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<BCN CONFERENCE OSAKA デジタル革命最前線>日本オラクル 「Oracle Cloud」がビジネス成功の最適解

2017/11/09 09:00

週刊BCN 2017年11月06日vol.1701掲載

クラウド・ジャーニー実現への道筋を示す

 日本オラクルの本多充・オラクル・デジタル執行役員は、「デジタル時代を勝ち抜くには!?~事例に学ぶ、PaaS/IaaS導入の成功へのシナリオ~」と題して講演した。ビジネスで成功するために必要なコスト削減やスピード、データの活用を実現するためには、全方位でソリューションを揃える「Oracle Cloud」が最適解だと強調し、オンプレミスからの移行から拡張、変革と段階的に進める「クラウド・ジャーニー」を実現するための道筋を示した。

「たった1日」で
開発環境を構築

本多 充
オラクル・デジタル 
執行役員

 本多執行役員は、クラウドが登場したことで、ビジネス環境に二つの大きな変化が起きたと説明した。一つめはコスト面で、「IT投資の70%~80%が既存システムの運用にとられていたが、クラウドが出てきたことで、ITのコスト構造がかなり変わってきている」とし、安価な運用を求める動きが出ていることを紹介した。

 e-Lerningコンテンツを提供しているアイスタディの事例では、開発環境でのOracle Cloudの活用効果を紹介。学習管理システムの顧客向けトライアル環境をOracle Cloudで構築した結果、「個社ごとの環境をつくる準備を5分の1に短縮することで、その分のリソースを営業費用削減・売り上げ拡大・競争力強化に生かすことができた」(本多執行役員)と紹介した。

 さらに、Oracle Cloud導入前に使っていたオンプレミスに比べて、個社ごとのサイト構築にかかっていた準備期間が1週間から1日と大幅に短縮。顧客への提供スピードは飛躍的に向上し、一石二鳥の効果でビジネスの加速に成功した。

「秒単位」で
顧客の情報共有が可能に

 生活協同組合(生協)の事業連合組織にあたる生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ連合会)の事例では、提携生産者とのデータ共有にOracle Cloudを導入し、劇的なスピードアップに成功したことを示した。

 生活クラブ連合会では、提携生産者とのやりとりに、宅配依頼データをコピーしたCD-Rを使用し、手渡しでデータの共有をしていた。そのため、紛失による個人情報の漏えいや破損のほか、データの受け渡しに時間がかかることが課題となっていた。

 そこで生活クラブ連合会は、オラクルのクラウド・ファイル共有サービスを利用し、安全で迅速な情報共有態勢を構築。本多執行役員は、「オンラインで顧客の情報を秒単位でやりとりできるようになり、情報の変更も即座に生産者に渡すことが可能になった」とスピードアップの効果を説明した。

 また、オラクルのパートナーでもあるUSEの場合では、社会保険労務の電子申請サービスの基盤にOracle Cloudを採用したと紹介した。同社は、社内システムと連携させ、担当者の作業負荷を大幅に軽減できるようにしたほか、クラウドサービスの柔軟性を生かして1日単位の改変にもすばやく対応できるようにした。

140万点の製品データを
リアルタイムで確認

 データ活用では、理化学機器を扱うアズワンの事例が提示された。同社は、140万点を超える取扱製品のデータ活用にOracle Cloudを利用。オンプレミスのOracle Databaseに取扱製品のデータを集約し、APIを使って4300の販売店が在庫状況などをリアルタイムで確認できる仕組みを構築した。

 本多執行役員は、「アズワン様は、この仕組みを1か月でつくった。クラウドを使えば、販売管理の仕組みを一部改変することで、情報流通を早くすることができる」と説いた。

 このほか、宮城県丸森町がIoTとデータ分析を活用した定住促進プロジェクトの基盤にOracle Cloudを採用した事例や、ソフトバンクが、香川県・豊島で展開する電動バイクのレンタルサービスで、稼働状況の収集や可視化、分析にOracle Cloudを導入した事例も披露した。

「お客様の都合のすべてに
対応できる」

 講演で本多執行役員は、幅広い業種でOracle Cloudが導入されていることを示し、「Oracle Cloudの一番の特徴は、すべてのカテゴリに対応するソリューションを揃えていること。ハードからアプリまで、すべての製品をクラウドで提供できるため、お客様の都合のすべてに対応できる」と呼びかけた。

 さらに、グローバル全体で大きなシェアを獲得しているデータベースを引き合いに出し、「今の仕組みをそのままクラウドにもっていけることも強みになっている。既存のナレッジをそのまま使えるため、教育や運用管理、障害対応も変わらない」と強調。「さらにIaaSは競合の3分の1くらいのコストで導入できるため、お客様に満足いただく価格体系になっている」とも訴えた。

 また、クラウド・ジャーニーについても言及。「オラクルは、ありとあらゆる製品をクラウドで用意することで、移行、拡張、変革の全段階に応えられる」とアピールしたうえで、「日本のSIerにとっては、どうやって顧客のビジネスを拡大するかが今後のキーワードになってくる。その時、いろいろな製品が提案できるOracle Cloudがきっと役に立つはずだ」と力を込めて語った。
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外部リンク

日本オラクル=http://www.oracle.com/jp/