日本マイクロソフトが5月に提供を開始した「Microsoft Windows Small Business Server 2011(SBS 2011)」は、前バージョンから大きく生まれ変わり、専任のIT管理者がいない中小企業でも簡単に導入できるソリューションとなった。新版の「SBS 2011」は、価格を抑えたうえに、専用の管理画面を用意して必要なアプリケーションの利用、メールや情報共有などと連携できるほか、Office365などクラウド・サービス連携を想定しているのが特長となっている。つまり、“初めてのサーバー”としてより適した製品になったといえる。同社の野中智史・エグゼクティブプロダクトマネージャーに、新しいSBSの特徴や製品開発の背景、導入事例などについて聞いた。

中小企業の要望を実現する新SBS

日本マイクロソフト
サーバー プラットフォーム ビジネス本部
プライベート クラウド 製品部
エグゼクティブプロダクトマネージャー
野中 智史 氏
 「Microsoft Windows Small Business Server 2011(SBS 2011)」は、日本マイクロソフトが提供を開始した中小企業向けのサーバー製品だ。利用できるパソコンの数を25ユーザーまでに限定した「SBS 2011 Essentials」のほか、75ユーザー以下向けの「SBS 2011 Standard」や、追加オプションライセンスの「SBS 2011 Premium Add-on」がラインアップされている。「初めてサーバーを導入するお客様を対象に、従来の『SBS 2008』とは一線を画すソリューションが生まれた」と、野中氏が言う通り、IT管理者が不在の企業でも運用管理作業ができるなど、工夫されている。

 従来のSBSのイメージは、「中小企業には難しい」「運用・管理困難」など、敷居の高い製品だった。SBSを売る側のパートナーにも、「手がかかる割に儲からない商材」だった。その背景には、日本の中小企業の多くは、専任のIT担当者を配置していないといった事情がある。

 そこで「SBS 2011」、とくに下位エディションの「Essentials」は、「中小企業に本当に必要な機能に限定して全体の構成をシンプルにしただけでなく、中小企業のニーズが高い『ファイル共有』『バックアップ』『リモートWebアクセス』『クラウド連携』を一挙に実現するソリューションに仕立てた」と、野中氏はいう。

 最も特徴的なのは、一元管理が可能な独自の管理コンソール「管理ダッシュボード」を用意したことだ。共有フォルダの作成や管理の仕方を知らない人であっても、この画面から、ユーザーの追加や削除、ファイル共有やアクセス許可、社内のパソコンとサーバーのバックアップなどを簡単に一元管理・運用できるようにした。サーバー稼働に必要な設定は、トップ画面に表示され、ウィザード形式で容易に設定を行う方式になっている。

 リモートWebアクセスの設定もユーザーごとに行うことができ、外出先や自宅などからブラウザを使って共有フォルダにアクセスしたり、そのWebサイトからリモートデスクトップ接続が可能になっており、社内の自分の環境と同じシステムを使える。ユーザーには、これらの機能に容易にアクセスできる「スタートパッド」が用意されている。もちろん、「Windows Phone 7」などスマートフォンでのリモートWebアクセスも可能だ。こうしたユーザー単位でのアクセス制限には「ActiveDirectory(AD)」が使用されているが、管理者は設定や運用が煩雑なADを意識することなく使えるようになっている。

 また、ダッシュボードには、アドイン機能が用意されており、さまざまなアプリケーションの管理画面を組み込むことができる。クラウド連携も可能で、「Office 365」をはじめオンラインストレージの管理アプリケーションやウイルス対策ソリューションなどを組み込んでダッシュボードから一元管理することも可能だ。

パートナーを軸に付加価値を提供

 画期的な製品に生まれ変わった「SBS 2011」には、すでに多くの導入事例がある。例えば調剤薬局を展開する有限会社富士ファーマシーでは、本社と8か所の店舗間の経理業務を「SBS 2011」によって電子化した。従来は紙の書類でやり取りしていたので、毎月の締め作業に膨大な手間と時間がかかっていたが、「SBS 2011」でファイル共有し、Excelのテンプレートを使用し大幅な省力化を実現。また、10万円以下の投資でサーバーの専門知識がなく構築できたという。

 また、昇降機のメンテナンスを行っている総合サービス株式会社では、点検レポートや昇降機の製品情報、マニュアルなどの紙情報を電子化し、その一元管理を「SBS 2011」で実現した。従来はNASを使用していたが、ファイルの保管場所を一元化しただけで、きちんと管理できていなかった。それを「SBS 2011」と「Premium Add-on」によってデータベース化し、目的のファイルに素早くアクセスできるようになったという。

 「今後はパートナー様を軸に、付加価値を提供していきたい」と野中氏は語る。例えば、「SBS 2011」では、ダッシュボードにパートナーが開発したアプリケーションを組み込んだり、ハードウェアとセットにすることで、パートナーが付加価値を与えたソリューションを提供することができる。また、リモートWebアクセス機能はサポートにも活用できるので、遠隔地からの素早い対応が可能になる。その一環として、日本マイクロソフトは、製品情報をはじめ手順書「3分でわかるシリーズ」、ホワイトペーパー、トレーニングのコンテンツをウェブで公開するなど、パートナー支援に力を入れている。また、パートナー向けにアドイン組み込み用のガイドも提供している。「実際に中小企業にリーチしているのはパートナー様ですので、より多くの情報を提供して『SBS 2011』の良さをまずは認知していただき、中小企業が本当に必要とするソリューションを提供していきたいと思います」と締めくくった。

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