レノボ・ジャパン(レノボ)とレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)の2社は4月19日、法人向けビジネスに関する事業戦略説明会を開催した。サーバー、データセンター向け製品を扱うLESと、PC、スマートデバイスを中心とするレノボ両社のチャネル販売パートナー制度を一新し、両社製品の販売支援プログラムを統合した新体制「Lenovo 360」を発表。パートナー担当組織やポータルサイト、インセンティブプログラムなどを一本化して展開する。

DXサポートに向けて組織変更 サービス&ソリューションに注力

 初めに登場したレノボのデビット・ベネット社長は、昨年度の法人向けビジネスの動向を説明した。2021年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界に大きな影響を及ぼしたが、DXやデジタル化の取り組みにより、あらゆる場面でコンピューティングパワーの活用が進んだ。また、IT業界全体として引き続き、半導体不足や物流面などの課題が続いたとした。

 レノボは、「Smarter Technology for All」ビジョンを掲げ、あらゆる人にテクノロジーの恩恵を届けることをモットーとし、180以上の市場でビジネスを展開している。同時に、サステナビリティに対しても積極的に取り組んでいる。

 21年にレノボは、顧客のDXを横断的にサポートするためグローバルで組織変更を実施。クライアント製品を担当するインテリジェントデバイスグループ(IDG)、データセンター向け製品などを担当するインフラストラクチャソリューションズグループ(ISG)、サービスやソフトウェア、ソリューションなどを担当する新組織のソリューション&サービスグループ(SSG)という三つに再編した。さらに、この三つのグループを横断するインターナショナルセールス組織が、顧客のデジタル変革を支援している。

 「ハードウェアに加えて、サービス&ソリューションへの注力を進めた結果、21年第3四半期(10~12月)のレノボ・グループの業績は、売り上げで前年同期比17%増、純利益が62%増となり、売り上げと利益がともに過去最高を記録した。好業績の理由は、お客様が取り組んでいるDXの需要をうまく獲得できたことにある」とベネット社長は語り、「製品販売だけではなく、それらを活用するためのソリューションも一緒に提供し始めたことが、これまでとは大きく違う点」であるとした。

 一方、日本市場の動向は、緊急対応としてのテレワークの普及が進む一方、中・長期的な働き方の模索が続いている。そこにクラウド化の進展が加わり、社会変化によるテクノロジー活用が進むという、非連続な変化が起こっている。レノボは、顧客のデジタル変革をポケットからクラウドまで、コンピューティングパワーの力でサポートする。

 21、22年の注力領域については、IDGでハイブリッドワークを支える製品群の提供、ISGでエッジからクラウドまで柔軟性と俊敏性を両立したインフラ製品群、SSGでアセスメントから展開、運用フェーズまでエンドツーエンドで利用者の勤務環境の変革を支援するとした。「レノボの力はこれだけにとどまらない。複雑化の一途をたどるお客様の課題に対して、グループ内の総力をあげて、レイヤー横断でのソリューション提供をさらに加速させていく」とベネット社長は力を込める。

新たに1万2000人の研究者を採用 研究開発投資額は2倍に拡大

 続いて登場したLESのジョン・ロボトム社長は、本年度の法人向けビジネスについての取り組み方針を説明した。
 
ジョン・ロボトム
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
代表取締役社長

 ロボトム氏はまず、調査レポートをもとに日本企業のテクノロジー部門の変化について解説した。調査結果によると、IT部門の責任がビジネス領域にも及んでいる▽コロナ禍が始まった約2年前よりCIOが大きな戦略課題に直面している▽CIOがITインフラの大幅な刷新を望んでいる―として「コロナ禍での緊急対応を超えて、日本のテクノロジー部門は急激な変化と責任に直面している。DXの必要性がはっきりと数字に表れている」と語った。

 続けてDXによる変革には「ビジネス」「ワークスタイル」「ソーシャル」の三つがあるとして、それぞれに関係する事例を紹介した。

 トヨタ自動車では設計業務の中核をなすCADを、HCI製品であるThinkAgileを基盤とするCAD on VDI環境で実現。これにより、従来はオフィスのワークステーションで行っていた設計作業をどこでも作業できるようになり、設計開発エンジニアの働き方が大きく改善した。

