調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)によれば、2013年度のPC資産管理市場は、前年度比8.8%増の97億円になる見込みだ。その理由として、ライセンス監査対応やマルチデバイス対応、パッチ管理など、さまざまな要素を挙げる。ITRの金谷敏尊プリンシパル・アナリストは、「多くの国産ベンダーがひしめくPC資産管理市場は、今後もさらに高い成長を遂げながら、ツール同士の激しい競争が続く」と分析する。



PC資産管理市場は7.9%で成長 多くの国産ベンダーの製品が存在



ITR
金谷敏尊
プリンシパル・アナリスト
 ITRは、資産管理の市場を「EAM(企業資産管理)」「IT資産」「PC資産」の三つに分けて定義している。EAM市場は、企業の設備保全に関わる機器情報や変更履歴などを管理する製品。IT資産管理市場は、IT資産全般のライフサイクルを管理する製品だ。そして、三つ目のクライアントPCの構成情報を管理するPC資産管理市場には、マイクロソフトの「System Center Configuration Manager」やエムオーテックスの「LanScope Cat」、Skyの「SKYSEA Client View」、インターコムの「MaLion」など、多くのベンダーが存在する。

 金谷プリンシパル・アナリストは、高い成長を続けるPC資産管理市場はさまざまなソフトウェアベンダーの製品による群雄割拠の状態にあると指摘する。「業界のトレンドや社会情勢の変化の影響を受けながら、需要の底上げが続いている市場の一つ。12年度から17年度までのCAGR(年平均成長率)は7.9%と、高い成長を続けることが予想される。ほかのソフトウェアに比べて国産ベンダーが大半を占める特徴的な市場であり、国産ベンダー製品の完成度が高いことの裏付けと言えるだろう」。

需要のトレンドが推移しながらPC資産管理市場が拡大



 PC資産管理市場が高い成長を続けている理由の一つは、社会的な需要のトレンドが変化しながら市場を底上げしてきたことにある。2000年前後からPC資産管理の重要性が指摘され始めると、以降は、資産棚卸の効率化、脆弱性対策、個人情報保護法対応、J-SOX対応、マルチデバイス対応、ライセンス監査対応など、断続的に発生するトレンドによってPC資産管理がクローズアップされてきた。

 金谷プリンシパル・アナリストは、「大手ソフトウェアベンダーの監査が強化されていることで、ユーザー企業の警戒心も高まっており、当社にもライセンス管理ツールへの問い合わせが急増している。今後も、さらに資産管理が自動化しにくいサーバーライセンス管理やライセンスコストの最適化へとトレンドが推移しながら、PC資産管理市場はさらに高い成長を続けるだろう」と予測する。

国内企業の約1割強がMacを利用 Macのクライアント管理が課題に



 金谷プリンシパル・アナリストは、企業によるPC資産管理ツールの導入率が上がり、ツール自体の差異化が難しくなってきていると指摘する。しかし、企業にMac OSを搭載した端末の利用が広がるなか、WindowsとMacを同じように管理できるPC資産管理ツールは少ないのが現状だ。「今、PC資産管理ツールはWindows OS端末の対応が中心だ。市場にあるのは、Windowsしか対応していなかったり、あるいはMacに対応していても管理機能が不足していたりといった製品がほとんど。当社の調査では、従業員100人以上の国内企業のうち、10.3%は業務でMac OSを利用していることが明らかになっている。こうしたMac端末を、Windowsと同じように管理したいという企業のニーズは少なくない」という。

 今後、競争が激しさを増すとみられるPC資産管理市場。社内のMac OSをWindowsと同様に管理できるツールであるか否かは、PC資産管理ツール選びの重要なポイントになりそうだ。