パートナーが躊躇してしまうことがあった新製品の新規開拓をメーカーと推進

 仮想サーバー市場を切り開いてきたVMware。ユーザー企業内で稼働していた複数の物理サーバーを集約し、ハードウェアのコストと運用管理のコストの最適化に貢献してきた。最近では物理サーバーの集約化が一巡したことから、一般的には仮想サーバーの市場は安定期に入ったと考えられている。ところが、ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)は、今がVMware製品を提案する最適なタイミングであるとして、取り組みを強化。ポイントは「物理サーバーから仮想サーバー」ではなく、「仮想サーバーから仮想サーバー」にあるという。

三つのVMware製品を展開

 ソフトバンクC&Sは、VMware製品の販売に強くコミットしてきた。その成果は、販売実績に表れている。同社は米ヴイエムウェアがパートナー企業を表彰する「VMware Partner Innovation Award」において、2016年度の売り上げでアジア・太平洋および日本における「Regional Distributor of the Year」を受賞した。これはアジア・太平洋でNo.1のディストリビュータであることを意味する。

 また、ソフトバンクC&Sは、VMwareを取り扱うにあたっての社内体制の強化に注力している。国内最多となる11人の「VMware vExpert Award 2018」受賞者を揃え、VMwareに取り組む専門部隊では、トレーニングの支援、事前検証の支援、各種レポートの提供、マーケティング活動やセミナー実施の支援などを行っている。

 仮想環境市場をリードしてきたVMware製品だが、すでに広く普及し、多くのシェアを確保しているため、SIerや販社のビジネスとしては安定軌道に乗っているとの見方がある。
 
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ICT事業本部MD本部
プラットフォーム販売推進統括部
仮想化クラウド販売推進室
室長

廣田真吾氏

 これに対し、ICT事業本部MD本部プラットフォーム販売推進統括部仮想化クラウド販売推進室室長の廣田真吾氏は、「ヴイエムウェアは新しい製品を市場に投入している。ハードウェアの進化もあり、仮想環境のあり方も変化している。以前は、物理サーバーを仮想化によって集約するという取り組みだったが、最近では仮想サーバーを新しい仮想サーバー環境で再構築するという動きになっている。こうしたことから、VMwareビジネスはまだまだ伸びると考えている」と語る。

 ソフトバンクC&Sは今、仮想マシン向けのハイパーコンバージドストレージを提供する「VMware vSAN」、仮想マシン同様の運用モデルでネットワークの一元的な運用を実現する「VMware NSX」、さまざまなデバイスで業務システムの利用を可能にする「VMware Workspace ONE」という三つのVMware製品に注力している。

“健康診断”でビジネス創出

 ソフトバンクC&Sは、VMware製品のビジネス創出のために「仮想化健康診断(VOA:vSphere Optimization Assessment)」プログラムを提供している。同プログラムは、サーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」の運用の実態を診断し、ハードウェア構成やライセンスの最適化などの提案につなげるのが目的。仮想環境は、運用していくなかでライセンスを追加するなど、徐々に複雑化していく。その最適化提案がビジネスチャンスにつながるというわけだ。

 「vSphereの運用状況を判断し、ハイパーコンバージドストレージで最適化できるとなれば、vSANを提案できる。また、マルチクラウドを活用している、あるいは活用していく予定であれば、NSXの提案につながる。vSphereとは直接関係ないが、デバイスの多様化が必要とわかればWorkspace ONEを提案できる。仮想化健康診断プログラムは、VMware製品の市場拡大のためのシナリオとして、ぜひ活用していただきたい」と廣田氏はアピールする。
 
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ソフトバンクC&Sの提供するVMwareソリューション https://licensecounter.jp/vmware/

積極的な市場開拓でAPJ No.1

 このほかにも、B2Bマーケティングによる案件創出(Demand-Gen)の取り組みを強化している。例えば、イベントの開催や事例制作などを通じてリードを獲得し、インサイドセールスを実施。確度が高い案件情報をパートナーに紹介するという流れである。「vSphereのような成熟した商材と比べると、新規商材の拡販には販売支援やトレーニングに加えて、案件創出の支援が必要になる」と廣田氏は語る。購買意欲の高い顧客がいることを示すことでパートナーのモチベーションを高め、市場を一気に加速させているのだ。

 また、B2Bマーケティングによる案件創出を進めるにあたって、メーカーとの協業にも注力している。「VMware製品が売れると、バックアップ製品やUPS製品など、同時に売れる製品がある。こうした製品を取り扱うメーカーとの協業により、単独ではできなかった提案が可能になる」ことから、廣田氏は協業による「VMwareエコシステム」を構成し、仮想化市場を盛り上げていきたいとしている。

 ディストリビュータの立場からVMware製品に注力するソフトバンクC&S。急成長中のアジア・太平洋市場ではなく、日本市場での取り扱いのみでアジア・太平洋No.1の地位を得ているのは、販売パートナーの支援に加え、市場開拓に向けた積極的な取り組みがあるからといえるだろう。