 東京・大田区の牧田総合病院では、サイロ化していたレガシーシステムをHCIに置き換えて集約。同時にPCもレノボ製品に統一することで、導入から展開、サポートの窓口を一本化した。これによりコスト削減とメンテナンス負担の軽減、将来のクラウド化への備えを実現している。

 大阪大学核物理研究所では、全世界600人の核物理研究者が原子核物理学研究用計算機システムとしてレノボのHPCを採用した。HPC分野でトップシェアを誇るレノボの実績を生かした導入となる。

 ロボトム社長は今後3年間のレノボグループのコミットメントについて「新たに研究開発者1万2000人を採用し、研究開発投資額を2倍へ拡大することを計画している」とアピールした。そして、日本においても、レノボグループが注力する具体的な領域として、ハイブリッドワークとコラボレーション、モダンデプロイからモダンマネジメントへ、設計とデザインプロセスの刷新、ハイブリッドクラウド、アナリティクス&AI、エッジコンピューティングの6分野を挙げた。

 また、顧客の購買行動の変化への対応、レノボの社会的責任としての環境経営として、サーバーとノートPCなどのエネルギー効率を改善する。「ポケットからクラウドまでをカバーする豊富なラインアップを組み合わせて提供する取り組みは、レノボにしかできないことだが、お客様のDX支援はレノボ単独ではできない。お客様やパートナー様と並走しながら、複雑化する課題をコンピューティングパワーで解決する」とパートナーシップの重要性を語った。

新プログラム「Lenovo 360」一体化でパートナーを支援

 レノボとLESそれぞれの執行役員を務める荒木俊彦氏は、新パートナープログラム「Lenovo 360」について説明した。
 
荒木俊彦
レノボ・ジャパン
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ
執行役員 パートナー事業本部

 Lenovo 360は、レノボのパートナーシップ重視の取り組みを表す施策として発表した。PC、スマートデバイスなどのクライアント製品、サーバー、データセンター製品、さらにサービスまでを組み合わせて、パートナーが顧客への提案を推進できるようにしていくものだ。

 具体的には、これまでレノボ・ジャパンとLESに分散していたパートナー営業組織を統合。ワンストップのパートナー窓口として「パートナー事業本部」を新設した。明言は避けたが、人員規模は三桁になるという。レノボとLESのパートナー事業本部の責任者を荒木氏が執行役員に着任し、務める。

 「コロナ禍以降、お客様の課題は一層複雑化している。このような顧客課題に対して、これまで以上に人材、プラットフォーム、プログラムの三つの視点を包括的に網羅する。そして、パートナーの方々とともに、より深く幅広い解決策をお客様に提供していく」と、荒木執行役員は語る。


 レノボ・ジャパンのクライアント向け製品と、LESのインフラ製品群、サービス、ソリューションと、「ポケットからクラウドまで」を一気通貫でカバーするとともに、各パートナー専任の担当者も配置。各ソリューションのプロフェッショナルとともに、パートナーが顧客のニーズに応じた複合的な提案がシームレスできるようにしていく。

 両社に分散していたインセンティブプログラムについても統合する。さらに、製品情報の提供や見積もりの作成支援に加え、共同マーケティングまでの機能を提供するパートナー向けポータルサイト「Lenovo Partner Hub」を国内でも本格的に展開する。合わせて、製品カテゴリーを横断した顧客への提案について、インセンティブの面からサポートする新プログラムの提供も予定し、従来よりさらに進化しているという。

 三つの注力領域として挙げるのが、持続可能なハイブリッドワーク実現をサポートするデバイスからVDI基盤までの環境整備「Hybrid Work」、柔軟性と俊敏性を両立したエッジからクラウドまでをカバーする「Infrastructure」、業種・利用シーンごとに特化して深掘りしたソリューション「Vertical」だ。

 「レノボ製品を横断的に拡販しているパートナーの数は三桁にのぼる。まずは既存のパートナーの方々が、新制度のもとでクロスセルを進めていけるようサポートする。その上で、新たなパートナーの開拓も進めていきたい」と荒木執行役員。ベネット社長は「現状は、コンシューマーと法人向けビジネスはほぼ半々。しかしお客様のニーズも変化してきており、サーバービジネスにはまだ伸びる余地があると考えている。これからは、Lenovo 360の提供開始により、PC、タブレット端末、サーバー、ソリューションまで、一つの窓口で提供できる。その意味で、Lenovo 360はビジネスを伸ばすものになると考えている」と語った。