UTM(統合脅威管理)アプライアンスでグローバルナンバーワンの売り上げを誇る、米Fortinetの日本法人「フォーティネットジャパン」は、今年6月に新免泰幸氏が社長に就任した。高いシェアをもつSMB市場を主軸とし、次の成長戦略として通信事業者、ハイエンドの企業を開拓することで新たな飛躍を目指す。
UTMは中小企業の専用ではない
──今年6月にフォーティネットジャパンのトップに就任されました。この会社についての印象、また、社長就任の意図を教えてください。
新免 日本法人は人数が少ない分、機動力のある会社だというのが第一印象です。こういった会社は意外に若年の社員が多いのですが、案に相違して、各分野に精通し、経験・ノウハウを持っている社員が揃っていました。フォーティネット自体は、セキュリティ対策を総合的に提供していく方向性をもっています。現状、さまざまなポイントセキュリティ技術を提供しているメーカーが乱立しています。前職のノキアも含めて、長くセキュリティ業界に身をおいていますが、ネットワークセキュリティの脅威がここまで多岐にわたり、さまざまな変化が起きているとなると、従来の提供方法では限界があるのではないかと思います。こうあるべき、というセキュリティの方向性を示したのがフォーティネットでした。
──全体の流れとして統合セキュリティの方向に向かっていますね。フォーティネットがとくに秀でている部分は?
新免 すべてを自社で完結しているところです。例えば、アンチウイルス、アンチスパムやウェブコンテンツ・フィルタ、IPS(進入検知システム)。ファイアウォール(FW)といった基本的機能を備えた、いわゆる「UTM(統合脅威管理)」という言葉でくくられると思うのですが、一連のセキュリティ防衛機能をすべて自前で開発している。これが私の言う「総合的かつ包括的」な対応です。あらゆる面をリサーチして、すべて自前でアップデートする。同業他社のようにさまざまなシングルポイントのセキュリティ製品を「箱」に同梱しているわけではありません。業界のなかでは唯一に近い存在です。
──フォーティネットのビジネス上の課題は見えましたか。
新免 ジャパンについては、これまでとくにSMBに対する製品供給が成長のドライバとなっていました。製品名でいいますと、UTMアプライアンス「FortiGate」のローエンドモデルです。当社のセキュリティ製品群は多岐にわたり、かつエンタープライズからSMBまで幅広いラインアップを揃えています。この製品群を、これまで各市場にアプローチし切れていない面があった。例えば大手通信事業者、大企業といったハイエンドのセグメントです。主軸のSMBには引き続きに力を入れていきます。ハイエンドへのアプローチは、課題というよりも、これから発展・成長を望める市場であると捉えてください。
──これまでハイエンドが未開拓だったのはなぜですか。
新免 日本では「UTM=中小製品」という認識が定着しているからでしょう。本来、UTMは「セキュリティをどのように総合的に管理していくか」というソリューションであり、小規模顧客だけでなく、大企業でも使うことができるはずなのです。われわれはグローバル市場でUTMのナンバーワンメーカーであり、海外では通信キャリアから小規模事業者までまんべんなく導入が進んでいます。
また、もう一つの原因としては、従来型のUTMではFWを基準にした時と複数の機能を動かした時とのスループットの乖離が大きかったことが挙げられる。コンピューティングパワーの問題で性能が出ないのは業界全体の課題ではあります。ただ、当社はASIC(特定用途向け集積回路)の開発に力を入れ、現時点で複数の機能をスムーズに動かすだけのCPUパワーを獲得してきました。パフォーマンスと機能に対しての漠然とした不安は払拭されつつあります。当社のUTMを導入することで、導入投資や運用コストの圧縮、万一障害が発生した際の迅速な対応など、大きなメリットを享受できます。
ハイエンド向けの「FortiGate」は、単に「箱」が大きいだけでなく、機能、性能的にも遜色はありません。大規模向け、キャリアグレードをカバーできる製品です。不況もあいまって、コスト削減は企業規模に関係なく懸案となっていますから、コストダウンという点でもすべての顧客ニーズに合致しているはずです。
本来、UTMは「セキュリティをどのように総合的に管理していくか」という
ソリューションであり、小規模顧客だけでなく、大企業でも使うことができるはずなのです。
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