デスクトップ仮想化(VDI)の実装方式には、「フルクローン(Full Clone)」と「リンククローン(Linked Clone)」がある。ストレージ視点では、仮想デスクトップの運用課題であるログインが一斉に集中する「ログインストーム」による遅延の発生が心配される。ログイン時の遅延はクレームにつながりやすい。IBMの「FlashSystem A9000」は、その心配を無用にするストレージである。

フルクローンの課題を解消

武田光晴
SI技術本部
統合基盤技術部
データセンタソリューション課
課長

 フルクローンは、ユーザーごとのデスクトップ環境をサーバー側で保有し、リンククローンはユーザー環境で共通部分となるマスターイメージとユーザーごとの差分データを保有する。そのため、フルクローンはリンククローンよりもデータ量が大きくなり、ストレージ側にフルクローンの個数分の実データを確保しなければいけない。 一方、フルクローンのメリットとしては、アプリケーションの互換性が挙げられる。リンククローンではアプリケーションの互換性が問題となりがちだが、フルクローンでは同様の問題が少ない。

「VDI環境の導入では、アプリケーションの動作検証のためのPoC(Proof Of Concept)と、ログインストームの影響を受けない最適なサイジングに時間がかかる。フルクローンはPoCが不要なため、サイジングから始めることができる。そのため、公共系などの短期間で実装することが求められるケースにおいて、フルクローンが採用されている」と、SI技術本部統合基盤技術部データセンタソリューション課の武田光晴課長は、フルクローンについて説明する。 そのフルクローンにおいて、ネットワールドが推奨しているストレージが、IBMのFlashSystemA9000である。同ストレージの特徴について、武田課長は次のように説明する。「インラインの重複排除・圧縮技術と、SSDよりも高速な独自開発のフラッシュ・モジュールを採用していることで、ログインストームなどの性能要件のサイジングが不要となるほどの処理能力がある」。ちなみに、リンククローンにおいてもログインストームの影響とは無縁ではないため、FlashSystemA9000の高い性能と容量効率は有効に機能する。
 

圧倒的な検証結果

 FlashSystem A9000の圧倒的な処理能力は、ネットワールドの検証結果「PIC de PoC」においても証明された。例えば、ログインストームの検証では、フルクローンとリンククローンの両方で、1000ユーザーを超えても40秒以内のログイン時間を維持。バラつきがなく、安定して動作することを示した。

 データ転送における指標であるレイテンシの検証では、フルクローンとリンククローンに関係なく、高いパフォーマンスを発揮した。「FlashSystem A9000は、検証した1200ユーザーでは最後まで1ミリ秒を超えることがなかった。ハイパーバイザーやミドルウェア(データベース)によってはストレージのレイテンシで厳しい利用条件もあるが、その心配はまったくない」と武田課長。コントローラーのキャッシュのヒット率はフルクローン、リンククローンの両方で7割以上となり、フラッシュ・モジュールへの負荷軽減も実現している。

 他社のストレージ製品との切り分けについて、武田課長は「FlashSystem A9000は、ハイエンドレイヤの製品となるため、フルクローンを採用するVDI環境において提案している。また、IBMはバックアップストレージに最適なテープ装置も提供しているため、FlashSystem A9000と組み合わせた提案もできる。これは他社にはない」と説明。ストレージを突破口として、ネットワールドはIBMとのアライアンスを強化していく考えだ。
 

編集長の眼 SSDを寄り切る横綱相撲

 FlashSystem A9000は、オールフラッシュのストレージ製品である。ただ、一般的なオールフラッシュストレージと違うのは、SSDではなく、独自開発のフラッシュ・モジュールを搭載しているところにある。IBMは「システム要件によってはSSDでも限界がある」と判断したという。そのうえで、インラインの重複排除・圧縮機能を備えている。PIC de PoCの検証においても、その能力をいかんなく発揮した。

 PIC de PoCで検証したストレージ製品は、基本的にエントリーレイヤが中心。FlashSystem A9000はハイエンドレイヤであることから、他社製品との比較は難しい。ただ、PoCとサイジングが不要とする提案では、FlashSystem A9000で間違いない。