「BCN AWARD 2021」のUPS部門で、6年連続12回目の受賞となったシュナイダーエレクトリック。2020年は、コロナ禍に伴うサプライチェーンへの影響が上半期に響いたものの、下期は一気に回復へ向かったという。21年は、リチウムイオンバッテリ搭載製品のラインアップ拡充を図るとともに、IoTに関連したエッジ向けソリューションを強化。パートナーとの関係強化によって、UPSのトップベンダーとしての地位を盤石にする考えだ。市場環境の変化と今後の戦略を聞いた。

第2四半期を転機に大きく盛り返す
リチウム製品が絶好調

 「20年は、まさにコロナイヤーだった。上期(1~6月)はその影響が非常に大きかったが、下期(7~12月)に入り大きく様変わりした」とエッジ&エコストラクチャー事業開発本部の宮坂美樹本部長は20年の動向を振り返る。
 
宮坂美樹
エッジ&エコストラクチャー事業開発本部
本部長 兼 T&E リージョナルオファー マネージャー

 特に、第2四半期はUPSへの需要自体が堅調な中にあって、同社の海外工場で生産が停滞した影響から、計画的な調達ができない状態だったという。

 「転機は第3四半期からで、大きく盛り返すことができた。9月からは、各キャンペーンもスタート。キャンペーンは、UPS単体だけでなくネットワークやIoTに絡めたことが功を奏し、特に多店舗展開する流通系の企業などに好評だった。20年は、シュナイダーエレクトリックとしてグローバルでの目標値の見直しがあったが、その目標は十分にクリアできる見込みだ」と宮坂本部長は強調する。
 

 製品では、20年をリチウムイヤーとして同社初のラックマウント可能なリチウムイオンバッテリ採用の新製品「APC Smart-UPS Lithium-ion UPS」を投入した。宮坂本部長は、「小型、軽量、長寿命という製品コンセプトが広く受け入れられ、当初予測の30%増を達成した」と好調ぶりをアピールする。

 同社の単相UPS自体は、x86サーバーが大幅に減少する中にあっても堅調に推移しているという。サーバーやストレージ向け用途の減少をネットワークアタッチやIoTアタッチがカバーしているためだ。また、テレワークの拡大に伴うeコマースビジネスの拡大が顕著で、昨年対比で十数%増に達する見込みだという。

 「当社のUPS製品は、大きくデータセンター(DC)などの大規模事業者向け、一般オフィスなどのオンプレミス向け、SMBやコンシューマーなどのスモール向け、OEMの4分野で構成しており、DCとスモール分野の好調が続いている。これも、テレワークの拡大が寄与したといえる」と同本部の今野良昭プロダクトマネージャーは説明する。

 また近年、毎年のように続いている自然災害への備えからの需要も堅調だ。大規模な災害に伴う停電だけでなく、落雷による停電からデータを安全に保護するという対策がスモール分野でも強く認識されるようになってきている。「一般に落雷は夏のイメージだが、日本海側は冬のほうが3倍も多い。また、豪雪地帯は雪による停電も多い。このため年間を通じて一定の需要がある」と今野プロダクトマネージャーは分析する。
 
今野良昭
エッジ&エコストラクチャー事業開発本部
プロダクトマネージャー

EcoStruxureとマイクロDCを核に
ソリューションの幅を拡大

 21年は、エントリーからエンタープライズまで、広くリチウムイオンバッテリ搭載製品を投入していく計画だ。また、宮坂本部長は「この数年、継続してエッジ向けソリューションに力を注いできた。加えて、積極的に実施してきたキャンペーンなどもパートナー施策の目玉にしていきたい」と力を込める。

 その核となるのが、IoTプラットフォーム「EcoStruxure」の一部として提供される三つのソリューションだ。従来から提供しているDCIM機能を踏襲したDC向け資産管理(IT Advisor)、UPSを含めたIT設備の運用監視(IT Expert)、IT Expertをベースとした同社のエキスパートによる24時間365日遠隔監視(Asset Advisor)がある。
 

 「もともと、われわれは大規模DC向けの資産管理(DCIM)を提供してきたが、そのノウハウをベースに広く小規模なユーザーも利用しやすいようにしている。パートナーの方々にも、ぜひMSP(マネージドサービスプロバイダー)として、自社のサービスに組み込んで提供してもらいたい」と宮坂本部長は語る。

 エッジ向けには、20年1月に提供を開始したEcoStruxureソリューションを組み込んだ「EcoStruxure マイクロデータセンター」の拡販を進める。同製品は、DCの主要ファシリティをIoT/エッジ環境に特化したボックスとして提供するものだ。6Uサイズのキャスター対応ラックに、UPS、PDU(配電装置)、物理セキュリティ、リモート監視ソリューション(Asset Advisor)、保守/運用サービスなどをユーザーの利用形態に応じて構成することができる。

 ラック内には一般的なフルサイズのラックマウントサーバーも設置でき、床面だけでなく壁面にも設置可能だ。ダストフィルターを標準装備し、ちりやほこりの多いバックヤードなどへの設置にも対応する。「一般のオフィスをはじめ、工場、流通や店舗、医療分野、さらにGIGAスクール構想に絡んだ投資が進む教育分野など、これまでスペースの制約からDCの設置が困難だった現場での展開も可能となり、遠隔監視による安心も提供できる」と今野プロダクトマネージャー。

 マイクロデータセンターは、機器ベンダーなどのパートナーとのアライアンスによる、事前検証・設定済みパッケージや、それぞれの利用シーンを想定したリファレンスアーキテクチャーを用意。また、パートナーとMSPの形で協業することで、エッジシステムの運用管理を含めたパッケージソリューションとして提供し、ユーザーの多様なIoT/エッジのニーズに応えていく。