JBCCホールディングス(JBCCHD)は2018年4月、海外事業推進部門を設置し、体制を強化した。同社は十数年前から中国を中心に海外での事業を手がけている。海外事業推進部門が顧客の海外事業拠点と日本の本社を橋渡しすることで、JBグループとして海外事業のさらなる拡大を図っていく。JBCCHDの滝川貴昭・海外事業推進担当部長と、JBグループの中国法人である佳報(上海)信息技術有限公司(JBCN)の久保亨・董事長総経理がその背景と狙いを語った。

日本本社と海外現地法人の間に
存在する情報の溝

滝川 貴昭
JBCCホールディングス
海外事業推進
担当部長

 これまで7年あまりJBCN上海の営業現場を担当し、現地の日系企業を支援してきた滝川担当部長は、現地のIT事情や顧客企業のリアルな実態を目の当たりにしてきた。そのときの経験を次のように語る。

 「JBCN上海のお客様は、主に日系製造業の中国現地法人。多くの場合、日本の人材がトップとして派遣されているが、必ずしもITに通じているとは限らない。その結果、われわれが現地法人にITを提案する際、現地法人と同時に日本の本社にも提案内容を説明してほしいと要望されるケースが多かった」

久保 亨
佳報(上海)信息技術有限公司
(JBCN)
董事長 総経理

 近年、日本の製造業では中堅・中小企業でも中国などの海外に拠点を抱えることが増えてきた。JBグループの海外事業では、主にそうした海外での経験値が浅い顧客企業の現地法人に対するITサポートを行っている。そのなかで、しばしば日本の本社側との認識のギャップに直面したという。久保董事長は、「海外で活動していると、日本側が現地事情をよく理解できていなかったり、誤解を抱いていたりすることがよくある」と話す。

 例えば中国についていえば、「インターネットにつながりにくいのではないか」「サポートはオンサイトでないと不安だ」といったものだ。ところが実際には、「ITは日本に比べて進んでいるところもあり、インターネットの接続環境は容易に得られる一方、それを支える社会基盤は日本に比べて弱めで、サポートに関しては現地でのオンサイトよりもリモートのほうが迅速だ」と久保董事長は語る。

海外と日本の双方に関する知見で
顧客の海外ビジネスを支援する

 顧客の日本本社と海外現地法人の間にはまだ情報の隔たりがあることも少なくない。現地での勤務経験が豊富な滝川担当部長が日本で海外事業を推進する目的の一つは、日本の本社側に接触して現地事情の理解を深めてもらい、日本本社と現地法人との間を橋渡しすることにあるという。

 「お客様にとっての『第二のシステム企画部』のような感じで、滝川を中国やタイと日本をつなぐ懸け橋としてお役立ていただき、海外ビジネスを発展させていただければと考えている」と久保董事長は話す。

 滝川担当部長は今後、少なくとも四半期に1度の頻度で海外視察に出て、現地の最新事情を常に把握し続ける予定。そうして持ち帰った生の情報を、日本の顧客に生かしていくという。

 「これまでのJBCN勤務では、JBグループのお客様である中国法人をサポートする仕事が中心だった。しかし今後は、中国だけでなくタイも含めた海外ITのサポート役として日本企業に、また日本でJBグループとまだお付き合いのない会社にも、お手伝いの幅を広げていきたいと考えている」と滝川担当部長は語る。

さまざまなパートナーとも連携し
ソリューションの現地化を進める

 今回の体制強化のもう一つの目的は、JBグループ全体の海外でのビジネスモデルを変えていくことだという。同社では現在、中国の上海・大連・広州とタイのバンコクに拠点を置いている。このうち上海には、同社が手がけるシステム運用監視サービス「SMAC(Solution Management and Access Center)」の拠点が存在している。SMACと販売・生産管理システム「SMARTシリーズ」の二つが、JBCNにおける中国での現在の主力商材だ。しかし今後は、他のソリューションについても現地事情に対応させたうえで、海外で販売していく方針だ。

 「滝川が日本に戻ったのは、日本のソリューション開発チームと連携を容易にするためでもある。JBCNにも開発スキルをもつ日本人スタッフが加わったので、日本と中国の連携を深めつつ、現地ニーズを踏まえたソリューションをより多く提供していく。さらには、JBグループだけでなく、異業種を含むパートナーと協力しての海外ビジネスも推進していきたい」と久保董事長は説明する。

 職場の事情や従業員のITに対する意識は、日本と海外とで大きく異なる。日本の国内企業に最適なソリューションを海外でそのまま販売したとしても、現地法人の現地で採用された従業員に受け入れられるとは限らない。

 「実際にシステムを導入しても、2年も経つと誰も使わなくなっていた、というケースも珍しくない。だからこそわれわれは、運用のお手伝いをすることも強く意識している」と滝川担当部長は語る。

 海外でも使ってもらえるソリューションを育てていくためには、日本のチームに海外の現地事情を理解してもらい、機能や使い勝手の改良に反映してもらう必要がある。滝川担当部長がそうした橋渡しを担いながら、JBグループでは、海外向けソリューションの提案品質と、顧客への提供価値をさらに高めていこうとしている。