リコージャパンは、中国に進出している日系企業に対するビジネス支援体制を強化している。日本国内に中国案件を専門に手がける「中国担当室」を設置。リコーの中国販売会社である理光(中国)投資有限公司(リコーチャイナ)と連携して、リコーチャイナに日系企業向け営業部門「日系チーム」を配置することによって、日本と中国の両地域をカバーしてワンストップで製品・サービスの提供を実現している。世界で評価の高い日本のきめ細かなサポートなど、リコージャパンではユーザー企業に対するビジネス支援を中国でも行う体制を生かして、日系ITベンダーとのパートナーシップ深耕にも生かしていく方針だ。
日本と中国でユーザー企業をサポート

足立祥夫
常務執行役員
MA事業本部
本部長 2014年、リコーグループの国内販売関連会社であるリコーテクノシステムズ、リコービジネスエキスパート、リコーITソリューションズの一部を統合し、販売・サービス・ソリューション・業務の機能が一体となったリコージャパン。“新生リコージャパン”として、これまで各グループ会社が培ってきた専門性と全国に広がる強固な販売・サポート体制を融合し、今ではグループの総合力を生かしてユーザー企業のビジネスをワンストップで支援する基盤が整っている。
そのリコージャパンが今、力を入れているのが日系企業の海外進出を支援することだ。柱のドキュメント領域をはじめとしてITインフラやアプリケーション、コミュニケーションなどの分野でソリューションを提供。とくに、中国で日系企業による相談が多かったことから、中国の日系企業のビジネス支援を専門に手がける組織として中国担当室を今年1月に日本で発足した。足立祥夫・常務執行役員MA事業本部本部長は、「日系企業のお客様に対して海外進出の支援を行っていくなかで、とくに中国拠点に関するお困りごとやご相談を受けることが多く、全体の3割以上を占めていた。しかも、日本品質、日本人による対応を求めるお客様も多い。そのため、新組織を日本で設置することになった」と説明する。
中国現地では、リコーチャイナ内に日系企業を顧客対象とした営業部門の日系チームを配置している。25人規模の体制で、現在も人員増強を進めている状況だ。このように、中国現地と日本の両方から支援する体制を敷いたことで、ユーザー企業の声に迅速に対応していく環境を整えたことになる。
日本のITベンダーならではの支援を追求
中国現地の日系チームと日本の中国担当室の設置によって、きめ細かいサポートを提供できるようになり、リコージャパンではユーザー企業に対する中国進出支援の強化を実現した。現在、日系企業が中国で業務を遂行するうえで課題として抱えているのが、セキュリティ対策だ。
そこで、「日中事業拡大支援セミナー~日系企業のための中国現地法人内部不正事例から学ぶ対応策」と題したセミナーを日本と中国の両方で開催。とくに中国で7月に実施したセミナーは集客70人を目標したところ、約140人と2倍以上が来場して大盛況だったという。来年早々には広州でのセミナー開催も企画中だ。また、セミナーだけにとどまらず現状のリスク調査を行う際の「オンサイト現地調査」「IT資産棚卸しサービス」などの可視化サービスもリコーチャイナを通じて日系企業に提供している。
ユーザー企業は、日本での課題認識だけではなく、中国拠点の実情を把握して対策を講じたいと考えている。リコージャパン中国担当室が日本側で課題を聞き出し、中国現地の日系チームと連携して現地の実情に即した解決に取り組んでいる。その第一弾としてセキュリティ対策を切り口とする取り組みを進めたわけだが、「今後も、さまざまな領域で、お客様のお困りごとを解決していく」としている。とくに、中国に進出している日系ITベンダーの製品を組み合わせてワンストップで提供するサービスの拡大を視野に入れている。また、「相互補完のためのパートナーシップを強化して、ぜひ日本品質のソリューションを中国市場で広めていきたい」(足立常務執行役員)との考えを示している。日本のITベンダーならではの高品質できめ細かいサポートを提供することで、中国市場の日系企業に対するビジネス支援を追求していく。