働き方改革とコロナ禍をきっかけに、日本の勤怠管理のあり方は大きく様変わりしつつある。企業が必要としているのは、テレワークやハイブリッドワークを可能にするだけでなく、多様で新しい働き方にも対応できる勤怠管理ソリューション――。クロノスの大牧充社長と向功太郎・東京営業所所長、チアレッジの三輪康信・代表社員の3氏に最新の動向を聞いた。

労働基準法の改正に伴って 人事・労務業務のIT化が進行中

――チアレッジはどのような社会保険労務士法人ですか。

三輪 東京・市ヶ谷にあり、スタッフ12人で運営しています。この業界にはアナログのままでやっている法人も多いのですが、われわれはITに早くから取り組み、お客様がクロノス製品などのソフトウェアを導入したり業務をデジタル化したりする際のご支援も提供しています。そのほか、従業員評価制度の策定やコンサルティングもわれわれの得意とする分野です。
 
三輪康信 チアレッジ 代表社員

――人事・労務業務のIT化に関して、企業はどのようなニーズをかかえているのでしょうか。

三輪 労働基準法が2019年4月に改正施行された結果、ルールを全て守ろうとすると、人事・労務担当者の労働時間がかえって増えることになりました。労働時間の上限規制や年次有給休暇の年5日取得義務をクリアするには、どうしても業務をITで効率化する必要があるのです。また、オフィスと在宅のハイブリッド勤務や直行・直帰といった働き方の多様化に対応するには、タイムレコーダーでの打刻とは違った新しい仕組みも用意しなければなりません。

――クロノスのコーポレートメッセージは、この4月から「働くところに、クロノスがある。」に変わりました。

大牧 今年は、創業から12年目。前身の会社も含めれば、35年間ずっと勤怠管理に関わる製品とサービスを開発・販売してきました。当社のソリューションにはこの歴史を通じて蓄えられた知見と経験が生かされていますので、組み合わせて使っていただくことによって、法律が求めていることは全てカバーすることができます。
 
大牧 充 クロノス 代表取締役社長

ハイブリッドワークの勤怠管理を クロノスソリューションで効率化

――テレワークやハイブリッドワークを実践している企業は、ソリューションをどのように活用できますか。

 テレワークの場合、出勤と退勤の時刻はスマートフォンで打刻し、残業や有給休暇の申請も自宅からになります。ですから、上長による承認もWebでできるようにしておかなければなりません。一方、ハイブリッドワークの場合はタイムレコーダーでの打刻が交じってきますし、在宅勤務手当と通勤手当をそれぞれの日数に応じて計算する必要もあります。さらに、管理者向けに、毎日の在宅勤務率を表示することも必要でしょう。当社のクラウドサービスとソフトウェアを組み合わせれば、このような勤怠管理が全て可能になります。
 
向 功太郎 クロノス 東京営業所所長

――クラウドサービス「X'sion(クロッシオン)」とはどのようなサービスですか。

 これは、自宅や外出先からも利用できる申請・承認サービスです。基本的には残業や有給休暇の申請と承認をするためのものですが、タイムカードの内容を従業員が自分で確認する機能や、メンバーがどこで働いているかを調べるための在席一覧機能も標準で付いています。

大牧 テレワークやハイブリッドワークには「グループウェアサービス」というオプションも活躍します。例えば、業務連絡を誰がいつ見たかは回覧板機能でチェックできますし、テレワークで懸念されるメンタルヘルスへの対策として、アンケート機能で従業員の声を匿名で吸い上げてもいいでしょう。

――X'sionは他のソフトウェアとも連携できますか。

 勤怠管理システム「クロノスPerformance」「クロノスPerformanceクラウド」と連携させれば、変形労働時間制や積立休暇制度などにも容易に対応できます。他社のPCログ取得ツールと組み合わせて、テレワークで起きやすい“隠れ残業”や“サボり”をチェックしてもいいでしょう。

――チアレッジはクロノスの販売パートナーとして活動しています。導入した顧客は、製品やサービスについてどのように評価していますか。

三輪 集計にかかる時間を大幅に短縮でき、計算の間違いもなくなったと喜ばれています。また、電話でもリモートでも対応してもらえるサポートセンターも好評です。

今年はクロノスフォーラムを開催 建設業向け機能拡張にも取り組む

――クロノスソリューションの販売パートナーは何社ですか。

大牧 現在、85社あります。

――販売パートナーにはどのような支援を提供していますか。

 エンドユーザーのニーズをうまく引き出していただくために、販売パートナーの方々を集めて人事・労務業務の勉強会を開いています。今年はクロノスフォーラムも開催することができ、5月の東京を皮切りに7月までの日程で全国11カ所を回る予定です。今回のテーマは「コロナ前後における勤怠管理の変化と2024年4月を見据えた建設業・運送業への対応」に設定しました。このほか、企業の経営者・労務担当者の方々向けのWebセミナーも毎月のように実施しています。

――クロノスソリューションの今後の展望を聞かせてください。

 建設業についても24年4月から時間外労働の上限規制が適用されますので、建設業界向けの商談が活発になっています。建設現場の勤怠管理では日報を入力して原価管理につなげる必要があり、そのための機能拡張を進めているところです。

大牧 原価管理の領域まで踏み込むために、予定のスケジュールと作業実績を突き合わせて比較する予実管理の機能も実装する予定です。