スマートフォンやタブレットが普及し、使い分けが進んでいる。これらのモバイル端末は仕事を効率化するうえで大いに役立っているが、端末の多様化はセキュリティ管理が複雑になることを意味する。情報システム担当者だけでセキュリティ対策を推進するのは容易ではない。多くの企業が抱える課題を解決するために、NECキャピタルソリューションの荒谷茂伸シニアディレクターは、「当社はLCM（ライフサイクルマネジメント）事業などで培ってきたノウハウを生かして、最適なクラウド型モバイルセキュリティソリューションを提供している」とアピールする。その戦略を聞いた。

モバイルセキュリティをクラウドサービスで提供

　モバイル端末がビジネスに不可欠となり、モバイルセキュリティに対する関心が日々高まっている。日進月歩で進化するモバイル端末のセキュリティを適切に維持・管理するには、どうすればいいのか。

　この一つの解として、NECキャピタルソリューションは、モバイルセキュリティに特化したBPO（Business Process Outsourcing）型クラウドサービスを展開している。

　いち早く取り組んだのが、ノートPCの盗難・紛失対策だ。具体的には、ウインマジックのHDD暗号化ソフトウェア「SecureDoc」のセキュリティ技術を取り込んだクラウドサービスを提供。ノートPCのHDDを最小単位であるセクター単位で暗号化し、万が一の盗難・紛失時に、サービスデスクからリモートで無効化する。さらに、ワンビのデータ遠隔消去ソフトウェア「トラストデリート」を活用したクラウドサービス「トラストデリートマネージドサービス」も提供している。盗難・紛失時にノートPC内のデータをリモートで消去して情報漏えいを防止する。

　モバイル端末は、社外でウイルスに感染してしまう可能性がある。そのため、端末ごとに施すセキュリティソリューションが不可欠だ。「これまでのセキュリティ対策では、企業のICT資産を守るため、ファイアウォールなどのゲートウェイを強化するソリューションが一般的だった。しかし、モバイルワークスタイルが普及した今、社外でウイルスなどに感染した端末が社内ネットワークに接続されるリスクがある。そのため、各モバイル端末のセキュリティ強化が必要となっている」と、荒谷氏は警鐘を鳴らす。

　モバイル端末ごとのセキュリティ対策として、NECキャピタルソリューションはURLフィルタリングとアンチウイルスをBPOサービスにラインアップしている。URLフィルタリングは、アルプス システム インテグレーション（ALSI）のクラウド型ウェブフィルタリングサービス「InterSafe CATS」を利用して、NECキャピタルソリューションがポリシー設定などの運用を行う。アンチウイルスは、ウェブルートのサービスを国内で初めて、NECキャピタルソリューションがMSP（Managed Service Provider）事業者として提供する。「他のアンチウイルスソフトと共存できる点が特徴。並行利用して、保守期限を迎えた後に乗り換えることができる」（荒谷氏）。

月額課金でサービス提供　スモールスタートに対応

　NECキャピタルソリューションの強みは、各ベンダーから仕入れたソフトウェアをクラウドサービスとして提供し、月額課金を採用するビジネスモデルにある。これまでLCM事業で培ってきたノウハウを生かし、日々変化するユーザー企業のきめ細かなニーズに応える点が特徴だ。

　例えばアンチウイルスの場合、一度インフラとして導入すると、償却期限が終了するまでリプレースできないケースも多い。いわば、会計の都合でアンチウイルスを使い続けている状態であり、現時点で最適なソリューションかどうかは二の次となっている。一方、NECキャピタルソリューションのBPOサービスは、「1か月1台」からサービスを提供している。ユーザー企業はスモールスタートで導入できるうえ、償却期限に縛られることもない。

　「モバイルセキュリティの導入は、スモールスタートから始まるケースがほとんど。小規模の導入をきっかけにして、既存のセキュリティインフラ全体をリプレースするという攻め方を想定している」と荒谷氏は今後の戦略について語る。

　今後は、ソフトウェアのサービス提供に加えて、サポートサービスの強化にも力を入れていく。エンドユーザーのモバイル端末をリモート操作するサービスデスクを開設し、サービスレベルを充実させていく。「当社がモバイルセキュリティのサポートを請け負うことで、情報システム担当者の業務負担が大幅に軽減できる」と荒谷氏はメリットを強調する。

　最新のモバイルセキュリティを最適な方法でユーザー企業に提供するNECキャピタルソリューション。モバイル市場の成長とともに、同社のビジネスモデルがさらに加速することは間違いない。