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CLM SaaSで契約の始まりから終わりまでカバー。日本市場だからこその「伸びしろ」とは

2024/01/15 09:00

 日本は長らく割印付きの書面で契約書を交わしてきたが、コロナ禍を経た現在は電子化が加速している。また、近年では契約ライフサイクルマネジメント(CLM)が海外で広がり、契約書管理業務が変わりつつある。全世界の契約プロセスを支えているドキュサイン・ジャパンの常務執行役員に、同社が提供する「DocuSign CLM」の強みやパートナービジネスを聞いた。

契約・合意に関するすべてのプロセスから、AIによる将来の活用まで、ワンストップでカバー

 企業の契約書は交渉の結晶、あらゆる関係者が時間と労力をかけた成果だ。サービスの提供や支払などに対しても法的な効力を持つ。その重要さから、他の書類は電子で取り交わしても、契約書だけは書面で作成したり、電子化されている場合もその前後のプロセスはマニュアル作業で行われていたりする場合がほとんどだ。

 しかし、それは非効率さとリスクの放置につながってしまう。例えば、関係者が多ければ回覧や押印に時間がかかり、ビジネスのスピードが失われる。また契約が雇用や購買に関わるものであれば、前後にデジタルなワークフローや連携するシステムがあるはずだ。契約書のところだけマニュアル作業になっていると、そこで流れが停滞し、不要なリスクも発生しやすい。さらにこれからは生成AIの活用も見据える必要がある。

 非効率なまま放置された契約・合意プロセスは、企業の売上に対して最大8.6%のコスト負担になるという調査結果もある。コスト削減の側面だけを見ても大きな改善効果が見込めるのだから、改善に着手しない理由はない。ドキュサイン・ジャパンの星野光一常務は「ビジネスを強化したい、とは誰もが考えているところだろう。無駄な作業の圧縮は、コスト削減だけではなく、価値をより発揮できる余地を増やすことにもつながる。いまだにマニュアルで行われているプロセスは電子化、合理化したほうがよい」と断言する。

 こうした流れを受け、海外ではデジタルで契約書を管理する「契約ライフサイクルマネジメント」(CLM)という分野が確立している。これは単に契約書のファイルに電子署名を付与するだけではなく、契約書に関連するワークフローも包括的に管理する考え方だ。契約ライフサイクルの定義は各社ごとに解釈が異なるものの、星野常務は「CLMはワンストップで行って初めて意味があり、ガートナーでもそのように定義している。ドキュサインが提供している『DocuSign CLM』は、まさに契約や合意に関するすべてのプロセスを包括的にカバーするSaaSだ」と語る。
 
星野光一
パートナーアライアンス
常務執行役員
 
DocuSign CLMがワンストップの
CLMを実現する

「大きな潜在市場」があるCLM 全社規模の業務改革につながる可能性も

 DocuSign CLMは、合意文書の準備から締結、締結後の契約内容の履行、契約書に込められたナレッジの再活用に至るまで、すべてのプロセスを合理化する。複雑なワークフローを自動化することで企業は不要なリスクを排除でき、同時に従業員の業務効率が向上、ビジネスのスピードも加速する。海外ではこれまでも類似ソリューションは存在していたが、導入が難しく、一度稼働すると他のユースケースに適応させることが困難だった。

 しかしDocuSign CLMなら迅速に導入でき、短い期間でその価値を利用企業にもたらす。企業のあらゆるユースケースをカバーできる拡張性の高さも備えており、業務改革を段階的かつ確実に進めていくための道しるべとなるソリューションだ。世界で約10億人のユーザーの電子署名プロセスを日々支え続けてきた実績と信頼を、CLMという新しい分野に広げることで、日本のユーザーのビジネスの強化をしっかりとサポートする。

 そして、それにはパートナー企業とのアライアンスが不可欠だ。CLMは単に既存の契約プロセスを自動化するために導入されるだけでなく、契約プロセスの改善を起点とした業務改革の話に発展することも多い。さらには、契約に関連した周辺システムを含めた改善や、導入・定着支援といった大きなプロジェクトにつながっていく傾向がある。CLMの市場規模は今後さらに拡大すると予想されており、この大きなテーマに取り組むには、さまざまな能力を持ったパートナー企業と一丸となる必要がある。
 
DocuSign CLMはさまざまな
ソリューションとインテグレーションが可能

 直近ではFacebookやInstagramの提供元で知られるMetaが、人事プロセスにDocuSign CLMを導入した。Metaでは内定通知や納税申告書など、採用からオンボーディングまでの業務効率化が課題となっていた。ここにDocuSign CLMを導入することで人事プロセスを合理化でき、契約管理プロセスを週あたり40時間削減、利益投資率100%を達成したという。また、社内で使うSalesforce、財務や人事管理のWorkday、人事や給与計算のADPなどとのインテグレーションを活用したため、導入に要した時間もわずか4週間だった。

 日本では2023年8月に発表したばかりで、DocuSign CLMの知名度はまだ高くないものの、「DocuSign CLMを紹介した方のほぼすべてが興味を示してくれた」と星野常務は手応えを感じている。日本ではコロナ禍で電子署名の利用に弾みがついたが、それでも契約周りの業務には改善の余地がまだ多く残っている。それらを解決すれば、顧客に価値をもたらすだけでなく、パートナーとドキュサインの双方の発展にもつながるだろう。潜在的な市場規模の大きさから米国のドキュサイン本社も日本とドイツを重点投資エリアに掲げている。

 CLMの導入はつまり、企業のフロントエンドとバックエンドをつなげるSystem of Recordから、顧客や従業員の関係を強化するSystem of EngagementやSystem of Agreement、そして全社的な業務改革へつながっていく合意形成周りの改革だ。パートナー企業としても、DocuSign CLMによって自社が持つサービスへ付加価値を与え、ビジネスをより大きく発展させることができる。星野常務も「パートナー様と一緒に新しい市場を開拓して、日本社会に貢献していきたい」と語る。
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外部リンク

ドキュサイン・ジャパン=https://www.docusign.jp/