自動化で技術者の負担を減らす

 IT業界は働き方改革を実現しているのか──。ネットワールドでは、働き方改革に関連したビジネスを手がけながら、SE(システムエンジニア)の業務効率化にも取り組んでおり、その一つとして複合システム検証センター「GARAGE」運用の自動化を実現している。自社SEの残業時間を大幅に短縮することができたほか、将来的にはパートナーのSEが業務負担を軽減できる仕組みの構築も描いている。

そもそもIT業界の人は
忙しすぎる

 車の自動運転をはじめ、AI搭載のロボットやツールを使った接客の効率化、工場の見える化による生産性の向上など、日常生活や業務は格段に進化している。これは、ITの発展が一翼を担っており、メーカーやディストリビュータ、SIerなどのITベンダーがさまざまなソリューションを提供しているからだといっても過言ではない。
 
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(左から)平松健太郎 ストラテジックプロダクツ営業部 部長
高田 悟 ストラテジックプロダクツ営業部 SP1課 課長
海野 航 SI技術本部 統合基盤技術部 プラットフォームソリューション課 主任

 ところが、IT業界については、業務の自動化が進んでいるのだろうか。平松健太郎・ストラテジックプロダクツ営業部部長は、「決して進んでいるとはいえない。IT基盤の運用は負担が大きい」と漏らす。「そもそもIT業界の人は忙しすぎる」と指摘する。

 これはネットワールド内でも発生していた問題で、「例を挙げれば、GARAGEの運用」と高田悟・ストラテジックプロダクツ営業部SP1課課長は説明する。現場では、専任担当は存在せず、VMware製品の担当SEが本業のかたわらで運用しているという。そのため、次々と課題が降りかかってくる。その一つがハンズオンセミナーの事前準備だ。ネットワールドでは、公開ハンズオンセミナーを週3回以上に渡って実施しているほか、「お客様リクエスト」による個別のハンズオンもある。事前準備には、ハンズオン環境の展開、ハンズオン環境の起動と割り当てIPアドレスの確認、接続確認が必要。前日のハンズオン終了後でないと準備ができないため、現場のSEから「確実に100%残業」との声があがっていたという。平松部長は、「究極のインフラ運用管理とは、管理者の必要ないシステム。インフラを知らなくても、一切の手を使わず好きな時に好きなだけ必要なインフラを手に入れる、という環境を構築しなければならない」としている。

「Hey! GARAGE」で
究極のインフラ運用へ

 では、ネットワールドが実現しようとしている究極のインフラ運用とは何か。平松部長は、「手を使わずに、誰でも利用でき、すぐに利用できること」という。その解として、iPhoneの「Hey! Siri」と同じように、音声を使って操作できる「Hey! GARAGE」の開発に取り組んだ。

 三大要素は、AI音声アシスタント「Amazon Alexa」、AWSとMicrosoft Azureの「クラウドサービス」、そしてそれらを活用した「自動化」だ。音声入力インターフェースとしてAmazon Alexaを搭載したタブレット端末「Amazon Fire タブレット」を活用し、AWSとMirosoft Azure、そしてオンプレミスにあるVMware vCloud Directorを経てハンズオンセミナー環境を自動でプロビジョニングする。
 
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 AWSでは、Alexaからの音声入力に基づいたプログラムをクラウド上で実行する「AWS Lambda」を利用する。さらに、Microsoft Azure Automationを使い、オンプレミスにあるハンズオンセミナー環境をプロビジョニングするためのPowerShellスクリプトをシームレスに実行させる。この二つのクラウドサービスをWebHookで組み合わせることでインフラ自動化をシンプルに実装することができた。

 このデモ環境をプライベートイベント「Networld .next 2017」で披露したところ、「興味を示していた来場者が多かった。問い合わせもきている」と、開発者の海野航・SI技術本部統合基盤技術部プラットフォームソリューション課主任は手ごたえを感じている。海野主任は、ハンズオンの事前準備を実際に行っており、現場で苦労していたことから開発に踏み切った。

 現在、ネットワールドでは業務フローの自動化が可能な「Microsoft Flow」をインストールしたiPhoneを使ってハンズオン環境をプロビジョニングできるようにもした結果、「SEの負担は劇的に減った」(海野主任)。平松部長は、「自動化によって、将来的にはIT業界の働き方改革にもつながるようにしたい」との考えを示している。