クオリカ上海/高律科(上海)信息系统有限公司

 昨今の中国は支付宝(Alipay)や微信支付(WeChatPay)を中心に電子マネー決済サービスが普及し、「饿了么」「美団外卖」といったデリバリーサービスの利用者が爆発的に増え、飲食店の運営に大きな影響を与えている。こうした変化に対応すべく、クオリカ上海は提供する外食産業専門の店舗管理システム「Tasty Qube」にさまざまな機能を追加し、急成長を続ける中国の外食産業でしのぎを削る飲食店を全面的に支援する。

市場の変化にいち早く対応
店舗の業務負荷を軽減

 「饿了么」「美団外卖」に代表されるデリバリーサービスの利用や支付宝(Alipay)や微信支付(WeChatPay)といった電子マネー決済の普及により、中国の外食産業市場は年々成長を続けている。2016年のオンライン飲食・デリバリー市場の取引規模は前年比232%増の1524億元(中国電子商務研究センター調べ)と、利用者の伸びは爆発的だ。
 

家本 雅規
流通商務事業部
事業部長

 それに伴い、一方の店舗では「新たな課題が出てきている」と家本雅規流通商務事業部事業部長は指摘する。例えば、饿了么を経由して注文が入ると、店舗のデリバリー専用端末に情報が送られてくる。だが、その専用端末は店舗のオーダーシステムとは必ずしも連携しておらず、厨房へ調理の情報を伝達するために従業員はわざわざ別のオーダーシステムに注文情報を手打ちで入力する業務が発生するケースが少なくない。通常の接客を行いながらのこうした業務は、入力ミスや時間のロスを招き、業務効率を低下させる原因となっている。

 クオリカ上海は中国で提供する店舗管理システム「Tasty Qube」に、饿了么からの注文に対応するモジュールを開発。店舗が独自に利用するデリバリーシステムと連携することで従業員の作業を介在せず、餓了么のサーバーから受けたオーダー情報を自動でキッチンプリンターから印刷できる。家本事業部長は「注文ミスを減らし、店舗内の作業を効率化することで店舗の負担を大きく低減する」とメリットを強調する。

 もう一つ、最近の中国の潮流として対応しなければならないのが電子マネー決済だ。多くの飲食店が電子マネー決済の仕組みを導入しているものの、POSシステムと連携していないケースが多く、実際に決済した金額と店舗POSシステムの売り上げに差異が発生し、確認と修正業務が新たに生じているという。Tasty Qubeでは中国の有力電子マネーに対応する「支付宝モジュール」「微信支付モジュール」を提供し、こうした課題を解決する。「電子マネーの登場で消費者は便利になったが、店舗には新たな設備投資という課題が残る。Tasty Qubeでは飲食店を取り巻く変化にいち早く機能として対応し、店舗管理の業務効率の向上に貢献する」(家本事業部長)。

 中国では日系の飲食店を中心に500店舗近くの導入実績を誇るTasty Qube。年内には「美団外卖」の対応モジュールのリリースも予定している。
 

蔓延するエクセル管理を排除
独自帳票の簡易作成機能

 飲食店から寄せられる業務課題に従業員の給与管理がある。いまだ多くの店舗が、「勤怠時間や交通費、手当などの給与計算に必要な情報をエクセルで管理している」(家本事業部長)という。例えば、1店舗に20人前後の従業員が所属し、それが中国全国で100店舗ともなれば100のエクセルを用いた2000人近い規模の処理が月末月初に集中することになる。

 Tasty Qubeの給与管理機能は、従来の勤怠打刻情報の管理機能に加えて交通費や深夜手当といった情報の一元管理を実現する。給与計算のために各店舗が個別に準備していたエクセルが必要なく、入力ミスなどのヒューマンエラーが大きく低減する。数値の正確性を担保できるだけでなく、従業員の確保が難しくなりつつある飲食店から属人的な作業を減らす利点は大きい。

 さらに、日本本社に報告する際の帳票を独自に作成することも可能だ。「例えば、主力商品の前年比較や地域別の売上比較、前年同日・同曜日の比較など、店舗ごとにニーズが異なる独自帳票簡易作成機能はユーザーに好評」だと家本事業部長は自信をみせる。

