市場や環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できるITが求められている昨今、デルが力を入れているのがコンバージドソリューション戦略だ。ソリューションベンダーとして加速するデルはスピードと自由度を両立させる新しいソリューションの形「Dell Blueprint(Blueprint)」を提案する。ワークロードに最適化した事前検証済みモデルは、最大95%の導入ステップを削減できるという。サーバー、ストレージ、ネットワーク、管理を統合した最新コンバージドインフラストラクチャ「Dell PowerEdge FX2(FX2)」はデルのコンバージドソリューション戦略を牽引する最先端のプラットフォームだ。
小規模から超大規模までをカバー ワークロードを最適化する「FX2」の強み

日比野正慶
エンタープライズソリューション&アライアンス
エンタープライズテクノロジストAPJ デルは昨秋、データセンター向けコンバージドインフラストラクチャのFX2を発売した。エンタープライズソリューション&アライアンスエンタープライズテクノロジストAPJの日比野正慶氏は、「当社のソリューション戦略において柱となる製品。ブレードシステムの管理性と密度、ラックサーバーの柔軟性を兼ね備え、小規模から超大規模まであらゆるワークロードを最適化する」と説明。加えて、「すでに数万台規模の導入実績もある」とアピールする。
FX2の強みは、大きく次の4点に集約できる。1点目は、「新ブロックアーキテクチャ」。2Uのコンパクトシャーシに、4種類のサーバースレッド、1種類のストレージスレッド、3種類のネットワークモジュールを、レゴブロックのように自在に組み合わせることができるというものだ。サーバーは、2/4ソケットのIntel Xeon E5-2600v3のほか、Intel Atomも選択することができ、ストレージスレッドには、HDD/SSDなど要件にあわせた2.5インチドライブを選択することができる。日比野氏は、「プライベートクラウド、仮想化、VDI、HPC、SDS、インメモリDB、ホスティングと、あらゆるワークロードに最適なインフラを提供できる画期的なアーキテクチャ」と強調する。
2点目は、「業界最高レベル密度」。わずか2UのスペースにIntel Xeon E5-2600v3 CPUを16ソケット、2.5インチHDDは50本搭載することができる。これらの密度はデルのエンタープライズ製品のなかでも最高トップクラスであり、また競合他社と比較しても類をみないものとなっている。「高密度化することで、ワットあたりの電力や、ラックスペースを削減することが可能となり、システム費用の大半を占める運用コストを削減できる。大規模ユーザーほど、高密度に注目して採用する例が多い」(日比野氏)という。

様々な構成で利用できる「Dell PowerEdge FX2」
管理モジュールやネットワークモジュールを背面に搭載 3点目は「ジャストサイズのインフラ投資」。2Uコンパクトシャーシを採用することで、小規模から超大規模まで、あらゆる規模のユーザーにジャストサイズのインフラを提供することが可能だ。スケールアウトも容易に行うことができるため、余分な初期投資を抑え、投資の最適化が可能となる。最後の4点目が「洗練された管理システム」。独自開発の管理ソリューション「CMC for FX2」は、デルが大型ブレードサーバーやコンパクトコンバージドシステムで培ってきた管理のナレッジが集約されている。単一コンソールから、シャーシ全体が管理できるのはもちろん、最大20シャーシのFX2システムを一元管理することも可能で、大規模環境の管理も簡素化できる。
これらFX2のさまざまな特長は、業界でも高く評価され、「INTEROP TOKYO 2015」の「Best of Show Award」では、「サーバ&ストレージ部門」で審査員特別賞を受賞した。

「PowerEdge FX2」は「INTEROP 2015」の「Best of Show Award」で審査員特別賞を受賞スピードと自由度を両立させる「Blueprint」で検証済ソリューションを提供
FX2をはじめデルの最新プラットフォームを柱とし、大きく変化する市場や環境に対応する柔軟なIT環境のインテグレーテッドソリューションとして、デルが掲げる新しい取り組みがBlueprintだ。「ハードウェア、OS、アプリケーションやサービスを、ワークロードと規模に応じて組み合わせ、デルが予め十分な検証を行ったソリューションを提供する。導入時のスピードと自由度を両立させるため、アプライアンス型のターンキーモデル『エンジニアソリューション』とカスタマイズニーズに対応した『リファレンスアーキテクチャ』を用意している」と、日比野氏は説明する。
エンジニアソリューションでは、デルの工場でキッティングしたワークロードごとのアプライアンスモデルを用意。リファレンスアーキテクチャでは、デルが実証、検証済の組み合わせを、ワークロード別に規模に応じたTシャツモデル(S/M/L)構成で提供する。日比野氏は、「事前検証済によって、最大95%導入ステップを削減できる。また、アプライアンスなら最短15分で仮想マシンの起動が可能だ」とメリットを語る。
また、「仮想化」「Cloud」「UC&C」「VDI」「ビッグデータ」などの分野にフォーカスし、続々とソリューションを追加していくという。例えばUC&Cでは、ラックサーバー、VRTXとMicrosoft Windows Server 2012 R2を合わせて柔軟性の高いスケーラブルデザインを実現。マイクロソフトのLync、Exchange、SharePointに最適な完全検証済みサポート構成をラインアップする。エージェント不要で利用できるシームレスな管理オプションも用意し、Microsoft System Centerと連携可能な管理ツール「ASM(Active System Manager)」などを活用することで、運用を自動化して管理の手間やコストを大幅に削減する。
パートナーのビジネス拡大をさまざまなツールで支援
ユーザー向けのカスタマイズができるリファレンスアーキテクチャは、パートナーの提案力や特性が大きく発揮できる領域だ。その支援のため、デルではさまざまなツールを提供している。ワークロード別の詳細な構成をまとめたホワイトペーパーや、SIerやユーザー企業が利用できる導入ガイドも提供する。
また、パートナーが容易に見積もりを実現できるテンプレートを用意した「OSC(Online Solution Configurator)」を整備。テンプレート数は、順次追加しており、「すでに10を超えるソリューションテンプレートを用意した。ぜひ、パートナー様に活用してほしい」(日比野氏)との考えを示している。