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世界約200カ国での導入実績を持つネットワーク監視ツールが日本を最重要市場に設定し拡販を開始

2023/12/18 09:00

 あらゆるサービスがネットワークを介して成立している現在、ネットワーク監視はその役割が広がり、重要性が高まりつつある。ドイツのPaessler(ペスラー)が提供しているPRTGはグローバルスタンダードと呼べるほどの高い実績を誇り、これからは日本での拡販にも力を入れていく構えだ。日本における総代理店であるPSJのCEOに、PRTGの強みや日本市場進出の背景について聞いた。

生活を支えるネットワーク、だからこそ常に進化が求められる

 ネットワークは今やあらゆる生活やビジネスを支えるインフラだ。例えばスマートウォッチには転倒検知やバイタルデータ分析機能があり、これで命が救われた人もいる。さらにこうした機能を活用して、家族の見守りサービスを提供する企業も現れている。しかし、もしネットワークで障害が起きたらどうだろう。生命を左右する分野にまでネットワークが使われている以上、障害発生は致命的な事態につながりかねない。だからこそ常にネットワークを監視し、状態を把握する必要がある。

 スマートホームにコネクテッドカーなど、ネットワークを活用する領域は今後ますます広がるだろう。PSJの杉山俊彦CEOは「新しいサービスには新しいテクノロジーが導入され、ネットワークはどんどん進化していく。そのため、ネットワーク監視もテクノロジーの進化に追随していかなくてはならない」と指摘する。
 
杉山俊彦
CEO

世界約200カ国で20万以上の導入実績を持つPRTG。Fortune 100の70%が採用

 Paesslerは1997年にドイツで設立された企業で、PSJは2023年から日本総代理店として役割を担っている。Paesslerのネットワーク監視ツール「PRTG」は世界の約200カ国で20万チーム以上の導入実績があり、Fortune 100の70%がPRTGを採用するなどデファクトスタンダードと言える製品だ。

 PRTGには死活監視、トラフィック監視、サーバー監視、アプリケーション監視など、ネットワーク監視業務に必要な機能が幅広く搭載されている。UIも分かりやすく、ネットワークの状態や異常を直感的に把握可能だ。そしてエージェントレス型のツールなので、監視対象デバイスにソフトウェアをインストールする必要がない。

 世界で高い評価を受けている理由について杉山CEOは「ユーザーフレンドリーで非常に使いやすい、そして開発はPaesslerが自社でしっかりハンドリングして行っているため、品質が確かというのが高評価の理由だ。海外では政府や軍での採用もあり、セキュリティにおける信頼も厚い」と話す。

 リセラーの視点だと、PRTGはライセンスが明確で他社製品に比べて安価、売りやすいのが特徴だ。インストールするコアサーバー数や監視対象のセンサー数に応じてライセンスを選べばよいため、かかるコストが分かりやすく、予算が立てやすい。その価格面の分かりやすさに加え、専門家でなくても使いやすいところが評価され、最近では地方自治体での導入も増えてきている。

 コロナ禍においては、企業のネットワーク運用管理でPRTGが効果を発揮した。突然のパンデミックで多くの企業がリモートワークに移行せざるを得なくなり、管理者は自宅など社外からでも社員が社内ネットワークへアクセスできるように対応する必要があった。その際にPRTGを使い必要なサーバーの能力やネットワーク帯域を把握して運用コストを削減するといった形でPRTGが活用された。

 PRTGの基本製品はオンプレミス版の「PRTG Network Monitor」で、この大規模対応版が「PRTG Enterprise Monitor」だが、最近ではSaaS版の「PRTG Hosted Monitor」も登場した。まずはSaaS版で試してみて、より本格的に運用したい場合は標準のオンプレミス版に移行する、という選択肢もある。
 
視認性の良いUIでネットワークの
状態や異常を直感的に把握できる

国内でのPRTGの拡販を目指し、日本語版サポートを用意。コミュニティも形成中

 PRTGは、売上高の4割がアメリカで、続いてドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国が並ぶことから分かるように、欧米では高い評価と実績を誇っている。一方の日本においては、根強い人気はあるものの、これまで一部の目利きのみが知る存在に留まっていた。

 ところがPaesslerは2019年から日本を最重要市場に設定するなど、日本に向けて大きく舵を切った。背景にはCEOの交代がある。新CEOに就任したHelmut Binder(ヘルムト・ビンダー)氏は日本の大学院で数年間学んだ経験があり、国分寺がお気に入りの日本通だ。日本市場の重要性もよく理解しており、これから日本市場に向けた取り組みを強化していく構えである。杉山CEOも「ドイツと日本はどちらも製造業が柱という共通点があり、ニュルンベルクに本社を置くPaesslerのソリューションは日本にも合致するはずだ」と分析する。

 リセラーパートナー向けにはトレーニングや技術サポートなどの支援を用意している。PRTGにはセールス系と技術系のサーティフィケーション(認定制度)があり、PSJは認定取得のための学習をサポートする。Paesslerでもサポートは用意してはいるが、英語などでやり取りしなくてはならない。新しいものを学ぶ際に言語の壁は非常に高く立ちはだかる。しかし、これからはPSJがいるため、国内のパートナーは日本語で安心してサポートを受けられるのだ。

 日本市場における今後の展開についてPSJでは、PRTGの認知度向上やチャネル拡大に加え、ユーザー間でコミュニケーションできるようなコミュニティの形成を予定している。コミュニティがあることでユーザー間の情報共有や交流が盛んになり、その中からユーザーが本当に必要とする機能が浮かび上がってくる。コミュニティの声がPRTGを育てていく、という流れが日本でも生まれそうだ。
 
Paessler本社
(ドイツ ニュルンベルク)
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外部リンク

PSJ=https://www.psj-llc.com/