マイナンバー(社会保障・税番号)制度の施行に伴って、地方自治体によるクライアント端末での二要素認証の導入が急速に進もうとしている。その需要を取り込むため、指紋認証トップベンダーのディー・ディー・エス(DDS)は「DDS 認定販売パートナー制度」を創設した。すでに、加盟を表明している販売店は50社を超え、2016年中には100社の加盟を見込んでいる。販売やサポートのネットワーク網を全国に広げることで、地方自治体の次に波及する可能性の高い、民間需要(企業)の取り込みを狙う。

強靭性向上モデルで3倍の案件

久保統義
営業担当取締役
兼バイオ事業本部本部長
 マイナンバー制度の施行に伴う個人情報漏えい対策として、総務省は「自治体情報システム強靭性向上モデル(強靭性向上モデル)」を策定した。強靭性向上モデルは、業務端末のネットワークを分離し、地方自治体の個人番号利用事務系の端末に対して、情報の持ち出し不可設定と二要素認証の導入を求めている。導入の期限はマイナンバーで国と地方自治体間の情報連携が始まる17年7月であるため、地方自治体の対応が急務となっているのだ。

 「制度施行前と比べて、全国で当社の製品に対して3倍以上もの案件が発生し、これまでの販売体制では対応が難しくなっていた。そこで、当社の製品を深く理解し、導入にあたって構築を実施する技術的な知識をもつパートナーの方々を、正式な販売パートナーとして認定する制度を設けて、ユーザーが安心して構築を依頼できる販売・サポートのネットワーク網を全国で整備することにした」と、久保統義・営業担当取締役兼バイオ事業本部本部長はDDS 認定販売パートナー制度を創設した背景を語る。

 DDS 認定販売パートナー制度では、リセラー(SIerなど)に商品を卸す流通事業者(ディストリビュータなど)向けの「DDS-VAD(Value Added Distributor)」「DDS-AD(Authorized Distributor)、ユーザーに製品・サービスを提供する販売会社(SIerなど)を対象に据えた「DDS-VAR(Value Added Reseller)」「DDS-AR(Authorized Reseller)」、DDSの製品を自社ブランドで販売するOEM販売会社を対象とした「DDS-OP(OEM Partner)」の5種類を設定している(表1参照)。各パートナーは、創出した案件の登録で取引条件が優遇される「案件登録制度」をはじめ、認定証や代理店証明書の発行、情報提供、DDSのホームページでの紹介などの支援が受けられる。


 「販売パートナー開拓の部署を新設して、専任のスタッフも揃えた。すでに、加盟を表明している販売パートナーは50社を超えた。現在、加盟審査中や申し込みを検討中が30社程度で、今年中には全国で100社が加盟する」と久保取締役は見込んでいる。

独自技術でトップシェアを獲得

 強靭性向上モデルで基本となっている二要素認証で生体認証が注目されているのは、ID/パスワードやICカードとは異なって、なりすましの防止に最も有効な手段であるためだ。DDSの指紋認証の製品は、PC向け指紋認証システムで7年連続トップシェア(富士キメラ総研調べ)を獲得、日米で特許を取得した「ハイブリッド指紋認証」によって、可用性を損なわずに指紋登録成功率100%を実現する。加えて、指紋認証がメインの「EVE FA」と、指紋と静脈の認証など複数の生体認証や物理的な認証方式に対応した「EVE MA」をラインアップし、柔軟な認証設定に対応できる。

 また、強靭性向上モデルにあるネットワーク分離でもコスト面の制約などで端末を共用する場合、VDI(仮想デスクトップインフラ)環境の導入が不可欠となるが、DDSは主要なVDIを生体認証として唯一サポートしている。このほか、地方自治体の窓口端末などで利用されている共通IDにも対応。ログオンできるメンバーをあらかじめ登録しておくことで、問題が発生した際にも確実に個人を特定できる。

 「すでに、県庁や政令指定都市を中心に100以上の自治体が当社のソリューションを導入している。今後は、専任担当者がいない小規模な地方自治体でも本格的に導入を検討することになるが、技術力をもつ販売パートナーや、『ローカルキング』と呼ばれる地域で知名度の高い販売パートナーと組んで、しっかりとサポートしていきたい。さらに、販売パートナーがもつ商材との組み合わせによるソリューション展開を期待しているので、ぜひ当社のパートナー制度に加盟してほしい」と久保取締役は呼びかける。

 DDSでは、認定販売パートナー制度の創設に合わせて、EVE FAとEVE MAの認定技術者制度も設けた(表2参照)。DDS-VADとDDS-VARの認定には各2人の設置を必要とし、まず25社(50人)の認定技術者の育成を目指している。


 将来的には、地方自治体で二要素認証が標準となれば、次は民間企業でも自治体に準じた認証方式の導入が進むとみられている。久保取締役は、「金融や医療など、今後はさまざまな業界で生体認証を含む二要素認証が必須となり、ログイン認証だけでなくウェブサービスやアプリケーションでの採用も進むだろう。当社の指紋認証なら、安全性に加え、認証時の高い可用性も担保できるため、結果的に生産性向上にも貢献できる」とメリットをアピールする。