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<業務ソフトメーカー座談会>クラウド、モバイルで新機軸の事業モデルを 主導権争いに火花を散らす

2012/02/16 19:56

週刊BCN 2012年02月13日vol.1419掲載

クラウドへの取り組みに温度差

 ――2012年を迎えて、どのような戦略で成長を目指しますか。

 岡本(弥生) 2011年と大きく変わりません。4月に立ち上がる「弥生オンライン」でチャレンジします。既存パッケージのターゲットよりもさらに小規模法人を、会計事務所と一緒に開拓していこうと考えています。

 パッケージは2011年と同レベルの成長はできると思います。だが、それだけだと2ケタ成長するのは、なかなか難しいとみています。継続的に2ケタ成長するために、「弥生オンライン」を次の柱にします。会計ソフトは、基本的に自計化を目的に導入しますが、「弥生オンライン」は“半自計化”を支援し、日報代わりに入力するだけで自動的に仕訳できる仕組みを提供します。これまでは、自計化できるお客様にパッケージを販売してきましたが、それができないお客様に「弥生オンライン」を提示します。

 水谷(PCA) 2012年度(2013年3月期)は、2ケタ増収を目指します。そのためにも「PCA Xシリーズ」のクラウド版をリリースし、既存サービスに加えクラウド事業を本格的に伸ばします。

 Microsoftの「Azure Strage」を利用する文書管理サービス(eDOCX) をすでに用意していますが、この程度では、クラウド対応したとはいえません。もっと広範囲に「Azure」対応したいと考えています。

 業種対応関係では、当社の社会福祉法人会計システムは、本年4月から適用の新会計基準対応版で大幅に機能強化しており、他社からシェアを取れるよう今後も重点的に強化していきます。中堅企業向けのERP「PCA Dream 21」については、開発体制の強化ということで専任SEの大幅増員をしています。「PCA Xシリーズ」をリリースして、ようやく「PCA Dream 21」を徹底的に強化できるようになりました。他社にやられっぱなしでしたが、機能追加とモジュール追加を徹底し、巻き返します。

 和田(OBC) 「奉行V ERP」「奉行iシリーズ」に続き、2012年は、4月をめどに「奉行Jシリーズ(仮称)」という新しいシリーズをリリースします。「今日から」「毎日」「安心」をキーワードに多忙な小規模法人の運用に焦点を当て、「自計化」を支援します。コンセプトは、インターネットですべてが完結できること。「OBCクラウド」という新しいクラウド形式になります。「奉行Jシリーズ」の登場で、V/i/Jの3層のモデルを構築します。

 宇佐美(OSK) 2011年の延長で考えています。今は、とにかく製品のバリエーションを広げるのが課題。業種別では、生産管理に最も力を入れています。当社だけではできないこともありますから、「SMILEシリーズ」と連携する他社製品を「SMILEファミリー」としてラインアップし、顧客層を広げます。

応研 上野眞宏取締役
「販売管理の業種テンプレートを拡充していきたいと考えています。もう一つは、スマートフォン対応への取り組み強化です」
 また、「モバイル」もキーワードになるとみています。スマートフォン、タブレットに積極的に対応していきます。

 上野(応研) 2011年からの継続で、お客様から評価していただいている販売管理の業種テンプレートを拡充していきたいと考えています。もう一つは、スマートフォン対応への取り組み強化です。11年12月には、「販売大臣NX スマートフォンユニット」を発売しました。全国のパートナーに紹介したところ、非常に好評でした。スマートフォン戦略が業績に影響してくるのはこれからです。12年は、これをしっかり形にしていきます。第一弾としてリリースした製品を、よくも悪くも評価していただいて、次の製品開発に生かしたいと思います。社会福祉法人の新会計基準の強制適用時期は延期になりましたが、引き続き法人会計に力を入れていきます。PCAに負けるわけにはいきません。

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