シスコシステムズが2016年4月に発表した「Cisco HyperFlex」は、プラットフォームにサーバー市場で高いシェアを誇るCisco Unified Computing System(Cisco UCS)を採用するとともに、サーバーとストレージに加えネットワークも含めた統合管理ができる次世代のハイパーコンバージドインフラ(HCI)だ。シンプル構成、導入の容易さ、高いパフォーマンスを特徴とし、グローバルではすでに2200社以上に採用され、年率500%(2017年第3四半期)を超える最速成長を遂げている。

サーバー、ストレージに加え、ネットワークまでも統合

201801251524_1.jpg

石田浩之
データセンター
バーチャライゼーション
事業担当 部長

 この2~3年、HCIが高い注目を集め、急速に採用が進んでいる。その理由は運用管理コストの削減をはじめ、インフラコストの削減、ビジネスでの要求への迅速な対応、管理者不足などの課題解決につながることを期待してのことだ。

 「ユーザーがこれからHCIに求めるものは、パフォーマンスや運用管理のさらなる効率化や統合、クラウド対応の強化にシフトしている。そうした期待を具現化したのが『Cisco HyperFlex』。発売開始から2年間弱ですでにグローバルで2200社以上に採用されるなど、HCI市場で最も成長スピードが速い製品だ」と、石田 浩之・データセンター/バーチャライゼーション事業担当 部長は強調する。

 HyperFlexが従来のHCIと大きく異なる点は、サーバー、ストレージの統合にとどまらず、ネットワークまでも含めて1つのシステムに集約し、統合管理を可能にしたことだ。これにより構成をシンプルにして、システム設定や運用負荷を大幅削減、さらに高いI/Oパフォーマンスをも実現した。
 
 ベースとなるプラットフォームには、2017年第3四半期に世界のブレードサーバー市場でトップシェア(IDC調査:売上ベース)を獲得したCisco UCSを採用する。HyperFlexは既存UCS環境に追加してスケールアウトできるため、既存のサーバーやストレージのリソースを無駄にせずにHCIを追加したり、混在利用したりすることもできる。さらに他社ストレージの接続やオプションのUCS Director を用いて他社ストレージも含めた統合管理も可能だ。インフラのさらなる集約が進み、仮想化基盤全体の包括的な運用管理ができるようになる。

容易なセットアップ、安定したI/Oパフォーマンス

 HyperFlexは初期セットアップについても、多くの作業が自動設定されるため、ネットワーク構築を合わせても、5ステップの約30分で設定を完了できるという。FI(Fabric Interconnect)という統合スイッチに搭載された UCS Manager の機能によって、物理サーバーノードを自動認識し、これまでの面倒なネットワーク設定作業が大幅に削減できる。

 ネットワークも含めた統合はI/Oパフォーマンスにも生きている。HCIクラスタ専用に設計された分散ファイルシステムのHXデータプラットフォームが、低遅延の高品質なFIの特長を最大限に生かす分散I/O処理で常に安定した高いI/Oパフォーマンスを提供。米リサーチ会社のESGによる性能試験では、HyperFlexは他社ソリューションと比較して最大で2~3倍の仮想マシンの実装密度を実現。仮想マシンの読み取り/書き込み時の遅延を他社の3分の1に抑えるなど、さまざま条件下でも安定した高いI/Oパフォーマンスを発揮した。

 「これまで難しいとされた高いI/Oパフォーマンスが求められるアプリケーションにも、HCIを適応することが可能になる」と石田部長と話す。
 
201801251153_1.jpg
これからのハイパーコンバージドインフラへの期待を具現化 Cisco HyperFlex
 

クラウドでの統合的な管理やハイブリッドクラウドソリューションを提供

 現行の「HyperFlex 2.6」は、対応するハイパーバイザーがVMware vSphereだけだが、18年3月に発表予定の「HyperFlex 3.0」ではマルチハイパーバイザー対応となる予定だ。Microsoft Hyper-Vをサポートする。

 運用管理のさらなる効率化というITインフラの課題解決に向けて、シスコシステムズでは、クラウドホスト型管理プラットフォーム「Cisco Intersight」を提供する。これはネットワーク機器管理のクラウドサービス「Cisco Meraki」の考え方をデータセンター環境に展開したもので、クラウドでCisco UCSとHyperFlex、将来的には他社ストレージやデータセンターネットワークも含めた一元管理を可能にする。

 「将来的にはユーザーのシステム稼働状況を機械学習し、シスコの全世界のサポートナレッジを組合せてトラブルの予兆検知や解決策を事前に提示し、その対応処理や自律運用までも可能にすることができるようになる」と、石田部長は指摘する。

 また、米シスコシステムズと米グーグルは17年10月に、ハイブリッドクラウドソリューションの提供を目指して提携を発表した。オンプレミスのデータセンターとパブリッククラウドの「Google Cloud Platform(GCP)」とをシームレスに連携させて、ハイブリッド環境全体をカバーする一元的な管理や監視、セキュリティをユーザーに提供する。グーグルが開発したオープンソースのコンテナクラスタ管理ツール「Kubernetes」との連携を「HyperFlex 3.0」でサポート、マイクロサービス管理のフレームワーク「Istio」などを利用したサービス管理なども含めて、クラウドネイティブな環境とより密に連携できるようにしていく。

 国内でのHyperFlexの採用は、VDIや仮想化基盤の統合目的が多く、高パフォーマンス、高可用性に注目する製造、大学、自治体などのユーザーが増えている。ソーシャルゲーム開発などを手がけるグリーは、ERPシステムをHyperFlexに移行し大幅なパフォーマンス向上を実現した。VMware vSphere 以外の環境はUCS Cシリーズラックマウントサーバーを、さらに外付けストレージも接続し、HyperFlexの柔軟な構成に対応できる特長を活かしている。

 「18年は20億円の売り上げが目標だ。また、特別価格で提供する販売キャンペーンをはじめ、今春からパートナーによる自営保守サービスを開放するので、HyperFlexを商材として活用してほしい」と、石田部長はアピールする。