ウチダエスコが2020年1月に千葉県に開設した「ESCO 船橋-BaySite」。GIGAスクール構想をはじめとする文教分野や一般企業の需要を確実に取り込み、順調に拡大を続ける同社のキッティングサービスを支える中核施設だ。“魅せるキッティングセンター”を自負する施設の強み、サービスの特徴などについて、ウチダエスコの営業部門の責任者であり、オープン後の全体プロジェクトの統括責任者でもある斉藤一也・執行役員カスタマーリレーション事業部長に聞いた。

世界一の物流施設内に大規模キッティング拠点

 ESCO 船橋-BaySiteは、千葉県の船橋キッティングセンターと浦安テクニカルセンターを移設・統合して開設した大規模キッティング拠点。同センターが入居するのは、三井不動産が旗艦施設と位置付けて開発を進めているMFLP船橋の2棟目「MFLP船橋II」の8階になる。このMFLP船橋は、セキュリティゲートを備えた物流施設として、世界一を誇る施設であり、震災時の被害を軽減する免震構造や72時間稼働する非常用発電設備を整備するなど、トップレベルのBCP設備を備えている。
 

 同センターは、1665坪の総床面積の中に、キッティングエリア、ライフサイクルエリア、セキュリティエリア、ネットワーク・サーバーエリア、リペアエリア、倉庫エリア、搬入出エリアで構成する。

 施設の運営は、ウチダエスコの100%子会社であるアークが担っており、外部スタッフを含めて約90人が交代で勤務にあたっている。斉藤執行役員は、ESCO 船橋-BaySiteの改革プロジェクトの統括責任者であり、同センターのオープン時より、全体プロジェクト(システム化・自動化・品質改善)を率いてきた。

 同センターの中でも、特筆すべきは344坪を占めるキッティングエリアだ。PCやタブレット端末はもちろん、スマートフォンやネットワーク機器なども幅広く取り扱う。

 「作業レーンは40レーンを設置しており、統合前は月産1万台だったキィテッングセンターの処理能力を、最大で4万台以上へと大幅に高めている。これによりPCの年間処理数は5倍以上にアップした」と斉藤執行役員は胸を張る。
 
斉藤一也
執行役員 カスタマーリレーション 事業部長

 実際、GIGAスクール構想などに関連し、親会社の内田洋行が販売、契約を交わした自治体(教育委員会)のニーズに合わせて、その受け皿となるウチダエスコがキッティングした端末の台数は過去最大で膨大な数量となった。また、直前のWindows 10化への移行需要やコロナ禍に伴うテレワーク需要の企業ニーズにも確実に対応するなど、新拠点の能力を発揮して見せた。「納期、品質にしっかりコミットすることがわれわれのサービスの強みの一つ」と斉藤執行役員は語る。

 もう一つの特徴が顧客専用のセキュリティエリア。これは他企業とは完全に隔離した状態でキッティング作業をしたいというニーズに対応したもの。最大4区画に分けて作業できるようになっており、各区画の入り口は暗証番号で解除できる鍵が用意され、関係者以外は入室ができない。

 また、ネットワーク・サーバーエリアは、ユーザーの専用回線、キッティング展開用サーバーを収納するエリアで、管理者を限定し、顔認証による入退室を実施している。

 「PCライフサイクルマネジメントサービス」をサポートするのがライフサイクルエリアだ。代替機器の保管、キッティング、リペア、廃棄までを実施している。倉庫エリアは、最大400パレットを保管し、ノートPCなら約4万台を保管できる。3段の保管ラックを設置し、企業のPC代替機などを長期に渡って保管することが可能だ。

お客様の声(VOC)を品質改善とサービスに反映

 ウチダエスコでは、ESCO 船橋-BaySiteを“魅せるキッティングセンター”と呼んでいる。実際、見学エリアも常設され、多くの見学者が施設を訪れる。POPや色分けで導線を明確にしているが、これはスタッフに向けてもしっかりエリアを意識させるものでもあるという。

 「われわれはこの分野では後発。だからこそ、施設をオープンにしてお客様の声
(VOC※)にしっかり耳を傾けて逐次、品質改善を図り、サービスにも反映させてきた」と斉藤執行役員は力を込める。ユーザーの作業場所における200V電源への対応や総電源容量の拡張なども、VOCを具現化して反映させたものだという。

 顧客へのアンケートから届く「悪い」の評価にはいち早く対応。スタッフの応対や清潔な身だしなみ、整理整頓(5S)など、ソフト面の充実も図っている。「過去に発生したエラーを分析したところ、多くは本来のルール化が不足していたこと、人に起因するものであったことから昨年1月、次期あるべき姿を描き、目標をセットした上で品質改善に向けた大規模な改革プロジェクトをスタートさせた。VOCアンケートもその一環だ」と斉藤執行役員は話す。

 具体的には、アーク内に品質管理の仕組みを取り入れ、品質管理を担う人材も外部から経験者を採用して常駐させた。人材育成については、事例を基に自分で考え、ディスカッションする場を設け、作業スタッフ向けの教育パッケージも整備した。また、倉庫に入出庫・在庫・集荷管理システム(WMS)を取り入れるとともに、キッティング作業の自動化にも取り組んでいる。

 「今後は、研修の体系化なども進めていく。そしてサービスの幅をさらに広げ、お客様に向けた顧客体験価値(CX:Customer Experience)の向上へつなげていきたい」と斉藤執行役員は展望する。


※VOC:Voice of Customer