スマートフォンが普及し、タブレット端末も急速に台頭している。コンシューマのエンタテインメント機器としてだけでなく、ビジネスパーソンが業務に使う端末としても十分に活用できるので、ユーザー企業がモバイルワーク環境を急速に整備する可能性が高まってきた。当然ながら、モバイル環境を実現するためのソリューションにもニーズが高まってくる。この特集では、先進的なモバイル端末が普及することで生まれるモバイル関連ソリューションを紹介する。

各調査会社が共通して急成長を予測

 調査会社のシード・プランニングの予測によれば、タブレット端末は、2010年に比べて11年は約2.3倍に伸びる。また、別の調査会社のMM総研は、スマートフォンの11年の前年比成長率を約2.1倍とみた。さらにIDC Japanは、スマートフォンの国内法人加入者は、15年には10年比8.5倍に相当する554万人に達すると予測している。さらに、こんなデータもある。ネットワーク機器最大手の米シスコシステムズが発表したホワイトぺーパーでは、全世界のモバイルトラフィック量が15年には10年比26倍に急増すると明記しているのだ。モバイル環境は、今後も急速に浸透する可能性が高いという見解で一致している。

 スマートフォンとタブレット端末は、米アップルが「iPhone」と「iPad」を発売したことで火がついたが、今では複数のコンピュータメーカーや携帯電話メーカーが開発・販売し、AndroidやWindowsを載せた端末も続々と登場している。コンシューマだけでなく、企業や団体が、生産性の向上と仕事の効率化を図るために導入を決断したケースも複数現れている。また、3月11日に起きた東日本大震災の後、万一、従業員が出勤できない事態に陥ったときに、自宅でも仕事が進められるようにするため、モバイル環境の整備に動くケースもある。モバイルデバイスは今、企業・団体にとっての注目分野だ。

特性を生かしたモバイルアプリに商機

 モバイルデバイスが普及すれば、当然のこととして、関連するソリューションが伸びる可能性も高まる。貴重なデータを守るためのセキュリティ関連アプリケーション、モバイルデバイスに最適化された各業務アプリは今まで以上に製品・サービスも増え、検討する企業・団体も増加するだろう。

 セキュリティ分野では、例えば、機密情報の漏えいを防ぐことを目的として、端末にはデータを保存せずにクラウドに保存し、そのデータを閲覧・編集するクラウドサービスがある。スマートフォンではパソコン以上に求められるのがセキュリティだ。また、ワークフローやグループウェア、SFA(営業支援システム)などもスマートフォンと相性がよい。従来はパソコンで操作してきた情報共有や決済業務、日報作成などの営業関連業務がスマートフォンでできるようになれば、とくに外勤者の業務効率は大幅に向上する。

 タブレット端末もスマートフォンと同じようなアプリが受け入れられる可能性があるが、とくにタブレット端末には、スマートフォンよりも大きい画面を生かすソリューションが人気を博するはずだ。例えば、説明が必要な商品を販売する小売業にはタブレット端末が向いている。

 自動車や化粧品、住宅の販売は、店舗で紙の資料を使いながら、商品を説明するのが一般的。これをタブレット端末に置き換えれば、動画や写真などを多用した説明が可能となり、ユーザーに対してわかりやすい訴求が実現できる。また、紙文書の削減につながり、プレゼンテーション資料を各店舗に配信することも容易になる。中古車販売のガリバーインターナショナルは、タブレット端末が出て間もない時期に、約300台の端末を導入している。

 スマートフォンとタブレット端末の登場は、モバイル環境を整備する起爆材になるだろう。パソコンでは当たり前だったアプリを、スマートフォンとタブレット端末に移植・最適化するアプリベンダーも増加する。モバイルソリューションは、企業のニーズが旺盛で、ITベンダーにとっては大きなビジネスチャンスになることは間違いない。

国内ビジネスモバイル通信端末のタイプ別加入者数予測