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<トレンドマイクロ特集>パートナーとの協業体制強化で「Security That Fits」を推進

2010/04/22 19:55

週刊BCN 2010年04月19日vol.1330掲載

 企業の間では、コスト削減などを目的にクラウドサービスの利用や、仮想化技術の採用が進んでいる。インターネットを介して、膨大なデジタル情報をやり取りする時代が到来しているが、一方でサイバー犯罪の手口も巧妙化し、企業の価値ある情報が危険にさらされている。クラウドや仮想化によって複雑になるユーザ企業のITシステムのニーズに即したセキュリティを提供するために、トレンドマイクロは新たな戦略的製品の投入で市場を伸ばしてきた。ビジネスパートナーとの協業体制を一層強化することでさらなるビジネスの拡大を狙う。

多様化するIT環境にフィットした
セキュリティソリューション必須に

大三川彰彦 取締役
エグゼクティブバイスプレジデント
日本地域担当 兼
エグゼクティブバイスプレジデント
アジア・ラテンアメリカ地域
営業推進担当
 トレンドマイクロは2010年、「Security That Fits(多様化するニーズに応えるセキュリティの提供)」を戦略として掲げた。ネットワークインフラや技術の発展により、インターネット経由で膨大なデジタル情報をやり取りする時代が訪れている。ネット接続端末の進化もあいまって、どこでも情報にアクセスできる利便性が生まれた。その一方で、サイバー犯罪は巧妙化し、表面化しない潜在的な脅威の蔓延、機密情報の流出といった被害は増加の一途をたどっている。

 IT環境が急速に変化し、ITソリューションの提供先も、企業内システムのパソコン/サーバから、SaaS、PaaS、IaaSといったクラウドサービスを提供するデータセンターにまで広がっている。クラウドデータセンターでは仮想化技術を用いて、複数のユーザ企業が同じ物理マシンを共有している。ユーザのなかには複数のデータセンターをまたいだシステムや、自社内システムとクラウドとのハイブリッド型システムを構築する企業もあり、システムの運用が複雑化している。従来の企業内システムを保護するウイルス対策ソフトウェアだけでは、セキュリティのリスクを回避しきれなくなっている実態がある。

 大三川彰彦取締役は「ネットワーク社会になり、価値ある情報がインターネットを介して飛び交うようになりました。弊社は以前より『デジタル情報を安心、安全に伝達できる世界を作っていく』というビジョンを持っています。『絶対安心』はありませんから、事前防御とともに、何かがあったときには迅速に原因追求し、対策を打つという戦略を進めています」と話す。

 複雑化、多様化する顧客のIT環境のセキュリティニーズに応えるため、トレンドマイクロでは三つのソリューションを戦略的製品と位置付け、市場の拡大を進めている。クラウド、物理マシン、仮想化の混在環境に対して均一のセキュリティポリシーを適用するソリューション「Trend Micro Deep Security」は、仮想化技術の普及が進む北米を中心に大手企業のミッションクリティカルシステムおよびデータセンターでの大規模利用の多数実績をもち、今年3月に日本でも満を持して出荷開始となった。また、企業内ネットワークでプログラムの振舞いを監視し、潜在的なマルウェアを検出するサービス「Trend Micro Threat Management Solution」は、中国やアジアに進出している日系企業を中心に販売実績を伸ばしている。このほか、企業内システムからの機密情報漏えいを防止する「Trend Micro Data Loss Prevention」はヨーロッパやアジア圏での実績もさることながら、国内でも成長している製品だ。


パートナーとの協業強化でビジネス加速
評価から運用までトータルサポート

 これらのソリューションを企業のミッションクリティカルなシステムに導入したり、データセンターサービスとして提供する場合、顧客固有のシステムに適合させるためのコンサルティングやシステムインテグレーション、保守運用の技術力やデータセンターサービスで強みをもつシステムインテグレーターとの協業が必要不可欠となる。一方、パートナーは、クラウドサービスをはじめ、ユーザ企業のアジア進出に伴って、中国、韓国などへのビジネスを拡大してきている。「弊社は“グローカル”企業として、世界展開とあわせて、アジア各地でのローカルビジネスを手がけてきました。海外進出する際にもサポートを提供できる点でパートナー様に大きなメリットをご提供できます」(大三川取締役)と話す。

 トレンドマイクロでは、パートナーがトレンドマイクロ製品と、自社のソリューションやサービスを組み合わせてユーザ企業のニーズにフィットした付加価値の高いソリューションを実現できるようにするため「認定ソリューションパートナープログラム」という新しいプログラムを整備した。


 従来のサポートから大幅に強化されたポイントは、製品の評価段階からシステムの安定稼働、運用段階まで、トレンドマイクロの専任エンジニアがアサインされ、パートナーのビジネスモデルを理解した上で、最適なトータルサポートを提供できる点にある。開発対応やカスタマイズ、システム間連携等における検証のサポート体制も強化したほか、技術者育成メニューも用意し、新たな市場を共同で拡大する重点パートナーに対して、営業からマーケティング、導入・運用の技術面まで幅広い支援基盤を実現した。

 トレンドマイクロは今年度(2010年12月期)中にパートナープログラムへの加入30社を目指し、ビジネスを加速させる方針だ。大三川取締役は「IT環境が複雑になっている今、専門性が問われています。パートナー様にプログラムへご参加いただくことで、弊社とともに、顧客に必要とされている新しいソリューションモデルを作ることができるようになります。弊社は常にパートナーありきのビジネスを展開してきました。パートナー様とともに顧客も含めた『エコシステム』を構築していきます」と断言した。

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トレンドマイクロ=http://www.trendmicro.co.jp