菱洋エレクトロ(大内孝好社長)は、 2014年4月8日(米国時間)にサポートが終了する「Windows XP」からのユーザーのPC環境の移行支援に力を入れている。今年10月7日には、中小企業・SOHOをターゲットとして、最新のWindows ライセンスにAOSテクノロジーズが提供するパソコン移行ソフト「ファイナルパソコン引越し9plus」をバンドルして提供を開始した。さらに、今後は中小企業・SOHOが自社のパソコン環境を把握するための棚卸し支援サービスや、OS移行のキッティングサービスを提供する。
進まない「Windows XP」の移行
日本では2014年4月9日に、「Windows XP」のサポートが終了する。これに伴って、マイクロソフトからセキュリティの更新プログラムが提供されなくなるので、ユーザーの手元に残った「XP」端末は、ぜい弱性を抱えることになってしまう。つまり、「XP」ユーザーにとっては、クライアント環境の刷新が不可欠というわけだ。しかし、実際のところ、現時点で「XP」からの移行はさほど進んではいない。調査会社のIDC Japanによると、2013年6月末時点で、法人市場の「XP」端末の稼働台数は全体の30.5%。サポート終了まで残り1年を切っているにもかかわらず、約1080万台の「XP」端末が残っているというのだ。さらに、IDC Japanでは、サポート終了後の14年6月末にも法人のPC稼働台数のうち10.3%、371万台の「XP」端末が残るとみている。
また、MM総研が実施した国内法人の「XP」移行動向に関する調査によると、SOHOの39.6%、中小企業の29.1%が「入れ替え予定だが時期不明」と回答し、従業員数が少ない企業ほど、「XP」からの移行の時期が未定であることが判明している。
簡単にパソコン環境を引っ越し

河原崎正人
主任 移行が進まない要因はさまざまだが、その最たるものはコストがかかること。だからこそ、資金力に乏しい中小企業・SOHOの「XP」からの移行が遅れているわけだ。中小企業・SOHOの「XP」からの移行を促進するためには、ITベンダー側もなるべく負担をかけないような移行方法を提案する必要がある。そこで、菱洋エレクトロでは、最新のWindowsライセンスにAOSテクノロジーズが提供するパソコン移行ソフト「ファイナルパソコン引越し9plus」をバンドルして提供することで、中小企業・SOHOの低コストで迅速なPC環境の刷新を支援している。
「ファイナルパソコン引越し9plus」は、国内で累計500万本を出荷しているパソコン移行ソフトだ。使い慣れたパソコンのデータと環境設定をわずか3ステップで新しいパソコンに引っ越しできる。まず、古いパソコンと新しいパソコンに「ファイナルパソコン引越し」をインストールする。次に、LANクロスケーブルや専用のUSBケーブルでそれぞれのパソコンを接続する。最後に、「おまかせで引越しする」ボタンをクリックすれば、マイドキュメントやマイピクチャ、マイミュージック、デスクトップ上のファイル、メール、ユーザーアカウント、アドレス帳、環境設定など、ソフト以外のデータや環境設定を、新しいパソコンのOS環境に適した場所に自動で振り分けて引っ越しできる。引っ越し後には、レポートを打ち出して、どんなファイルを引っ越ししたのかを簡単に把握することが可能だ。菱洋エレクトロシステム情報機器営業第1本部営業第2部営業第1グループの河原崎正人主任は、「手作業で移行した場合と比べて、パソコン1台あたり約12時間の時間を短縮し、7万円のコストを削減することができる」と説明する。
DSP版「Windows 7」のライセンス販売に注力
菱洋エレクトロでは、日本マイクロソフトやAOSテクノロジーズと共催するセミナーや、テレマーケティングなどを通して、新しいWindows ライセンスと「ファイナルパソコン引越し9plus」を拡販していく。また、「中小企業・SOHOでは、まだ社内に何台の『XP』搭載端末を保持しているのか把握していないケースも多い」(河原崎主任)とみて、12月から棚卸し支援サービスやOS移行のキッティングサービスの提供を予定している。
さらに、菱洋エレクトロでは、10月末に量販店で「Windows 7」のOS単体での販売が終了したことを受けて、最新OSの「Windows 8.1」だけでなく、DSP(デリバリー・サービス・パートナー)版「Windows 7」ライセンスの販売にも注力する。DSP版は、価格を抑えるために、量販店版に付属されているマイクロソフトのインストールサポートがついていない。しかし、菱洋エレクトロは、DSP版の価格はそのままで、1月から個別にインストールサポートを付属して提供する。これによって、中小企業・SOHOのより安心・安全なパソコン環境の移行を支援する。河原崎主任は、「まだまだ中小企業・SOHOでは、『XP』が稼働し続けている。『XP』からの乗り換え需要は、来年の2~3月にかけてピークを迎えるとみている。Windowsライセンスの販売数を昨年度比で20%高めるのが目標だ」と意欲をみせている。(真鍋武)