エレコムは2015年10月末、法人向けNASの新製品「NetStor」シリーズと「DataStor」シリーズを発表した。エントリーからハイエンドまで幅広いラインアップを揃え、大企業やSMB(中堅・中小企業)のリプレースを促すほか、とくにSOHOや企業の1部門が導入しやすい製品の提供によって、NASユーザーの裾野をさらに広げていく方針だ。クラウドサービスとの連携も充実しており、ディストリビュータやSIerなどがオンプレミス型システムの提供だけではなく、サービス型ビジネスを手がけることができる環境も整えた。

法人向けにラインアップしたNASの新製品群どの機種にも法人必須の機能を搭載

商品開発部
開発4課
二松 光氏 エレコムが12月初旬から順次発売するNetStorシリーズとDataStorシリーズは、幅広いラインアップを揃えている。その理由について、門脇洋之・商品開発部開発4課課長は、「お使いいただく環境によって求められるスペックがかなり変わってくるので、どのような規模や用途でも対応できるようラインアップを充実させた」としている。加えて、「ただ、基本的な機能はどのモデルも大きく変えずに、必要な機能は一通り揃えている」と説明する。
つまり、エントリークラスの製品であっても、ハイエンドクラスとほぼ同等の機能を備えているということだ。例えば、AD(アクティブディレクトリ)連携機能を、すべてのモデルで標準対応している。今回、エレコムがこうした商品展開を行った背景の一つとして、NASが大企業の1部門や1拠点で独自に導入されたり、ファイルサーバーとしてだけでなく、特定のアプリケーションやメインストレージデバイスなどのバックアップとして利用されたりするケースが増えていることが挙げられる。
逆に、小規模な企業や組織であっても、高度な機能に対するニーズが高まっている。例えば、モバイル環境などオフィス外からでも、NASのファイルにセキュアにアクセスするというものだ。従来であれば、ネットワーク機器を設置してVPNを設定しなけばならなかったため、小規模な企業にとってはハードルが高かった。そこで今回、NetStorシリーズとDataStorシリーズでは、すべてのモデルにハードウェア暗号化エンジンが搭載されている。これによって、特別な機器を揃えることなく、容易にVPNでのリモートアクセスが可能となる。また、離れた2台のNAS間での同期もVPN経由で行うことができる。そのため、非常に低コストかつ容易にBCP/DR対策が実現できるのも特徴といえる。
クラウド連携機能も強化されており、7種類のクラウドサービスへのバックアップが可能となっている。商品開発部開発4課の二松光氏は、「マイナンバー制度の開始に伴い、データを扱う難易度がさらに高まるなか、企業のストレージ戦略では、オンプレミスとクラウドの使い分けをどうするかが重要になっている」と訴える。
トータルサポートで全面的に支援

商品開発部
開発4課
課長
門脇洋之氏 NASのラインアップを充実させたエレコムが、とくに強調しているのが、サポート/保守を含めた一連のソリューションとしてNASを提供していく点である。その一環として、導入検討時に最適な提案・選択ができるよう、SIerやユーザー企業を対象としたハンズオントレーニングを全国で提供している。トレーニングは、開発担当者が直接実施する。
「実際に実機に触れていただくことで、例えば、ルートフォルダだけでなくすべてのサブフォルダまで詳細なアクセスルール設定が可能など、当社製品ならではの機能を知ることができると、お客様からも非常に好評をいただいている」と二松氏はアピールする。
ユーザー企業が利用開始後には、オンサイトでのサポートと合わせて、100人を超える専任スタッフを擁する自社サポートセンターでのサポート支援の体制も整えている。また、同社のNASは他のシステムと合わせて導入されることも多い。そうした場合には、ワンストップでサポート/保守ができるようにもしている。
門脇課長は、「開発担当者やサポートセンターに寄せられた声をフィードバックすることによって、新たな機能などに盛り込んでいく」との方針を示している。
各製品は、今年12月から来年2月にかけて、順次リリースされる予定だ。