Special Issue

キヤノンマーケティングジャパン A3カラーを主力にターゲットを明確化 中央官庁、小売・流通などを攻める

2012/03/01 19:55

週刊BCN 2012年02月27日vol.1421掲載

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のページプリンタ販売は、2011年度(11年12月期)、東日本大震災やタイの洪水など自然災害の影響を受けつつも、売上高は計画を達成し、販売実数は前年度を大幅に上回った。訪問販売(訪販)と、システムインテグレータ(SIer)のチャネルでA3カラー機を中心に再販が好調だったほか、家電量販店での廉価プリンタを含め全流通で堅調に推移した。結果として、モノクロ・カラーともに国内販売台数シェア(ガートナー調査)にて20年連続No.1の達成が確実である。今年度は、中央官庁や地域の大・中規模小売・流通、医療機関などを明確なターゲットに定め、21年目も狙う。

A3カラー機などが好調に推移

 キヤノンMJのページプリンタ販売は、SIer、ディストリビュータ、事務機ディーラー、家電量販店、グループ会社の直販などとマルチチャネルで満遍なく流通していることが強みになっている。ビジネスソリューションカンパニーの松永圭司・オフィスデバイス企画本部ページプリンタ企画部部長によれば、2011年度は「特定用途と一般オフィスともに順調に伸び、全チャネルで販売台数と売上高を伸ばすことができた」という。東日本大震災やタイの洪水などによる景気低迷をもろともせず、業種業態に応じた用途や最適配置、節電とコスト削減などの訴求が奏功したと振り返る。

ビジネスソリューションカンパニー
オフィスデバイス企画本部
ページプリンタ企画部部長
松永 圭司氏
国内向けシングルファンクションのレーザープリンタやドキュメントスキャナのマーケティングに加え、2011年度(11年12月期)から消耗品と保守・サービスも担当する。

 例年と傾向が異なるのは、ソリューション提案ができるビジネスパートナーやグループ会社を通じた販売で台数が積み上げられていることだ。ビジネスパートナー経由では、とくに大手ベンダーが最適配置を提案することによって、「Satera LBP9200C」を主力としてA3カラー機の大量台数設置に成功し、トナーカートリッジの販売増につながった。

 さらに、全国200カ所に営業拠点を展開するキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)と連携し、MFPと一緒にシングル機を組み合わせた「最適配置」の提案をする案件を増やすことができた。松永部長は「景気低迷の影響で、スーパーなどでは大売り出しを行う機会が増えたが、その際に使うPOP制作用の印刷機として当社のページプリンタが大量に導入された。キヤノンS&Sとは、同社がMFPを売る傍ら、最適配置を狙い、部門などにシングルファンクション機の設置が進んだ」と話す。

 一方、家電量販店や事務機ディーラー経由では、最廉価の「Satera LBP7010C」を中心に、A4カラー機を大きく伸ばすことができた(モノクロトータルも対前年超)。

地域のSIerとの連携を強化

 今年度は、昨年度の戦略を継続するほか、「明確なターゲットを定めて販売を強化する」(松永部長)として、複数の業界に販売を伸ばすことを目指す。その一つが中央官庁だ。2013年に導入のピークを迎えるリプレース需要の獲得を狙うために、この分野に強みをもつSIerやグループ会社と連携を強化する。

 また、新たにキヤノンMJグループに加わった昭和情報機器と共に、昨年度大きな実績を上げた地域の小売・流通をターゲットとしたA3カラーの拡販を狙っている。さらに、小売店舗での利用が多いA4カラー機に関しても注力していく。その他では、競合他社が市場開拓を積極化している医療機関向けに、同じくこの分野でシステム提供のシェアが高いSIerなどと関係を深め、「診療所を中心に医療機関の“キヤノン化”を進める」(松永部長)という。

 現在、同社のページプリンタは、用途に応じた提案ができるように、機能強化が図られている。とくにICカード認証機能をはじめとしたセキュリティ機能が強化され、大人数での利用にも十全に対応できるラインアップとなっている。

 また、販売パートナー向けの支援策としては、キヤノン純正の消耗品をインターネットで注文できる「e-グルネット」というEC(電子商取引)サービスの利用を促進する。同社と契約する販売代理店は、既存顧客から注文が入ると、それが代理店の売り上げに加算される仕組みだ。時折、ECサービスの中でキャンペーンを打ち、顧客の購入を促して、代理店の収益向上にも結びつける。

 松永部長は「A3カラー機の販売に注力する方向に変更はない。この機種を中心に用途に応じた提案ができる製品と保守・サービスを随時強化する」として、販売パートナーの販売促進をさらに進める考えだ。


Canon主力製品


LBP9200C
モノクロ A4:30枚/分、A3:15枚/分
カラー A4:30枚/分、A3:15枚/分
用紙サイズ:A3
価格情報:158,000円(税別)


LBP7010C
モノクロ A4:16枚/分
カラー A4:4枚/分
用紙サイズ:A4
価格情報:オープン価格

A3カラー機の最新機種「Satera LBP9200C」は、カラー・モノクロともに毎分30枚の高速印刷と耐久性を備えたモデルだ。オプションを装着すれば、最大2000枚の給紙ができる。長尺印刷などの用紙対応力がある。家電量販店や訪販系では、A4カラー機の最廉価版「同LBP7010C」(カラー4枚、モノクロ16枚/毎分)が売れ筋になっている。
  • 1

関連記事

キヤノンMJ プリントサーバーが不要に 複合機の省エネ、コスト削減に効果

キヤノンMJ、複合機向けアプリでセキュリティと省エネを強化

外部リンク

キヤノンマーケティングジャパン=http://canon.jp/