ブロケードコミュニケーションズシステムズがファウンドリネットワークスとの統合を果たしてから、9か月が経過した。ブロケードが新しく生まれ変わって再出発した際、トップとして白羽の矢が立ったのは、ファウンドリ社長だった青葉雅和氏だ。青葉氏は、「最も重要なのは販売パートナーとの協調関係を深めること」だと断言する。その言葉どおり、パートナーシップ深耕に尽力している。その方針の意図はどこにあるのか──。
ネットワークの統合メーカーへ
──2009年5月の社長就任から9か月が経過しました。この9か月間、順調に進んできましたか。
青葉 オンスケジュールで進んでいます。当社は、2~3年後のビジョンとしてトータルな「ネットワーキングカンパニー」を掲げています。このビジョンを実現する方向で動いています。
──具体的に取り組んでこられたのはどんなことでしょう。
青葉 これまで重点を置いて実行してきたのは、販売パートナーとの協調関係を強めることです。とくに、ネットワークインフラの構築ビジネスを得意としているインテグレータとのパートナーシップ深耕に力を注ぎました。例えば、ネットワンシステムズさんとの協業などです。これによって、当社がネットワーク関連ベンダーというポジションを徐々に確立しつつあるな、と手応えを感じています。そのほか、2次店向けのパートナープログラムも充実させました。
──なぜ、販社とのパートナーシップ深耕をメインに据えたのですか。
青葉 トータルにネットワーク関連の製品・サービスを提供する基盤を整えるには、販売パートナーとの関係を改善することが必要と判断したからです。当社は、ファウンドリネットワークスと統合して今の姿になりました。統合後に両社の違いとして分かったのが、ファウンドリはハイタッチ営業を展開してきたということです。このやり方は、販売パートナーに対してビジネスを提供できる点が長所なのですが、一方で当社がカバーできる範囲のなかでしか販売パートナーが動けないといった短所もあります。私はファウンドリ出身で、改めて感じたのは、販売パートナーとのアライアンスを強化したほうが、当社と販売パートナーがともにビジネスを拡大できるということです。ですから、この1~2年はパートナーとの協調関係構築に重きを置きます。そして、すべての販売パートナーにメリットのある取り組みを進めていきます。
──販売パートナーからの評価は?
青葉 技術者へのトレーニングやサポートなどについては高い評価を得ています。とくにサポートについては、人員を増やすとともに、質を高めました。また、米国本社に窓口をつくって迅速にサポートできる体制を整えています。人員については、サポートだけではないのですが、1年半の間に全社で1.5倍に増員することを掲げましたので、サポート要員も増えている状況です。
──販社が扱う製品ラインアップは拡大していますか。ブロケードとファウンドリの両方の製品を販売するケースが少ないように思えます。
青葉 確かに両ブランドを販売してくれるパートナーは現段階では少数で、それが課題でもあります。ただ、パートナーシップを深めていることと、販売パートナーがトレーニングを評価してくれているといったことから、今後は扱う製品のラインアップを拡大してくれると確信しています。また、最近ではクラウド・サービスを提供するデータセンター(DC)のニーズに応えるため、販売パートナーが当社製品の取扱量を増やしてくれているケースも多々あります。そういった点では、他社との差異化を図ることができる製品として認識していただいていると自負しています。
──ただ、ネットワーク系インテグレータはシスコシステムズの販社が多いですね。とくに、ファウンドリ製品であるイーサネットスイッチの領域に関しては、シスコ製品が強いとの見方があります。トップシェアを維持しているFCスイッチについてはブロケードの製品を売るが、イーサネットスイッチに関してはシスコ製品を担ぐという販社が多いのではないでしょうか。
青葉 シスコさんは大手ですし、50%程度のシェアをもっている。これをすべて当社製品に入れ替えようとは考えていません。ただ、販売パートナーの実状をいえば、シスコ一辺倒ではなく、セカンドチョイスとして扱うというケースが出てきています。これは、さまざまな角度から提案するためには、「シスコの製品だけではビジネスが成り立たない」と認識しているパートナーが少なくないことの現われではないでしょうか。しかもユーザー企業の環境をみると、単独メーカーの製品だけでインフラを構築しているというケースは少ない。つまり、今後は当社のイーサネットスイッチを販売する機会が増えるのではないかとみているのです。
──販社は増やしていくのですか。
青葉 1次パートナーに関しては増やす予定はありません。ただ、2次店は増やそうと考えています。2012年までに今の2倍以上の数に引き上げる計画です。現在、3倍近くのリセラーに話を持ちかけており、そのなかからパートナーシップを築ければと考えています。
販売パートナーとのアライアンスを強化したほうがビジネスを拡大できる。
すべての販売パートナーにメリットのある取り組みを進めていく。
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