Philips(フィリップス)の液晶ディスプレイの日本販売総代理店を務めるMMD Singapore日本事務所(MMD)。日本での市場参入は2013年10月と歴史は浅いものの、4K製品のいち早い投入をはじめ、ハイエンド市場の先駆者として市場を牽引してきた。販売開始から5周年を迎えた現在では、シェア2位を占めるまでに急成長を遂げている。すでにMMDでは、20年を見据えてトップシェアを獲得すべく、着々と次の手を打とうとしている。販売戦略と具体的な施策を聞いた。

国内市場参入から5年でシェア2位に急拡大


岩永美駒
主任
 IDCの調査によると、フィリップスの液晶ディスプレイは、PCバンドルを含む販売台数ランキングで世界第8位、純粋な液晶ディスプレイ単体で4位にランクインする。日本市場への参入は、13年10月と後発だが、翌14年には早くも20万台の販売を達成、16年には30万台を達成してシェア2位を獲得した。そして今年は45万台の販売を目標に掲げている。

 なかでも、とくに強みを発揮しているのが法人向け販売だ。「フィリップスは、外資系で初めて本格的に液晶ディスプレイ単体販売で法人市場に食い込んだメーカーであり、国内販売のうち7割を法人向けが占める。短期間でシェアを拡大できた理由の一つが安心感だ」とMMD Singapore日本事務所の岩永美駒・営業部主任は強調する。

 フィリップスは、業界最長となる5年間保証を当初から続けており、汎用液晶ディスプレイの全機種に適用している(サイネージ製品は3年間)。それを可能にするのも、製品の品質に強い自信をもつからに他ならない。

 法人に支持されるもう一つの理由が、幅広い製品ラインアップ。サイズや用途別に多くの選択肢を用意することで、さまざまなユーザーニーズに応えてきた。MMDはフィリップスの経営理念でもある「innovation and you(有意義なイノベーションを通じて人々の生活を向上したい)」という考えのもとに、新製品を市場へ投入してきた。最新テクノロジーの導入も早い。14年12月に日本で初めて40型4Kモデルを発売したのもフィリップスであり、現在も上位機種に多くのラインアップを揃える。今年5月には、米VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)が策定した「Display HDR」に対応した2モデルを投入。最上位規格の「Display HDR1000」認証モデルは日本初だ。
 

 また、販売が急拡大するなかでも、ディストリビュータをダイワボウ情報システム(DIS)と菱洋エレクトロの2社に限定することにより、市場での競合を避け、Win-Winのビジネス関係を築いてきた。
 

サポート体制の大幅強化とPhilipsブランドの浸透を図る


 「20年にトップシェアを獲得するのが目標。そのためにも、今年はサポート体制の大幅強化をはじめ、周辺ツールとの連携、ウェブサイトユーザビリティの向上、Philipsディスプレイブランドの再構築の4施策に取り組む」(岩永主任)。

 サポート体制強化では、まず、TAT(Turn Around Time=不具合品がサポートセンターに到着してから修理完了までの時間)を5日以内、80%を掲げる(従来は60%)。今年4月1日には修理専用箱の用意をスタート。ユーザーが化粧箱を捨てたりして箱が無い場合、サポートセンターより発送する。加えて、修理時の送料・検査技術料・キャンセル料を無料にした。

 技術面でも、サポートセンターで毎月、勉強会を実施して、販社の営業担当者やユーザーからの新製品や技術的な質問への対応を強化する。「万一、修理が必要になった時にも、お客様に気持ちよく修理を受けてもらえるようにしたい。そして、親しみやすいフィリップス製品のイメージを高める」と岩永主任。

 周辺ツールとの連携では、対応するアームやスタンドの検索を容易にする。法人向け販売促進のため営業ツールを強化し、チラシや他社比較といった情報や事例集を充実させる。

 ウェブサイトユーザビリティの向上では、「お客様の目線でもっと見やすく、わかりやすく、使いやすくする。ユーザークリック数増加を目標に掲げて、使っていただく頻度を上げることを目指したい」(岩永主任)。具体的には、ニュースリリース、品質ポリシー、アフターサポートに関する情報も頻繁に発信し、更新頻度を上げることでウェブの信頼度、正確性、重要度を向上させ、日本のホームページを意識した表記に変更する。

 Philipsディスプレイブランドの再構築では、Philipsというマスターブランドの資産をディスプレイブランドへも寄与させることを狙う。

 「もともと、Philipsブランドに対してユーザーがもつ、革新性、デザイン性、信頼性などのブランドイメージ要素をディスプレイブランドに加えて、際立たせていく。他社と保証体制、スペック、価格に大差がなければ、Philipsを選ぶ理由をつくりたい」と岩永主任は話す。

 イメージの向上ではタレントの市川紗椰さんを起用し、4月から配布の各種カタログの表紙やウェブサイトを飾っている。また、4K製品、USB Type-Cなど最新鋭でのNo.1イメージをアピールしている。そして、ディスプレイの日本発売5周年と、日本初のDisplayHDR 1000認証モデルを記念し、対象機種の購入でNETFLIXプリペイドカード2000円相当分をプレゼントするキャンペーンも実施した。

 「Philipsディスプレイブランド力を強化し、その結果、シェアアップにつなげていく。また、20年の東京五輪需要や、新しい表示活用方法としてサイネージ製品の拡大も期待できるので、国内トップシェア獲得をぜひ、実現したい」と岩永主任はアピールする。