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クオリティ 2011年、力を注ぐ4製品・サービス クラウド、PDF作成・編集など幅広く

2011/03/04 19:55

週刊BCN 2011年02月28日vol.1372掲載

 IT資産管理ソフト・サービス市場で確固たる地位を築くクオリティソフト(浦聖治代表取締役)。さまざまな製品・サービス群をもつ同社だが、2011年は特に四つのソリューションの拡販に照準を合わせている。その中身は、急成長するクラウドサービスからPDF作成・編集など多彩だ。浦代表取締役は、今年どのような開発・販売戦略を構想しているのか──。

SAMを実現するオンリーワンソフト

浦 聖治代表取締役
 クオリティソフトが2011年に力を入れる具体的なソリューションは、「SAM(ソフトウェアライセンス管理)」「バックアップ」「PDF作成・編集」、そして「クラウドサービス」の四つだ。

 まずはSAMから、その内容をみていく。SAMとは、企業・団体にあるソフトを適切に管理することで、法令を遵守するには必須の業務である。SAMでは、複数のITベンダーからも専用ツールが登場しているが、SAMを実現するには特有のノウハウと仕組みが必要になる。「ライセンスを適切に管理するには、ソフトウェアのライセンス使用許諾契約書(ライセンス約款)まで踏み込んだ管理手法が必要。ただ、競合他社のツールはそこまで実現できていない」と浦代表取締役は指摘する。

 クオリティソフトのIT資産管理・ライセンス管理ツール「QAW」は、日立情報システムズのライセンス管理ツール「License Guard機能」を組み込むことによって、厳格なSAMを実現している。業務利用される、主要なソフトウェアの「ライセンス約款辞書」を1700種類(8000種類に拡充予定)標準搭載活用し、各社のソフトウェアのライセンス形態に合わせたライセンスの割り当てや過不足を自動集計・把握することができる。「SAMを実現するツールを謳うITベンダーはたくさん存在するが、他社は、ライセンス約款との紐付けまで踏み込めていない。『QAW』はSAMを適切に行えるオンリーワンソフトと自負している」(浦代表取締役)と、自信をみせる。

 そして二つ目が「バックアップ」で、リアルタイムバックアップのアプライアンス(専用機器)である「QQR」だ。QQRとは、業務を止めずに情報システムのデータを常時バックアップする。必要なハードとソフトを最適化しているアプライアンスであるため、ハードやソフトを個別に揃えるよりも導入期間もコストも低減できる。

 「バックアップの需要は今、仮想化を切り口に急増している」と浦代表取締役は話す。情報システムを仮想化し、物理サーバ数を削減してもバックアップの手間は減ることはなく、それに課題を抱いているユーザも少なくない。QQRでは、リカバリポイントの世代管理とマージ機能を使って、仮想環境全体のバックアップデータ量の削減できるなど、仮想環境のバックアップにも適した複数の機能を搭載している。

ヒットサービス「ISM CloudOne」

 三つ目はPDF作成・編集ソフトの「Quality Gaaiho PDF Suite」だ。IT資産管理ソフト・サービスの知名度が圧倒的に高いクオリティソフトだが、PDF関連ソリューションの提供には10年以上前から手がけている。その実績を武器に、クオリティソフトが2010年3月に発売したのが、「Quality Gaaiho PDF Suite」だ。

 「Quality Gaaiho PDF Suite」は、PDFファイルの作成や編集、変換するツール。PDFは、端末やOSなどに依存することのない電子文書フォーマットとして広く流通し、それを閲覧するビューワーソフトは無料提供されている。しかし、それを作成・編集するソフトは特定メーカーで、「多機能で高額」か「安価だがビジネス向けでない」製品がほとんどだ。そんな中にあって、「Quality Gaaiho PDF Suite」は、市場に一石を投じた製品だ。他社のハイエンド製品と同等の機能をもちながら、価格は1ライセンス、6460円(100ライセンス購入の場合)で販売している。浦代表取締役は、「PDFを閲覧だけでなく作成・編集したいというニーズは今、非常に高まっているが、高額であるがゆえに購入できない企業・団体が多い」と現状を語り、「Quality Gaaiho PDF Suite」の価格優位性をアピール。これまで特定メーカーが牛耳っていた市場に割って入る魅力的な製品であることも強調している。

 そして四つ目が今急成長している「ISM CloudOne」「IT資産管理およびセキュリティ機能を有するクラウド型サービスだ。利用企業・団体数は1万社を超えるヒットサービスで、今年末までには5万ユーザの獲得を目指している。

 「ISM CloudOne」は、PCの資産管理からソフトのライセンス管理、Windowsのセキュリティパッチやウイルス対策ソフトの更新状況把握など、PCの運用やセキュリティ対策に必要な機能をオールインで備えるサービスだ。中小企業を中心に着実にユーザ数を伸ばし、ITベンダーが同社のサービスを活用して独自サービスを提供するケースも増えてきた。「これまでは中小企業が中心だったが、プライベートクラウドの一つの機能として利用する価値も十分あるだけに、今後は中堅から大企業にも幅広くアプローチする」(浦代表取締役)。この分野ではすでに圧倒的なシェアを握るクオリティソフトだが、今年はアプローチするユーザ層を拡大し、さらに強固な地位を勝ち取ろうとしている。

 設立30年を3年後に控えるクオリティソフト。浦代表取締役はその時に備えて、今年は主に四つの製品・サービスの拡販に照準を合わせている。IT資産管理のパッケージソフトメーカーとしての枠を越え、さまざまなソリューション分野でクオリティソフトの存在感が増すのは必至だろう。
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外部リンク

クオリティ=http://www.quality.co.jp/