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<セキュリティソリューション特集>3053万人もの個人情報が漏えい 導入・運用できるソリューションで市場のすそ野を拡大

2008/07/14 19:56

週刊BCN 2008年07月14日vol.1243掲載

バラクーダネットワークスジャパン
企業ブランドの認知を進める
日本に適した展開を推進

スタートアップから安定企業への移行期

 2005年、バラクーダネットワークスジャパンが日本法人として設立された。08年現在、スタートアップから次のステップに進みつつある会社として、大きな転換期を迎えている。

 同社は、これまでテクノロジーを軸に訴求を行い、市場からも一定以上の評価を得てきた。富士キメラ総研の「2007 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」の「電子メールセキュリティアプライアンス」では2年連続トップシェアを獲得するなど、実績を積み重ねている。「アメリカと日本を比べた場合、ビジネスの進め方は全く違います。特に、購買プロセスをみると、その傾向が顕著に見られます。アメリカでは、製品が優れていれば導入されますが、日本では稟議申請して承認を得なければならず、企業も評価されます。必ずしもいい製品が導入されるとは限りません」と、マーケティングの仁木均ゼネラルマネージャは語る。

 仁木ゼネラルマネージャは、20年以上、IT業界に携わってきた。さまざまなプロダクトを扱い、製品を立ち上げてきた経験もある。この言葉は、その実体験による率直な感想である。

 どんなにいい製品でも、それを提供している企業ブランドが認知されていなければ、会社の説明から始めなければならない。逆に、企業ブランドが認知されていれば、企業としての信用力も高まり、製品の性能や品質のみを説明するだけで購入に結びつく。会社自体の説明というプロセスが不要で、販売にも結びつきやすい。

 「IT業界では、“Barracuda Spam Firewall”の認知は進んでいます。しかし“バラクーダネットワークスジャパン”という会社自体の認知は、まだそれほどでもないと思っています。他の業界ではなおさらでしょう。今後は、企業としてどれだけ信頼を勝ち得ていくのか。“バラクーダネットワークスジャパン”の企業ブランドの認知・向上も重要なマーケティング活動の一つと考えています」(仁木ゼネラルマネージャ)。

 アメリカ/ヨーロッパではバラクーダネットワークスの認知が進み、ワールドワイドで6万台超の製品出荷を記録している。仁木ゼネラルマネージャは、「日本においても、バラクーダネットワークスジャパンがウェブと電子メールのトータルセキュリティを提供する企業だということを認知いただきたい」と続けた。

 同社の活動は、パートナー企業にとって、これまで以上に売りやすい環境が整うことになる。それだけに期待するパートナー企業も多い。

新規市場を創出する新製品2機種を投入

 「マーケティングや営業、エンジニアなどを増員し、バラクーダネットワークスジャパンの体制を大幅に強化していきます。予定として8月には新製品の投入も控えていますので、さらに急ピッチで進めます」(仁木ゼネラルマネージャ)。市場に投入されるのは、WAFアプライアンスの「Barracuda Web Site Firewall」と電子メールのアーカイブソリューションである「Barracuda Message Archiver」の2機種だ。

 WAFはサイト改ざん、データ盗難の防止に利用されることが多い。米国ではPCI DSSの要件順守のために導入が進んでいる。

 電子メールアーカイブは、内部統制の構築という背景を受けて、急速にニーズが高まっている。

 これまで、これらのソリューションは大企業を中心に拡販されてきたため、中堅・中小規模企業で導入できる価格帯や機能ではなかった。しかし、ミッドレンジに対して適切な価格帯で運用しやすいソリューションを提供するようになり、新しい市場を創出するソリューションとして大きな期待が寄せられている。

 「当社の製品は、誰でも運用できるように設計・開発されています。非常に手軽に導入できるため、新しいニーズを掘り起こせると期待しています」(仁木ゼネラルマネージャ)。

 体制を強化し、パートナー支援を強化しているバラクーダネットワークスジャパン。新規市場の創出を含め、同社の今後の活動に期待したい。


バラクーダネットワークスジャパン=http://www.barracuda.co.jp/

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