Special Issue

<セキュリティソリューション特集>ユーザーニーズに応え、新たなセキュリティ製品が次々と登場

2009/06/11 19:56

週刊BCN 2009年06月08日vol.1287掲載

 2005年に完全施行された「個人情報保護法」を契機に、企業の情報管理への意識は急速に高まった。いったん情報漏えい事故を引き起こしてしまうと、社会に及ぼす影響が大きいばかりか、企業の信頼も地に落ちることから、「セキュリティ」を高める動きが一気に加速したのだ。こうした背景から、多くの企業が一斉にセキュリティシステムを導入したが、そこから新たな課題が生まれた。複数のセキュリティ製品を導入することによって、管理・運用工数が増大し、企業の負担となり始めているのだ。今後は、管理・運用負荷をいかに低減させていくのかというのが、セキュリティ市場の大きな課題となっていくだろう。

 ウイルスなど、企業を襲う脅威は日々増加する一方だ。悪意のあるマルウェアへの対策はもちろん、スパイウェア対策、フィッシング詐欺対策、ぜい弱性管理など、あらゆる脅威を想定したセキュリティ管理が求められている。

 最近では、これらの脅威が連携する「複合型」の脅威まで出現している。例えば、スパムメールが呼び水となって悪意のあるサイトに誘導してウイルス感染させたり、感染したウイルスが他のウイルスへの感染を促し、クライアントPC内に保存している情報が漏えいすることもある。こうして漏えいしたユーザー情報は、悪用され、企業システムに不正アクセスされる危険性がある。企業は、複合化する脅威に対応するセキュリティ対策を検討する必要に迫られているのだ。

運用・管理が新たな課題に

 セキュリティ対策を万全にしようと、数多くの製品を導入すると、今度はその運用・管理工数も増大することになる。この運用・管理工数が企業にとっての新たな負担となりつつある。リスクを低減させるセキュリティ対策は増強したいが、その運用管理までは手が回らないという企業が増えているのは、そのためだ。

 そこで考えられるのが、管理工数を削減するための「統合管理ツール」やUTMの導入だ。これらのツールを導入すると、セキュリティシステムの一元的な管理ができるようになり、セキュリティレベルを落とすことなく管理工数を大幅に節減できる。

 また、セキュリティの向上と管理工数の削減という観点から、「シンクライアント」が注目されている。「シンクライアント」の実装方式はいくつかあるが、基本的には、クライアント側に必要最小限の機能のみ用意し、アプリケーションやファイルなどの資産はサーバー側で管理する。端末側に情報を保存できないため、情報漏えい対策としても効果が期待できる。

 しかし、「シンクライアント」の導入で、すべての課題が解決するわけではない。通常のPC環境と同様に、個人認証を正しく行わなければ、本人でなくても保存されている情報にアクセスできてしまう。そこで、「ユーザーがどのような操作を行っているのか」「業務に必要な操作なのか」ということを判断するため、ロギングツールの導入が必要になる。ログは、ユーザーがどのような操作をしたのかという行動を克明に記録する。しかし生ログをそのまま確認するだけでは、企業の現状を把握することは難しい。生ログを加工し、必要な部分を取り出してレポートするなど、ログを活用するソリューションが必要だ。ログは、上手に活用できてこそ、本当の価値が生み出せるようになる。

「検証」によりコスト低減

 このように、セキュリティ市場にはさまざまなソリューションが登場している。ソリューションによってはOSのかなり深い部分まで入り込んでいる場合もあり、業務アプリケーションとの相性問題を考えなければならないケースもある。

 

 特に、ミッションクリティカルな業務で活用しているアプリケーションの場合、ソリューションとの相性によって、システムの停止につながったりすることは許されない。万が一、そんな事態が生じれば、サポート工数や手戻りがかかり、コスト増となることは避けられないだろう。

 こうした事態を避けるため、「メーカー」同士がアライアンスを組み、メーカー側で「検証」するという動きが出てきている。製品を組み合わせて販売する際、実際に「検証」を行って動作を確認することで、ユーザーに安心感を与えているのだ。これまでは、販売するシステムインテグレーターなどが検証を行っていた。しかし最近は、システムインテグレーター側でそのリソースを確保できないケースもあり、検証が大きな課題となっていた。メーカー同士が「検証」しておけば、インテグレーターにとっては検証の負担がなくなるし、ユーザーの信頼感が高まり、販売促進につながる。

 このように、セキュリティ市場では、時流に合ったソリューションが次々と登場している。より堅牢なシステムを求めるユーザーの声に応えながら、今後も伸長し続けるだろう。



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