「BCN AWARD 2019」のUPS部門において、4年連続10回目の受賞となったシュナイダーエレクトリック。社会のあらゆる領域で急速にデジタル化が進む中、電源障害へのリスク対応のニーズが拡大している。クライアントPCや小規模ネットワーク向けのAPCブランドから、大規模なデータセンターやサーバー環境向けまで幅広い製品ラインアップを持つ同社では、こうした利用ニーズの変化に対応する新製品の投入や、パートナーとの関係強化により、UPSのトップベンダーとしての地位を盤石なものとする考えだ。2018年の市場環境と同社の今後の戦略について、IT事業部パートナー営業本部副本部長兼西日本統括を務める城剛史氏に話を聞いた。

法人用途で鍛えられた管理性とブランド力が武器に

 18年は、IoTの導入やAIの活用が本格化し始めた。これは、個人の情報ツールだけでなく、公共のライフラインや生活に密接に関わるあらゆる産業でデジタル化が進んでいることを意味する。そのため、従来のクラウドや大規模データセンターでの処理だけでなく、データ発生源に近いエッジコンピューティングの重要性も増してきた。電源保護に対するニーズは、かつてのデータセンター、サーバールームから、社会のありとあらゆる場所に急速に広がっている。

 こうした流れを受けて、UPS市場の動向もにわかに激しさを増している。量販店でのPOSデータ集計を基に決定されるBCN AWARD 2019で、シュナイダーエレクトリックのメーカー別販売数シェアは47%と1位をキープした。一方で競合他社も主に価格競争力の面で力を付け、数字を伸ばしている。

 シュナイダーエレクトリックの強みは、コンシューマー向け製品だけでなく、市場で長年にわたって築き上げてきた法人市場のニーズに応える機能性とブランド力にある。同社のUPS管理ソフトウェア「APC PowerChute」も、その具体例の一つだ。

 「コンシューマー向け製品と法人向け製品の最も大きな違いは管理性です。複数のUPSを統合管理し、電源に異常が検出された場合に機器を安全に停止させる管理ソフトのPowerChuteは、ユーザー様から非常に高い評価をいただいています。ビジネスに関わるさまざまなデバイスがデジタル化する中で、UPSをどう管理し、運用面やコスト面での最適化を図るかといった視点は、今後さらに重要になるでしょう」と城氏は指摘する。

ビジネスのデジタル化やIoT需要に対応した製品を拡充

 同社が引き続き注力する分野の一つが、ビジネスのデジタル化とIoT環境の拡大を見据えた製品ラインアップの強化だ。IoTやAIを活用したビジネスのデジタル化が進むことで電源保護を行う「場所」と「要件」は急速に多様化している。特に、取得したデータを取得場所に近いノードで処理し、リアルタイムに次のアクションへとつなげていくエッジコンピューティングに対するニーズが拡大する中で、従来よりもタフな環境下での電源保護は、ビジネスに直接インパクトを与える課題の一つにもなっている。 
 
城 剛史
IT事業部
パートナー営業本部
副本部長
兼西日本統括

 18年11月、同社は工場などで使われるIIoT(産業用IoT)機器、カメラやセンサー、サイネージといったIT機器以外のデバイスの電源保護ニーズに対応する小型UPS製品「SecureUPS」を日本で先行発売した。温度マイナス10~55度、湿度0~95%の幅広い環境で動作し、空気中のほこりが多い工場内のような環境にも対応した製品となっている。
 
SecureUPS

 「UPSのニーズは、オフィスの中やサーバールームだけでなく、工場や量販店の店舗、IoTを取り入れた農産現場など、これまで想定し得なかった分野にまで広がっています。SecureUPSは、これまで電源保護へのニーズがなかったような場所での利用にも対応可能な製品です」と城氏は説明する。

 また、併せてUPSに強く求められるようになっているのが「メンテナンスフリー」、とりわけ「バッテリーの長寿命化」だ。UPSの設置場所が広範になり、導入数が数百から数千といった大規模になると、バッテリー交換にかかる時間や人的なコストも膨大なものになる。

 SecureUPSは、超長寿命バッテリーの採用により、8年の期待寿命を持つ(5~25度の環境下)。そのため、容易に行くことができない遠隔地への設置や、大規模導入の際のバッテリー交換などのメンテナンスコストの削減も期待できるという。同社では、UPS本体のさらなる小型化や、より長寿命なリチウムイオン電池に対応した製品の拡大などを通じて、さらなる新規需要に対応していく考えだ。

パートナーと双方向の情報共有でプレゼンスを強化

 シュナイダーエレクトリックの強みである法人市場でさらなるプレゼンス強化を目指す上では、パートナープログラムの充実も重要な施策だ。同社では15年より展開している「APCチャネルパートナープログラム」の機能強化も継続的に行っている。

 例えば、APCチャネルパートナープログラムに登録した販売パートナーがアクセスできるウェブポータルツールを17年後半にローンチし、登録パートナーは、この専用ポータルサイトを通じて同社の新製品や技術に関する情報を入手できるようになった。18年には認証の種類を拡充し、ウェブトレーニングのコンテンツも充実・強化を図った。

 「今後は、われわれからパートナー様への情報発信だけでなく、パートナー様がビジネスや案件獲得に活用できるツールや機能も随時実装していきます。パートナー様には、ぜひこのポータルへ登録し、コンテンツを活用していただきたいです」と城氏。

 APCチャネルパートナープログラムには、Elite、Premier、Select、Registeredという四つのクライテリアがある。各クライテリアによって利用できるツールやメリットにも違いがあり、詳細はapc.comから確認できる。ポータルへの登録も同じサイトから可能だ。

 「現在、UPSに対する市場のニーズは急速に変化しており、従来では必要とされなかった環境にまで導入が求められるようになってきています。シュナイダーエレクトリックはUPSの製造販売のリーディングカンパニーとして、ニーズの変化に即座に対応していくとともに、メーカーとして性能や安全性に関する責任を担いながら、期待に添う製品をリリースしていきます。今後もご愛顧のほどお願い申し上げます」と城氏はアピールする。