スマートフォンやタブレット端末が急速に普及する一方で、Wi-Fi環境の電波干渉や不安定な通信状態がユーザーの課題になっている。ジェイズ・コミュニケーションが販売する「Ruckus Wireless(ラッカス)」のWi-Fi製品は、こうした課題を解消するソリューションだ。独自の特許技術「BeamFlex」によって、広い通信カバーエリアを実現し、電波干渉が激しい環境でも高いパフォーマンスを発揮する。従来のアンテナシステムと比較したラッカス製品の優位性と、今後の販売パートナー戦略について、技術本部で東日本技術部長兼第1グループマネージャを務める関野一浩氏に話を聞いた。

電波干渉や不安定な通信状態を解決するWi-Fiソリューション

 2012年7月、ジェイズ・コミュニケーションは米ラッカス社と代理店契約を締結し、同社が開発するWi-Fi製品の販売を開始した。ラッカスのWi-Fiソリューションは、ワイヤレスアクセスポイント「ZoneFlex」、コントローラ「ZoneDirector」、管理ツール「FlexMaster」で構成され、なかでもアクセスポイント「ZoneFlex」が搭載する特許技術「BeamFlex」は、300~3000種類のビームパターンから最適な電波のパターンをつくり出して通信するので、一般的なオムニアンテナと比較してカバーエリアが広く、電波干渉に強いという特色をもっている。

 こうした強みを生かし、同社はこの1年間で100以上の企業や団体に1万台を超えるアクセスポイントを販売してきた。導入業種は大学など学校施設が30%と最も比率が高く、次いで一般企業28%、ホテル23%、通信事業者8%、病院6%、官公庁5%という比率になっている。

 技術本部東日本技術部長兼第1グループマネージャの関野一浩氏は、「近年、一般企業はもとより、学校、ホテル、病院などでもWi-Fiはごく普通に利用されています。小・中学校の授業でもWi-Fiを使ってコンテンツを配信していますし、大学ではBYOD(Bring Your Own Device)の活用も盛んです。またホテルでも、いまやWi-Fiはあたりまえ。病院でも電子カルテの普及からハンディ端末をWi-Fiに接続したいというニーズが高まっています。しかし、企業や学校、ホテルなど多くの人々が集まる場所では、電波の干渉やチャンネル数の制限が課題になっています。こうした課題を解決するのが、ラッカスのWi-Fiソリューションです」と、その技術的な優位性を説明する。

最大5倍のパフォーマンスを発揮するPolarization機能も搭載

 通常、一般的なオムニアンテナは、同心円上に電波を送信している。そのため、通信に無関係なクライアントに干渉波を与えてしまい、クライアントにも減衰した弱い電波しか送れないという弱点がある。一方、ラッカス製品は「BeamFlex」による独自のダイナミックビームフォーミング技術によって、クライアントの方向に限定して電波を送信することができる。これにより、クライアントは強い電波を受信できることになり、最大プラス6dBの効果があるという。さらに、ほかのクライアントに対しても、最大マイナス15dBの干渉回避効果があり、干渉が激しい環境でも安定した通信が可能になる。

 送信ビームフォーミング技術は、無線LAN規格「IEEE 802.11n-2009」のオプション機能「TxBF」でも実現されている。しかし、「TxBF」の送信ビームフォーミングは、電波の位相を調整するためにサウンディングを行い、クライアント側からフィードバックを受け取る必要がある。シグナル利得も最大プラス3dBにとどまる。それに対してラッカス製品は、「BeamFlex」はもちろん、「TxBF」もサポートしている。「ラッカスでは、偏波をクライアントの特性に合わせて調整するPolarization機能も搭載しているので、受信能力の弱いクライアントに対しては、受信しやすい電波を送信することが可能です。この機能により、スマートフォンやタブレットのような縦横に回転させて利用するクライアントに対して、最大5倍のスループットを発揮します」と、関野氏は説明する。

技術本部 東日本技術部長兼第1グループマネージャ
関野一浩 氏

 こうしたラッカスのWi-Fiソリューションの利点によって、電波状態を大幅に改善した成功事例も増えているという。関野氏は、「エンタープライズ市場では、Wi-Fiのセキュリティ意識の高まりから、認証ソリューション機器やモバイル管理ソリューションの需要が高まっています。また、ラッカスはY-findという企業を買収し、ロケーションサービスにも力を入れています。こうしたロケーションサービスはO2O(オンライン・トゥ・オフライン)ビジネスを手がけている企業からの反響も大きいようです。当社としても、ロケーションサービスの拡大を見据えて検証を進めています」と説明する。

販売パートナーとの連携強化で来年度は1.5倍の売上成長へ

 ジェイズ・コミュニケーションは、2014年のラッカス製品の販売目標を2013年の1.5倍に設定している。そして、ソリューションの拡販に向けて、学校やホテル、病院など特定の業界に強い販売パートナーとのパートナーシップを密にしようとしている。

