面をセンターと共有する「リモートサポート」などで、トラブルの早期解決を可能としている。運用管理面ではIT資産管理業務の負荷軽減を実現する「アセットASPサービス、統合ライセンス管理Webサービス」を提供。08年度は、既存のサービスに加え、さらに新たな支援サービスを提供、「どんなときも頼りになる『かかりつけのお医者さん』をキャッチフレーズに、お客様のさまざまな経営課題や『困った』の解決をサポートしていく」としている。



たのめーる
順調に成長する「たのめーる」大幅な改善でさらなる飛躍へ

■使いやすさをさらに追求

 大塚商会の中核事業の1つとして、毎年、売上高100億円以上の増加を実現しているのがオフィス用品やパソコン関連商品の通販サービス「たのめーる」である。08年も「昨年度以上の上乗せを目指している」と強調する。というのも、08年度にさらなる飛躍を遂げるため、07年後半に「使いやすさ」をコンセプトに大幅なリニューアルを実施したからだ。具体的に強化した点の1つとして、部署ごとの発注管理や承認など多彩な機能を盛り込んだASP方式の「MAたのめーる」でオリジナルカテゴリー強化があげられる。「ユーザー企業内での推奨商品が迅速に見つかるなど、検索機能の簡便性を追求することで、さらに使いやすく仕上げている」という。このほかにも、「たの割ミックス」の取り扱い点数を大幅に増やし、価格低下につなげている。また、介護の必需品約3500点を掲載した介護用品カタログ「ケアたのめーる」を07年12月に発刊した。単に商品の説明だけではなく、予防介護の必要性についてのコラムを掲載するなど、サービスの拡充に余念がない。大塚商会では「今後も『たのめーる』ビジネスのさらなる拡大を狙う」構えだ。(週刊BCN 2008年2月4日号掲載)
  • 1

関連記事

<大塚商会特集> 大塚裕司社長に聞く今年の基本戦略 お客様とともに飛躍する 前編