AOSテクノロジーズは、2000年のデータ復旧ソフト「ファイナルデータ」の発売以降、データ復旧関連のサービスに取り組んできた。企業がバックアップの重要性を十分に認識しているはずのいまも、データ復旧に関する問い合わせが多数寄せられるという。バックアップの運用がしっかりしていれば、バックアップデータのリストアで対処できるはず。しかし、それができないのはなぜか。全自動のクラウドバックアップサービス「AOSBOX Business」の原点は、バックアップ運用の課題解決にある。

トラブル後に発覚する復旧の課題

西谷考弘
取締役
AOSソフトカンパニー
プレジデント
 AOSテクノロジーズの子会社、AOSリーガルテックが運営する「データ復旧サービスセンター」は、業界トップレベルのデータ復旧率を誇る。ここに送られるハードディスク(HDD)は、月間で数千件になるという。「RAID 5やRAID 6で構成されたNASでも、データが安全とは限らない。HDDは、何台も同時に故障することがあるからだ。実際、データ復旧サービスセンターには、RAIDで構成されたNASが、データ復旧を望む企業から毎日のように送られてくる」と、AOSテクノロジーズの西谷考弘取締役AOSソフトカンパニープレジデントは説明する。

 ハードウェアは新しいものと交換できるが、データはそうはいかない。データを失わないようにするには、バックアップの適切な運用が必要だ。ところが、AOSテクノロジーズの調査によると、4人のうち3人がデータを喪失した経験をもち、そのうちの約半数がデータの復旧を諦めている。データの復元に成功したのは、2割程度にとどまっている。「しっかりバックアップしていたつもりでも、いざ復旧しようとすると、データが1年前のものしかないことに気づく。こうしたヒューマンエラーも多い」と、西谷取締役は指摘する。こうした課題に対して、AOSテクノロジーズの出した解答が、AWS(Amazon Web Services)を活用した全自動のクラウドバックアップサービス「AOSBOX Business」だ。

ヒューマンエラーを排除

 クラウドを活用したストレージサービスはあまたあるが、その多くはパソコン上でのファイルの置き場所が決まっていたり、誤ってファイルを削除すればクラウド上でも同様に削除されたりしてしまう。こうしたクラウドストレージサービスは、データをクラウド上に置くことで利便性を向上することが目的で、バックアップデータの保存先として利用するのは適切ではない。「AOSBOX Business」は、クラウド上にデータを置く点ではこれらに似ているが、バックアップサービスとしての機能で圧倒的な違いがある。

 例えば世代管理は、過去10回の更新分を保存。うっかり削除したり、意図せず上書きしたりしても、過去10回にさかのぼってデータを戻すことができる。また、「AOSBOX Business」で必要なオペレーションは、インストール時の設定だけ。バックアップのヒューマンエラーを排除するために、バックアップの処理を全自動化しているのだ。

 クラウドにデータを送信・保存することから、セキュリティ対策にも万全を期している。データは、クライアント端末側で暗号化して送信。さらにデータ転送にはHTTPSを使用し、サーバー上でもデータは暗号化して保存する。


2種類のバックアップ方式を使い分け

 「AOSBOX Business」は、バックアップ先のクラウドにAWSのクラウドストレージを採用している。その理由を西谷取締役は、「AWSはクラウドで最も多くの実績をもち、最も信頼性が高い。セキュリティの観点でも、プライベートクラウドとの差はない。そもそもAWSが普及したのは、セキュリティや信頼性が認知されたからにほかならない」と語る。

 AWSは、「Amazon Simple Storage Service(S3)」と「Amazon Glacier」の2種類のクラウドストレージを提供。「AOSBOX Business」は、「Amazon S3」を活用したサービスを「通常ストレージ」と呼び、「Amazon Glacier」を活用したサービスを「コールドストレージ」と呼んでいる。

 「通常ストレージ」は、ファイルの共有や更新頻度の高いファイルなどのバックアップに向いている。「コールドストレージ」は、ほとんど更新しないデータをアーカイブするような使い方を想定する。AOSテクノロジーズは、それぞれのメリットを生かした組み合わせでオーダーメイドのサービスを提供することによって、さまざまなバックアップのニーズに応えている。