Special Issue

注目を集めるクラウドサービス「ISM CloudOne」

2011/02/21 19:55

 2009年頃から、企業経営の世界ではIFRS(国際財務報告基準)というキーワードが大きく取り上げられている。今年、国内の会計基準が変わることで、特に連結決算を行う企業は、その対応に追われているところだ。これらの動きが活発化するなかで、コンプライアンスへの対応もこれまで以上に重視されている。そして、これは大手企業だけの問題ではない。大手企業と取引を行っている中堅・中小企業にも、顧客と同様の体制が求められているのだ。企業を取り巻く環境が大きく変化している今、クラウドを活用したクオリティの「ISM CloudOne」が注目を集めている。

10名から数万名規模のユーザ企業に対応するクラウドサービス

 クオリティソフトは、2007年からSMB市場をターゲットとした、セキュリティ維持管理のクラウドサービス「ISM(IT Security Manager)」を、サービスプロバイダを通じて提供してきた。「必要な台数分だけ利用できる」「月額の低料金で利用できる」「導入・運用にはインターネット環境さえあればいい」などのメリット、さらに、自動セキュリティ診断と台帳作成機能で簡単にPC資産管理ができるなど、運用性も高く、顧客から高く評価されている。

 これまで、運用する専任の担当者が居ない、自社に管理サーバを設置できないなどの理由で、自社で資産管理やセキュリティの維持管理を始めたくても、手が出せないという企業は多かった。しかし、クラウドサービスなら、これらの導入障壁を取り払うことができるのだ。

 ISMを開発したクオリティソフトは、「IT資産管理」という市場を作った、パイオニアのツール「QAW/QND Plus」を提供している企業としても知られている。実は、「ISM」には、「QAW/QND Plus」の開発と運用で培ったノウハウが惜しみなく投入されているのだ。

 今でこそ、セキュリティサービスをクラウドで提供する企業は多くあるが、クオリティソフトはその先駆けとして、早くからノウハウを蓄積してきた。ISMは、リリース当初、SMB市場をターゲットとして投入されたが、いざ提供開始してみると、大規模企業の導入も多かった。それは管理・運用性を向上させたい、効率的にコストカットを進めたい、という企業ニーズにマッチしたためだ。そして今、「ISM」は、パブリッククラウド型だけでなく、プライベートクラウド型、クライアントサーバ型などあらゆる環境に対応した提供ができるようになり、「ISM CloudOne」へと進化している。ユーザー企業も、十数人から数万人規模までと、非常に幅広くなっている。それだけ懐の深いサービスなのだ。

 大規模企業の場合、複数のグループ企業があって、それぞれが個別にオンプレミスのシステムを導入し、個別に運用・管理を行っているケースが多い。しかしこの方法では、グループ企業全体のセキュリティリスクは見えない。

 グループ企業全体に同一のポリシを配布しつつ、運用・管理はそれぞれ企業で行いたいというニーズには、個別にシステムを運用・管理するのではなく、本社の情報システム部門、またはシステム部門を統括する企業が一元的にシステムを管理する体制が必要になる。そのプラットフォームには、プライベートクラウドが適している。

 セキュリティに注目すると、プライベートクラウドで稼働する「ISM CloudOne」を使えば、グループ企業全体のセキュリティリスクを可視化し、運用することができる。つまり「ISM CloudOne」は、エンタープライズ企業のニーズにもマッチした製品になっているのだ。もちろん、IFRSが求める複数階層の企業における、PCセキュリティ統制にも対応しているので、ここにきて導入企業も一気に増え、2011年1月現在、累計で1万社を超えるまでに成長している。

豊富な提供形態、パートナーが提供しやすいパッケージモデルも

 「ISM CloudOne」が市場に受け入れられた要因は、契約すればすぐに使えること、パブリッククラウドやプライベートクラウドに加えパッケージモデルで提供していること、豊富な提供形態を用意していることなどが挙げられる。

 パブリッククラウドモデルは、少ない台数で定期的にPC資産管理を行っている企業に向いたサービスだ。ユーザ企業は、インターネットを介して提供されるクラウドアプリ「ISM CloudOne」を利用する。サービスの提供はサービス事業者が行う。

 プライベートクラウドモデルは、グループ企業全体でサービスを利用するときに適したモデルだ。ITシステムの運用管理を行う部門や企業が、グループ各社に「ISM CloudOne」を各社に提供するかたちになる。


SMBに適したパブリッククラウドでの利用イメージ

 パッケージモデルとは、プライベートクラウドモデルの派生であり、「ISM CloudOne」をパッケージとして提供するもの。運用関連のコストを定額化できるというメリットがある。このような提供形態を用意したことで、パートナー企業がユーザ企業に提供しやすいサービスになっている。

 例えば、クラウドビジネスを推進しているISPなどはパブリックモデルを中心に扱うことができるし、システムインテグレータは、プライベートモデルやパッケージモデルを中心に拡販しやすい。


プライベートクラウドを活用したグループ企業での利用イメージ

 提供形態が豊富ということは、パートナー企業の強みを生かしながら、「ISM CloudOne」を扱うことができることを意味している。クオリティソフトは、サービスをクラウド化しただけではなく、パートナーとともに市場を拡大するために、一歩踏み込んだ展開を行っているのだ。ITシステムの販売は、ともすれば価格競争に陥り、消耗戦になりがちだ。しかし「ISM CluodOne」は、価格以外の付加価値を提案できる商材であり、この付加価値がユーザ企業を増やしている一因であることは間違いない。

負荷のかからない運用管理と確実なセキュリティを提供

  もちろん、クオリティでは、ユーザの声に耳を傾けながら、「ISM CloudOne」のブラッシュアップを行っている、例えば、今後は機能ごとに「記録」「警告」「制御」という三つの段階を設定できるようにする。

 例えば、許可されていないUSBメモリがPCに接続された場合のポリシを設定する際に、「ログに残す」「許可されていないUSBメモリと表示する」「利用させない」という3段階の設定から選べるようになるのだ。

 また、より負荷のかからない運用管理のために、セキュリティリスクが少ない推奨設定を提供する予定だ。これによって、新しいセキュリティリスクが登場しても、そのリスクを確実に抑える設定が自動的に行われることになる。

 クオリティソフトは、これまでもセキュリティリスクが高いアプリケーションなどを調査し、資産管理ツールで簡単に管理運用ができるよう、セキュリティ辞書を提供してきた。これを使えば、数万ともいわれるリスクをもたらすアプリケーションのインストールや起動を防止できるのである。「ISM CloudOne」は、セキュリティ辞書が、サーバ側で自動適用されるため、手作業で行うのは非常に難しいこれらの作業を、ユーザ側では特に意識することなく、現在の脅威だけではなく、将来現れる脅威に対しても、そのリスクを確実に抑えることができる。常に最新の脅威から企業システムを守ることができるのだ。

 現在、「ISM CloudOne」はWindowsを中心としたクライアントPCのIT資産管理ができるが、今後は、MacやLinux OSのクライアントPCや、スマートフォン、複合機など、企業システムを形成するデバイス全般の管理運用を想定して開発中だ。これからもISM CloudOneは、管理者にとって魅力的な機能を続々と提供する予定だ。

 これまでの実績と今後の展開を総合的にみれば、「ISM CloudOne」が安心して利用できるソリューションとなっていることがわかる。顧客にとってはもちろん、販売するパートナーにとっても、安心して扱えるクラウドサービスといえるだろう。
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外部リンク

クオリティソフト=http://www.quality.co.jp/

「ISM CloudOne」=http://www.quality.co.jp/products/ISM/