L2/L3スイッチ市場が成熟期を迎え、さらに昨年秋からの世界同時不況などで、ネットワーク系インテグレータは厳しい状況に陥っており、日商エレクトロニクスも業績ダウンに喘いでいる。このほど双日の完全子会社になるという発表もあった。そんななか、2009年6月に大橋文雄氏が新社長として就任した。あらゆる手を使って業績回復に挑む大橋社長に今後の戦略を聞いた。
佐相彰彦●取材/文 大星直輝●写真
社員のアイデアは成長の起爆剤
──これまで長い間、日商エレクトロニクスで多くの業務に携わり、今年6月に社長に就任されたわけですが、会社をみる角度など、変化したことはありますか。
大橋 実は、社長になったからといって、あまりその実感がないというのが本音です。今年1月末の時点で、すでに社長就任の内示をもらっていましたので、就任当初に何かが変わったということはありませんでした。ですので、「社長」と社員から声を掛けられると、前社長(辻孝夫・現会長)のほうに視線がいってしまって、「お前が社長だろ!」と辻から指摘されたこともありました(笑)。
基本的には、これまでと同様に会社を成長に導くための策を打っていくのですが、変えたことを強いて挙げるならば、できるだけ社員の話を聞くようになったことですね。これまでは、会社が成長するために前線で仕事してきたわけですから、すべての社員の話をじっくりと聞けたわけではなかった。それに、私は我が強いので(笑)、自分がこうと決めたら一方的に話していたこともあったと思います。しかし、会社は社員が動いてくれるからこそ成長する。社員が自由な行動や思い切ったことが行える環境が必要ということです。そこで、社員のアイデアを最大限に聞いて、それを会社の経営に生かしていこうと考えています。
また、就任前であっても社長としての役割を果たさなければならないという認識はあったので、組織編成など年度初めとなる今年4月以降の体制には私の意向を採り入れてもらいました。今、昨年秋からの大不況で環境は厳しい。その影響で、当社は業績が思ったよりも伸びませんでした。とくに、今年1─3月は厳しかった。そういった状況を踏まえた組織に再編しました。
──どのような組織体制にされたのですか。
大橋 商品よりも顧客に密着する。具体的には、営業部門で業界ごとにアプローチできる体制に変えました。また、営業の仕方や売上規模が異なる点などを含め、直接販売と間接販売の部門を明確に分けました。さらに、次の事業柱を創造するためのインキュベーションチームを結成しました。このチームは、新しいサービスのアイデアを出して、開発に向けた推進活動を行っているほか、営業と開発の橋渡しをするなど、横断的な連携を進める組織としても機能しています。
──このような組織体制で成果は得られたのですか。
大橋 前年度と比べると、減収で赤字幅が広がるといった厳しい状況ではありますが、計画は上回るといった効果は出ています。しかも、組織がうまい具合に回り始めている。そういった点では、期初に立てた業績見込みをクリアすることは間違いないでしょう。
右から左に製品を流す“物売り”の時代は終わった。顧客は、技術を駆使したサービスやIT関連業務を支援するサービスを求めている。
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