 「2013年は、新たに50社を超える販売パートナー様とコンタクトをもつことができました。2014年は、各業界にそれぞれ特化したかたちで、さらにビジネスを推進していきたい」と、関野氏は抱負を語る。販売パートナーに向けた支援策として、ハンズオンセミナーの開催、コントローラやアクセスポイントの無償貸出、プリセールスなどを実施している。こうした取り組みが評価され、同社はラッカスのベスト・ディストリビューターとして「2013 Big Dog Japan Distributor of the Year」を受賞している。

 「ユーザー企業様に提案する際、大型案件では事前に簡易サーベイを行い、スループットを測定してデータをお見せしています。その結果をみて、電波の干渉が課題だった家電量販店案件では、ラッカス製品を採用いただきました。われわれが測定しているデータを販売パートナー様の営業活動にもご活用いただきたい」と、関野氏は考えている。

 今後、ジェイズ・コミュニケーションが大きな商機と捉えているのが観光分野だ。2013年には、富士山が世界文化遺産に登録され、2020年の東京オリンピック開催が決定したこともあり、観光ビジネスがさらに活発化することが予想される。また、沖縄県那覇市の主要観光スポットでの無料公衆無線LANサービスにはラッカス製品が導入されるなど、Wi-Fiソリューションの需要拡大が期待されている。大阪観光局が進める公衆無線LANサービスの整備でも、ホテル系の認証ゲートウェイを開発しているパートナー企業と提携し、活動支援に取り組んでいるという。

 1999年には、ジュニパーネットワークスのファイアウォール製品の販売も開始し、日本全国のエリアをカバーする保守体制を確立している。こうした保守体制を強みとして、さらにパートナー体制を強化し、ラッカスのWi-Fiソリューションの拡販を目指す。「広範囲のカバーと安定通信を実現するラッカスのWi-Fiソリューションは、1台のアクセスポイントでカバーできる範囲が広いため、結果的に設置するアクセスポイントの数が減り、コスト削減につながります。パフォーマンスの面でもコストの面でも高い優位性をもち、キャリアクラスでの実績もあるラッカス製品は、他社のWi-Fiソリューションと明確な差別化ができる製品です」と、関野氏は自信をみせる。

 ジェイズ・コミュニケーションでは、無線LAN導入時にセキュリティ対策が必要な案件については、パートナーが顧客に提案しやすいソリューションとして、ネットワーク認証アプライアンス製品であるソリトンシステムズ社製の「NetAttest EPS」シリーズも用意している。

 「NetAttest EPS」シリーズは下記のような多様な特徴を備えたアプライアンス製品だ。

・ラッカスのWi-Fiソリューションと抜群の親和性
・PCに限らず、スマートフォン、タブレットなどの多様な端末のネットワーク認証が可能
・MACアドレス認証やIEEE802.1X 認証(EAP-TLS)などを利用した認証によって、 未承認端末からの不正アクセスを排除
・ネットワーク管理者で簡単構築、楽々運用
・安心の導入実績。企業、文教、医療、公共などあらゆる業種で、数万ユーザー規模の実績が多数

 ラッカス製品と「NetAttest EPS」シリーズをパッケージにしたキャンペーンも用意、期間限定で展開する計画だ。

ラッカス製品の業界別販売実績

Wi-Fiパフォーマンスとセキュリティを両立する3Sキャンペーン

 ジェイズ・コミュニケーションは、ラッカス製品とソリトンシステムズ「NetAttest EPS」シリーズをセット価格で販売する「3Sキャンペーン」を実施する。「NetAttest EPS」シリーズは、ラッカス製品と抜群の親和性を持ち、PCに限らず、スマートフォン、タブレットなどの多様な端末のネットワーク認証が可能な、国内シェアNo.1(*) のネットワーク認証アプライアンスだ。ラッカスとの連携についても技術検証済みなので、認証によって決められたユーザーやデバイスのみを社内ネットワークに接続できるようコントロールすることでセキュアな無線LAN環境を実現する。

 キャンペーンでは、ラッカスのWi-Fiソリューションと「NetAttest EPS」シリーズを組み合わせた無線LAN認証システムが、特別価格で構築できる。台数や構成などにもよるが、通常購入よりも20%以上の値引きが可能になるという。とくにスマートデバイスを使った電子証明書による認証を実現したいと考える企業や学校などにとって、最適なパッケージといえるだろう。


(*) 株式会社富士キメラ総研「2006,2007,2008,2009,2010 ネットワークセキュリティビジネス総覧」、「2012 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」RADIUSサーバー(アプライアンス)市場における調査結果より。
※2011年に関しては同分野の市場調査が実施されず不明。