 中国に加え、バンコクとジャカルタに拠点を構えて展開するTasty Qube。「最近は中国大陸に加え、台湾地区の顧客も増えている。中国大陸の実績を他地域・他国へ、他地域・他国の実績を中国大陸へ展開するグローバル連携を今後は一段と加速させたい」と家本事業部長は展望を示す。

現場のノウハウを集約した生産管理システム
さまざまなソリューション連携でワンストップサービスを実現

 クオリカ上海には、中国に拠点を構える日系の製造業から業務改善やコスト削減を目的とした相談が日々寄せられる。「ATOMS QUBE」は従業員数50人~500人の中堅・中小規模の製造業を主な対象とするクラウド型生産管理システムだ。現場の業務課題を解決するための導入プロセスや新たな現場のニーズに応えていく。今後の展開について古田信明製造商務事業部副事業部長に聞いた。

徹底した業務ヒアリングで
部門毎の固有の課題を解決

 ATOMS QUBEはクオリカが2010年から販売するクラウド型生産管理システムだ。中国では11年からクオリカ上海が販売・サポートを始め、日系企業を中心に30社以上で利用されている。日本では80社を超える導入実績があり、ASEAN地域を含めると実に130社近くの製造の現場を支えている。
 
 

古田 信明
製造商務事業部
副事業部長

 その特徴を古田副事業部長は、「導入しやすく、わかりやすい(使いやすい)」と表現する。「製造業にとって必要な受発注からMRP、生産工程、出荷、売り上げ、検収、原価といった標準機能を備え、エクセルによる管理からシステム化するというニーズで選択いただくケースが多い」という。部門や担当者によって異なるフォーマットのエクセルで管理されるデータは、リアルタイムに統合して現状を一元的に把握することができず、認識のズレを生む。また、基幹システムに改めて数値を入力する二重作業が発生することで属人的なミスも増え、業務効率を下げる要因になる。

 こうした課題を解決するATOMS QUBEのもう一つの特徴が短納期だ。不必要な機能を豊富に備えたシステムと異なり、本来必要とする最低限の標準機能に絞り込んだクラウドサービスで、早ければ4か月足らずで運用を開始できる。その一方、導入プロセスでは「ATOMS QUBEを利用する複数部門の意向を横断的にヒアリングし、それぞれに抱える固有の業務課題に応えるよう導入計画や運用ルールを策定する」(古田副事業部長)という徹底ぶりだ。人材の流動率が高い中国において、運用ルールが属人性に左右されることなく回るようシステム化するというわけだ。

 「システムはあくまでもツール。現場がうまく運用できなければ意味がない。システムを提供するのではなく、お客様の課題を解決するための仕組みを一緒につくることが重要だと考えている」と古田副事業部長は強調する。

さらなるソリューション連携で
現場の業務改善を推進

 中国に拠点を構える日系企業は現地の税務制度を考慮して「用友」や「金蝶」を基幹システムとして導入する企業が多い。用友や金蝶の一部には生産管理機能も備わっている。しかし、「十分な機能ではない」と古田服事業部長は指摘する。例えば、用友のMRP(Material Requirements Planning)は簡易的で自動発注の仕組みがなく、手作業の入力が必要だ。

 ATOMS QUBEは当然ながらそうした生産管理に必要な専門的な機能をもちつつ、逆に用友や金蝶と連携し、製造業の全般的な業務効率化を支援する。その一つはATOMS QUBEで管理するデータの移行作業である。クオリカ上海はデータ連携ツール「Waha!Transformer」(ユニリタ)と年内に提携し、従来は一旦CSVデータに抽出して用友や金蝶に取り込む必要があった作業の自動連携を可能にする。さらに、情報活用のダッシュボードツール「MotionBoard」(ウイングアーク1st)や生産スケジューラ「Asprova ASP」(アスプローバ)ともソリューション連携し、ATOMS QUBEで管理するデータを活用して数値の見える化から分析、一段と緻密な生産計画の策定まで一気通貫で支援する。

 マネジメント層の業務負荷も軽減する。「定期的に日本本社へ報告する資料の作成は、中国拠点のマネジメント層にとって負担が大きい。エクセルの数値を数日間かけて集計するという総経理も少なくない。ATOMS QUBEは原価管理などのデータの帳票が数時間あれば簡単につくることができる」と古田副事業部長は説明する。

 ATOMS QUBEで顧客のトータルサポートが提供できるクオリカ上海は、今後も日系製造業の課題解決を支援していく。