「BCN AWARD 2020」のUPS部門において、5年連続11回目の受賞となったシュナイダーエレクトリック。2019年は、自然災害が多発する中で社会のさまざまな領域を支える存在となったIT機器の電源障害へのリスク対応が改めて見直される1年となった。幅広い製品ラインアップを持つ同社では、こうしたニーズに対応するとともに、IoTに関連したエッジ向けの新製品の投入や、パートナーとの関係強化によって、UPSのトップベンダーとしての地位を盤石なものとする考えだ。市場環境の変化と同社の今後の戦略について、セキュアパワー製品本部の宮坂美樹・リージョナルオファーマネージャーに話を聞いた。

Smart-UPSとして初となる
リチウムイオン製品を投入

 「19年は需要拡大の年となった」と宮坂マネージャーは語る。その要因は3点で、20年1月14日のWindows 7 EOSに関連した機器の刷新、台風や落雷など自然災害の多発で電源保護の必要性が再認識されたこと、IoTに絡んだエッジ向け用途の増加だ。

  大幅な需要増を受けて、同社では製品のラインアップ刷新と充実を図っている。まず、昨年11月28日には同社のUPSブランド「APC by Schneider Electric」の常時インバーターUPS「APC Smart-UPS SRT」シリーズの4容量帯モデル「1500VA」「2400VA」「8000VA」「10000VA」を一新し、今年1月10日に受注を開始した。新モデルでは、電力の使用効率を示す力率がクラス最高のほか省スペース化、消費電力の削減などを実現している。
 

  同じ1月10日には、同社初のラックマウント可能なリチウムイオンバッテリ採用の新製品「APC Smart-UPS Lithium-ion UPS」の受注も開始した。同製品は、常時商用運転方式を採用し、最大出力容量は400VA/400W。UPS本体とバッテリはともに期待寿命10年の設計で、5年保証が標準だ。「以前のSmart-UPS製品は2年保証だった。新製品は初めから5年保証付きで、途中でバッテリ交換が不要なためコストは逆転する」と宮坂マネージャー。
 
宮坂美樹 セキュアパワー製品本部
リージョナルオファーマネージャー

  主な用途としては、公共、文教、一般企業の小型サーバーのほか、アプライアンス、小型NASといったエッジ機器向けを狙う。1Uラックに収まる薄型設計で、重量も約4kgと軽量。スペースを選ばずに設置できて、長期にわたってメンテナンスに煩わされたくないというユーザーに最適な製品となっている。 

 「当社では、黎明期の4~5年前からエッジ向け対策の必要性を訴求してきたが、ようやく19年になって、その必要性を認識するユーザーが増えてきた」と宮坂マネージャーは手応えを語る。

  そこで、エッジ向け小型ラックを提供するとともに、UPS管理ソフトウェア「APC PowerChute」を合わせたセット販売にも取り組んでいる。複数のUPSを統合管理し、電源に異常が検出された場合は機器を安全に停止してデータの消失を防ぎ、復旧時間を最小限に抑えることができる。
 

2020年はリチウムイヤー
パートナーとソリューションの幅拡大

  20年の市場については、エッジ向け用途の需要が引き続き増大すると見込む。
  「今後投入する新製品の多くでリチウムイオンバッテリを採用する予定で、今年はリチウムイヤーになるだろう」と宮坂マネージャーは力を込める。

  一方、リチウム電池は鉛バッテリに比べて安全性が問題になることもあるが、「当社では、セル、電池、製品の各段階で徹底した検証を実施している。米国のUL規格をはじめ、各国の規格もクリアしている。また当社では国内メーカーのセルを使用しているため、安心してお使いいただきたい」とアピールする。  パートナー施策では、従来より「APCチャネルパートナープログラム」で行っていた情報提供、トレーニング、共同マーケテイングなどの活動をさらに充実させる。これに加えて、新たにEコマース向けパートナープログラムの提供も開始する計画だ。

  また、クラウドベースのサブスクリプション型のITインフラ設備管理ソリューション「EcoStruxure IT」のラインアップも増やしていく。すでに、昨年12月には常駐のIT管理者がいないオフィスや店舗などのエッジ環境でもIT設備がリアルタイムでリモートから監視できる「EcoStruxure IT Expert」の提供を開始した。接続機器単位での課金となるため、監視対象機器が少ない環境でもスモールスタートできる。

  同時に、IT Expertによって収集したデータをもとに、同社の専門家が24時間365日遠隔監視し、保守契約に基づいた修理対応を行う「EcoStruxure Asset Advisor」の提供も開始した。2020年にはさらに、シミュレーションによるリスク分析が可能なソリューションの提供も予定している。

 「パートナーの方々が持つ商材、サービスを組み合わせて、ソリューションの幅をさらに広げることができる。ぜひ、われわれと一緒にビジネスの拡大に取り組んでほしい」と宮坂マネージャーは呼び掛ける。