PFUは、工場向けネットワーク見える化装置「iNetSec FC(アイネットセック・エフシー)」の出荷を2022年2月に始める。iNetSec FCは、工場内のネットワーク機器を探し出して一覧にし、負荷が大きい機器や異常を示している機器を検出する機能を盛り込んだ。高度なネットワーク化が進む近年の工場にあって、ネットワーク機器の不具合はそのまま操業停止につながりかねない。iNetSec FCはネットワークの状態を日頃から監視することで不具合を未然に防ぐ役割を果たす。
iNetSec FCは、PFUの主力商材であるオフィス向けセキュリティ対策アプライアンス「iNetSec SF」をベースに、工場向けに新しく設計し直した。オフィス向けでは社内ネットワークに許可されていないUSB機器やスマートフォンの接続に加え、不審な振る舞いをするデバイスを独自に開発した「エッジ・アナライズテクノロジー」によって検知する。今回の工場向けiNetSec FCは、オフィス向けで培った技術を応用するかたちで開発。エッジ・アナライズテクノロジーのバーションを2.0に発展させ、特許も出願している。
工場向けネットワーク見える化装置「iNetSec FC」外観
工場は最先端の生産設備が並んでいるイメージだが、ハブやスイッチなどネットワーク機器は“補助的な役割しかない”と見なされ、「意外に管理されていないケースが多い」と、iNetSec FCの開発を担当した遠藤俊也・エッジネットワーク部担当部長は話す。国内で流通している主なハブ、スイッチ製品をデータベース化し、IPアドレスとともに機器名を入れて一覧表示。ノーブランド製品のハブなどが混ざっていた場合、ユーザー側で名前を入れて管理することも可能だ。ほかにも機器の負荷やエラーの状況も把握でき、不具合を事前に予見する支援機能も充実させた。
遠藤俊也 担当部長
ユーザーからは「ネットワークに接続された生産設備の不具合につながる恐れがあるため、機器を検知するための通信パケットを出さないでほしい」との要望があることを受けて、工場操業中はネットワークに流れる通信を受け身で監視する「パッシブ検知」モードの機能を実装した。操業前や夜間はパケットを発出し、機器構成を能動的に検知する「アクティブ検知」に切り替えることで、「生産機器に影響を与えることなくネットワークの見える化ができる」(遠藤担当部長)。生産品目によって工場のレイアウトは頻繁に変更されるケースが多く、ネットワーク構成が変わってもアクティブとパッシブの検知モードを使い分けることで、安全に効率よく可視化できる。
iNetSec FC事業は向こう3年で年商10億円のビジネスに育てていく計画。販路は製造業に強いSIerなどパートナー経由での販売を主軸とする。オフィス向け、工場向けとラインアップを増やしてきたiNetSecシリーズは、今後、例えば病院やショッピングモールなど業種や業態に合わせたラインアップの拡充も視野に入れ、ビジネス拡大を目指していく。(安藤章司)